【見た目問題】芝居通して差別解消訴え 10年にわたる活動
KNB北日本放送 / 2024年11月25日 20時26分
病気やケガによって外見に症状のある人たちが差別される問題について考えるイベントが今月、南砺市で開かれました。顔に難病を抱える南砺市の河除静香さんは芝居を通して差別や偏見の解消を訴えてきました。多くの人を勇気づけてきた河除さんの10年にわたる活動と、「見た目問題」について考えます。
自らの病気をさらけ出し、芝居をするひとりの女性。
「あきらめることには慣れています、昔からあきらめなくちゃならないことが多かったから、この顔のせいで」
難病で「あきらめることには慣れている」
南砺市に住む河除静香さん(49)です。
河除さんが舞台に立つ理由、それは見た目に対する差別の問題について多くの人たちに知ってもらうため。
そして、同じ悩みを抱える当事者たちを勇気づけるためです。
河除さん「私だってこの顔に生まれて色んなことがあったよ。くだける覚悟でドーンと体当たりしてみりゃいいじゃないか絶対に・・・あんどうすりゃいいんだ」
Q イベントは何回目?
河除さん「多分(南砺市では)6回目じゃないかと。こんなに長くやるとは思ってなかったというのが正直あります」
学校でいじめ「アヒルのガーコとよく言われた」
河除さんが芝居を始めてことしで10年になります。
顔面動静脈奇形。
顔の血管に異常な塊ができる難病を抱えて生まれた河除さん。
幼いころからいじめを受けてきました。
河除さん「アヒルのガーコってよく言われましたね。可愛らしく聞こえるかもしれませんが、そのあだ名すごく嫌でした」
学校では「汚い」、「ばい菌がうつる」と心ない言葉を浴びせられ、街を歩くと好奇の目にさらされました。
河除さん「助けてくれる人はいなかったですね。基本的には耐えるしかなかった」
大人になってからも恋愛や就職で悩んでいた河除さん。
しかし友人のある一言が心に響きました。
河除さん「あなたの武器は(明るい)性格だよと言われて、ガラッと変わってアグレッシブになった感じです」
夫との出会い 結婚・出産 掴んだ幸せ
就職先で知り合った4つ年上の夫・悟さんとは、2001年に結婚しました。
悟さん「最初顔見たときにどしたと、何かケガでもしたの?とまあその程度」
見た目は全く気にならなかったと言います。
そして静香さんの明るさに惹かれました。
河除さん「人からジロジロ見られるのが嫌なら、俺は着ぐるみ着て隣りを歩くと」
悟さん「こっちが目立てばいいかなと思って」
河除さん「何言ってんだとは思ったけど、うれしいのはうれしい。真剣に考えてくれてるんだなと」
交際から1年後、2人は結婚しました。
悟さん「人間関係って(見た目より)もっと他に大事なことがあるんじゃないか。自分をどう思ってくれてるとか、価値観とか」
27歳で長男を出産。
顔の血管に影響が出て症状が悪化しましたが、2人の子どもに恵まれました。
河除さん「私は幸せです、今は。病気は今も治せるなら治したい、でもこの顔だったから出会えた巡り合えた人たちがいる子ども達もそうだし、夫もそうだし」
勇気をふり絞り一歩を踏み出したことでつかんだ確かな幸せ。
差別は「知らないことから起こる」 芝居を通し訴え
その経験を多くの人たちに伝えたいと、全国各地で一人芝居を披露しています。
河除さん「何でいじめとか差別とかおきるのかって言われると、知らなかったからだと思う。色んな人がいるってことを知ることで、特別じゃないんだとわかってほしい」
河除さん「私だってこの顔に生まれて今までいろんなことがあったよ。差別、いじめ、ジロジロ見られたりさ、嫌な目にあったことなんてわんさかあるね、でもねその度に負けてたまるか!いつか見てろって!そんな気概でもってここまでやってきたんだ‥」
難病抱える男性 「心の支えになっている」
河除さんの演技を見つめる男性がいました。
東京に住む久保丈夫さん。
河除さんの友人で芝居を見に駆け付けました。
久保さんは血管腫という病気があり顔や体に赤いアザがあります。
久保さん「子どもの頃はいじめがありましたし、からかいですとか、大人になると今度は差別がついてきますね。最近東京の繁華街を歩いてた時、ものすごいものを見たかの様な反応をされた」
出口の見えないトンネルを歩いてるような人生だと話す久保さんですが、河除さんの前向きな生き方に元気をもらっています。
久保「心の支えにはなりますね、自分ひとりじゃないって。自分も意味あって生きてるんだって気持ちになります」
活動の基本は「スマイリートゥモロー」 一歩踏み出すきっかけに
河除さん「私の活動の基本ていうのは、スマイリートゥモローと言う名前つけてやってるんですけど、笑顔のあしたへって、一歩踏み出すと楽しい事もあるよって言いたいんだけど、それを強制はしたくない、自分なりのペースいうのもあるやろうし。ただ、私が一歩踏み出して楽しいことがあったことを見て、自分もやってみようかなって人がいたら、それはぜひやってみてほしいなって思います」
河除さん「私は生まれつき顔はこんなだけど、でも性格は明るくて頑張り屋だし、それに自分で言うのも何だけどとても心が優しいの・・・」
今でも普段はマスクを手放せないと話す河除さんですが、同じように生きづらさを感じる人たちが、一歩を踏み出すきっかけになると信じて活動を続けています。
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