「テレビ局員」への幻想とリアル 村上和彦『水道橋博士のメルマ旬報』6月15日配信号より

太田出版ケトルニュース / 2019年6月18日 11時41分

『泥の中を泳げ。 -テレビマン佐藤玄一郎』吉川圭三・著

テレビ各局の社長交代が週刊誌やネットで記事になっている。TBS「ニュース23」の女性キャスターが変われば、やれ低視聴率で失敗だと面白おかしくネタにされる。つまらない、オワコン、偏向報道etc.など色々言われながらも、結局ネットも活字も「テレビをネタに商売」しているのだ。商売になるということはそれだけの“ニーズ”があるから、でもある。

事実、私も東洋経済オンラインなどにテレビ関連の記事を書くのだが、その都度多くのアクセスをいただいている。なんだかんだ“テレビ”が気になって仕方が無いのだ。またテレビ関連の特集などで各種媒体から「コメント」や「レクチャー」を求められることがある。

取材を通して多くの編集担当・記者・ライターと話をする機会も多いのだが、印象として総じて皆さん「テレビ局」と「テレビ局員」に対してよく知らない、というか“幻想”を抱きすぎているような気がする。例えば、こんなやり取りになるのだ。

記者「新しい女性キャスターのギャラ、年間2億円とのことですが?」


私「そんなに出すわけがないでしょう。年間50週として、一週間400万、週5回放送だから一回80万円。経費削減で生中継ひとつ出すのにヒイヒイ言っているいまのニュース番組がそんなに払いますか?」


記者「ああ、そういう風に計算すると確かにそれは高いですね」

記者「プロデューサーって芸能人やモデルといつも食事したりしていますよね?」


私「番組関係のタレントさんと食事に行くことはあるけど、それも年に1、2回ですよ。局によってはよく行っている人もいますけど、全体では少数派だと思います」


記者「そうなんですかー、皆さん西麻布とかで連日豪遊しているイメージですが・・・」

ライター「やっぱりテレビの方は一週間寝ないで番組作ったりしているんですよね。」


私 「そんな超人いないです。編集所で2日続けて徹夜することはあるけど、そんなときだってソファで仮眠とっていますし」


ライター「そのくらいだと週刊誌も変わらないですね・・・」

飛びかうカネ、タレントとの豪遊、寝ずに仕事・・・、テレビ局をとりまく噂には事実とは異なることも多い。実際“昭和”の頃にはそういう話も数多くあっただろう。もっとも「一週間寝ない説」は当時の人が“盛って”話していたことが一人歩きしていただけだと思うが。

だが今は令和。現実のテレビ局は、経費削減とコンプライアンス管理に追われている、その一方で新たな収益源を探しているという「企業体」である。そこで働く「テレビ局員」も“サラリーマン”である。

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