コウモリの恐るべき能力 「超音波で捕食」「声と耳は戦闘機のレーダー並」

太田出版ケトルニュース / 2018年8月8日 11時38分

『カラス先生のはじめてのいきもの観察』松原始(太田出版)

涼を取るために夕暮れの川沿いなどを歩いていると、しばしば遭遇するのがコウモリ。吸血鬼につながるイメージで語られることも多いコウモリは、万人に好かれているとは言い難い生き物だが、実は類まれなる能力の持ち主だ。動物行動学者の松原始氏が動物観察についてつづった『カラス先生のはじめてのいきもの観察』(太田出版)で、松原氏はこう解説している。

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コウモリは不思議な動物だ。哺乳類の中で、いや、脊椎動物の中で、鳥類とタメを張って動力飛行を行うのはコウモリしかいない。空中で餌を捕まえるという無茶なことをやるのも、鳥とコウモリくらいだ。トビヘビもトビトカゲもムササビもモモンガもヒヨケザルも、敵から逃げる時や、木から木へ移動する時に滑空するだけである。

コウモリというとむやみにパタパタして効率の悪い飛行体に見えるかもしれないが、ああ見えて運動性は極めて高い。小回りという点では鳥にひけを取らないどころか、短い体長を生かしたアクロバティックな機動は、むしろ鳥を上回るほどだ。夜間飛行に特化することで、鳥と競合しないように進化したのがコウモリである。

夜空を飛びながら昆虫を捕食することに限れば、コウモリは鳥よりもはるかに上手だ。昆虫だけでなく、ウオクイコウモリやユビナガホオヒゲコウモリのように、水面直下を泳ぐ魚を探知して、水面をかすめて飛びながら魚を捕食するものまでいる。まあ、捕食者のいない島ではコウモリも飛ぶのをやめて、あの歩きにくそうな体で地面を歩いて昆虫を食べていたりするそうだが。

コウモリは人に聞こえる声も出すが(キッキッキッ、というような声が聞こえる場合がある)、有名なのは闇夜に餌を探すための超音波だ。イルカなどと同じく、エコーロケーションと呼ばれる。なお、昼行性のオオコウモリ類は超音波を出さず、視覚や嗅覚で果実を探して食べている。また、細かいことを言えば、コウモリの超音波にもいくつか種類があって、生活環境によっても違いがある。

コウモリが超音波を発すると、音は前方に向かって飛んで行く。前方がただの虚空なら音はそのまま消えて行ってしまうが、何かが空中にいた場合、それに当たった音波が跳ね返ってくる。これを聞いて相手の存在を知るのが、エコーロケーションだ。

原理としては、人間の発明したレーダーに似ている(レーダーは電波を使うが)。あるいは、闇夜に向かって懐中電灯を照らす、と言ってもよい。この場合は音波ではなく光だが、「何かに当たって跳ね返って来た光だけが見える」という原理は、やはり同じである。

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