書道展で展示される作品 なぜ読めないような文字ばかり?

太田出版ケトルニュース / 2014年1月20日 9時53分

 しかし、その唐様の天下も、そう長くは続きません。今、文字が、手描きのペンからキーボードやタッチパネルになりつつあるように、明治以降、鉛筆、万年筆、ペンなどの便利な筆記具の登場で、筆は実用の筆記具の役割を終えることになります。
 
 ところが、書道は“芸術”としてプロモーションが大成功します。1948年(昭和23年)には、日展に“5科”として部門が設立、芸術としての確固たる地位となり、現在は日展の出品数の70%以上を占めるほどで、書なしでは日展が成立しないほどです。逆に言えば、芸術としての認知は近年になってからで、東京芸大など代表的な芸術系大学に書道科がないのも、このような背景があるためだと思います。
  
 さて、江戸時代を最後に表舞台から消えた日本式の書である和様は、現在、どうなっているのでしょうか?
 
 歌舞伎の文字(勘亭流)は、和様“御家流”が源流で、相撲(根岸流)、落語(橘流)などの他書体に派生して、現在も皆さんに親しまれています。ただ、和様由来だからなのか、御家流と同様、書展で見ることはなく、美術館などでも書道の扱いされることはないようです。2013年開催の東京国立博物館の「和様の書」展でも、御家流や江戸文字などの展示はほぼなかったようです。

 実は、書道団体でも、昭和ごろから現代版の和様となる「誰でも読める」書風の必要性が高まります。日本の書道界のトップの“芸術院会員”で「現代書道の巨匠」と言われた村上三島は1995年に「読める書」の必要性を以下のように述べています。

「一般人が全部誰でも読める、 漢字かなまじりの作品が、それぞれの個性豊かな作品として生まれてほしい。でも、だれでも読めて鑑賞に価する書は、参考文献が多数ある現在の書道と違い、参考書のない書道(※)。何十年係るかわからない大仕事だが、日本人が作り出さなければならない」(日本書芸院1995年 会報88号より抜粋編集)

(※)書の練習は、過去の書を模写することが最大・最強の練習法なので、参考文献がないと困る

 同年、村上は読売書道会に調和体部門を設立し、先に立ち上げた毎日書道会系の近代詩文書と共に、漢字と平仮名交じりの読みやすい作品を発表しています。ただ、一般の人には読めない崩し字・続け字が多く使われている点で、ややマニア向けな印象を受けます。
 
 誰でも読める和様と言えそうな書風の代表は「にんげんだもの」で有名な相田みつをでしょう。皆さん御存知の通り誰もが読める書風です。残念ながら相田みつをは弟子がおらず、みつを風の書体を現在、学ぶことはできないようです。

 現在、学べる教室となると、和様“読める書”専門で「うどよし書道教室」(東京都文京区湯島、国立NHK学園)という書道教室があります。1/24(金)~26(日)には、うどよし書道教室の団体書展「和様の書展」が開催されるとのこと。作品は書作品 40点含む合計53点が出品予定で、筆ペンの和様体験も可能なので、興味がある人は、是非、立ち寄ってみてはいかかでしょうか? (文中敬称略)

・うどよし書道教室 団体展「和様の書展」(入場無料)
2014年1月24日(金) 15時~19時
25日(土) 11時~17時 (※13時~ はんこカバー「袴」ワークショップ)
26日(日) 11時~16時

場所:千代田区生涯学習館(九段下駅 6番出口すぐ)

【関連リンク】
うどよし書道教室
書展詳細

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