金融庁の規制強化におびえる銀行、証券業界

経済界 / 2016年8月22日 9時0分

金融機関にとって経営上の重要な指針となるのが金融庁が発表する「金融行政の基本方針」。この発表が、例年に比べ遅れていることがさまざまな憶測を呼んでいる。中でも保険・証券・地銀各社は、厳格な方針が打ち出されないかと戦々恐々だ。文=ジャーナリスト/山本一朗

追いつめられる地方銀行

 「一体、どうなっているのか」

 今夏、銀行、証券会社などの経営陣が一様に戦々恐々としている。金融庁が毎年夏に行っている「金融行政の基本方針」の発表例年に比べて遅れているからだ。同基本方針は、その先の金融行政の重点ポイントなどが策定されている。金融機関の経営陣にとって「極めて重要な指針」であるだけに、公表の遅れに伴って、彼らのイラつきは日ごとに増している。

 「金融行政の基本方針」はかつて、「金融・検査のモニタリング方針」と名付けられていたもの。この内容を新たにするとともに、「金融行政の基本方針」という、より間口を広げたタイトルに変更したのは、現在の金融庁長官、森信親氏の発案による。これによって、同方針は過去に比べて数段重要性を増したと言っていい。例えば、昨年の場合には、その前年に初めて盛り込んだ「フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)」をより明確化し、金融商品の製造、販売、管理に携わる金融機関に対して、「顧客利益追求の徹底」を明記し、以後の金融行政の主柱に据えた。

 いわば、金融庁のスタンスを具体的に示すものなのだが、今夏、金融関係者が戦々恐々としているのは、たんにその公表が遅れているからだけではない。ある地方銀行の幹部はその心境をこう吐露している。

 「いよいよ、われわれを追い詰めるような超ド級の施策が出てくるのではないか」

 森氏は、今年夏の官僚人事では予想どおりに留任し、長官2年目に突入した。同氏は監督局長時代から一貫して、金融行政の刷新とともに、金融機関経営にも発想の転換を求めてきた経緯がある。具体的には、少子高齢化などの経営環境の激変に対応した地銀業界の再編やコーポレートガバナンスの徹底などである。これに対して、地銀業界の動きは鈍く、経営統合しても、持ち株会社方式の下で、当事者銀行がそのままの形でぶら下がるという生煮え統合にとどまるケースばかりとなっている。

 この状況に「森長官は強い不満を抱いている」という情報が金融庁から漏れ伝わっているだけに、地銀業界は「より明確な再編促進施策が打ち出されるのではないか」とおびえているのだ。

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