【TSMCショック】地価高騰で賃貸料が3.5倍に｢廃業か…｣菊陽町から移転した青果店

KKT熊本県民テレビ / 2024年8月7日 20時20分

フレッシュパーク森田賢一さん

台湾の大手半導体メーカー･TSMCの進出により、生活が大きく変わった人たちがいます。長年、菊陽町で青果店を営んできた男性は、この春、熊本市に店を移しました。移転から3か月あまり、新しい店舗を取材しました。

熊本市東区の青果店｢フレッシュパーク｣。開店直後からにぎわっています。

■常連客

「すごく安くて、新鮮で助かっています。この箱にはレタスが16個入って198円。もうけがないみたいで心配します」

大根もシイタケも破格の値段。レタスは1箱で200円ほどです。

■フレッシュパーク森田賢一さん

「今日は休み前なので少ないです。1トンあるかないかぐらいです」

店を営むのは森田賢一さんと妻の友花さんです。

なというのはあります」

■フレッシュパーク森田賢一さん

「朝は仕入れてきた商品を出して、あとはひたすら補充と作る分です」

Q休む暇はない?

「ないですね。昼ごはんを食べる暇がない」

森田さん夫妻は去年、大きな決断を迫られていました。

■フレッシュパーク森田賢一さん

「不動産屋から家賃の相談がありますということで、今現在の3.5倍の金額の提示があった」

森田さんは2001年から菊陽町で青果店を営んでいました。地域の常連客も増え、ずっとこの場所で店を続けると思っていました。しかしTSMCの進出で状況が一変。菊陽町では工場やマンション建設などで土地の需要が急激に高まりました。

3月末に発表された地価公示価格をみると、菊陽町の商業地は30.8%の上昇で全国2位を記録。森田さんの店の賃貸料は3.5倍にあがったのです。その結果…

■フレッシュパーク森田友花さん

「今月いっぱいで閉店するので」

やむなく、菊陽町の店を閉めることにしました。

■フレッシュパーク森田賢一さん

「もう、僕の人生も終わるのかなと。そう考えた時に、半年後が自分のゴールのように見えてきて、店をやっていく、移転してやっていくとか、そういった気持ちは全くなくなりました」

■常連客

「びっくりしました。マンションができるとか。いつもここに来ていたんですよ。残ってほしいねえ、それが一番」

跡地にはマンションが建つことになりました。そんな中、手を差し伸べる人が現れました。常連客の一人で、熊本市で温泉宿泊施設を経営する橋本敏生さんです。

■温泉宿泊施設｢つる乃湯｣橋本敏生社長

「移転じゃなく、廃業と聞いて僕もびっくりして。それなら考えなよ、うちにくればと。ただそれだけです。いや、大正解でした。青果店でこれだけ安く頑張っている。それは根本的にやっぱり人間性だと思う。困った時にはいつでも言ってきなさいとか、そういう感じになる。とにかく人柄がいいですよ。お天道様は見てますから!」