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暴排条例で追い詰められた裏社会の最新シノギ「迷惑メール業者狩り」の実態

TABLO / 2014年2月6日 12時0分

暴排条例で追い詰められた裏社会の最新シノギ「迷惑メール業者狩り」の実態

 裏社会に生息する人間は暴力的と思われているが、実際にはそんな事はない。暴力に依存する人間はヤクネタ(暴れん坊の意味)と言われ、組織から疎んじられる時代である。また、暴対法、暴排条例の施行のよって、最近はさらにその傾向が顕著になり、逆に裏社会の人間は地下に潜ってしまい、取り締まりにくくなっているのが現状だ。ある広域指定暴力団三次団体組長はこのように話す。

「ヤクザやっていると車も買えない、携帯も新規の契約は出来ない、部屋も借りられないとかの締め付けがあまりに多い。今は非合法なシノギの方が食う事は難しい。それにヤクザだと他の組織の人間とバッティングする、そうすると必ず代紋を出した話しになる。そうなると金が飛んでくだけなんだよ」

 しかし、彼らも生活していくためには食い扶持を探さなければならない。そんな状況の中で、裏社会の一部の人間が意外な方法で稼いでいることを聞かされた。それは「迷惑メール業者狩り」である。

「俺たちは色んな制限を受けているけど、裁判を起こす権利だけは失われてない。俺たちには人権などないようなものだけど、これは憲法の誰でも平等だからな。誰にでも『1000万当たりました』とか『1億円入金します』といった迷惑メールが届くだろ? ああいったスパムの送信者がターゲットにして訴訟を起こすんだよ」(前出・三次団体組長)

 その聞きなれない錬金術のカラクリはこうだ。まずはスパムメールが届いたら、送信者の業者にはこれ以上は送らないでくれといった依頼メールを返信する。しかし、これで諦めるような業者は少ない。そこで次に「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」で規定する「不同意広告宣伝メール」である事を伝えて再度、警告のメールを送るのだという。

 その後に「一般財団法人日本産業協会」と「一般財団法人日本データ通信」に報告。今まで送られてきた迷惑メール、相談メールも全て保存しておく。だが、これだけでは終わらない。食えなくなった裏社会の人間のしつこさを見せるのはこの後の行動だ。その後は、裁判を起こすために送信先の会社を調べあげる。ちなみに送信元は東京都内、大阪府内、福岡県内が多いという。ここまでかかる費用は1000円にも満たない。

 次にその迷惑メールの会社に対し訴えを起こす。この金額は簡易裁判所で訴える事の出来る金額、つまり140万円以下の訴訟である。簡易裁判所にする理由は「面倒な手続きがいらないから」だという。訴訟内容は迷惑メールの文面を逆手にとった「当選金請求事件」で、この場合の印紙代は1万2000円のみ。請求の原因として別紙に今までの迷惑メール、相談メールなどを添付することで証拠も完璧。それからはほとんどが和解になるそうだ。

 和解額はほとんどが100万円以上になったという。この人物によると、これまでこの方法で数千万円のアガリを得ているとのこと。

「コツはしつこく続けること。胡散臭いサイトには自分から求めてアクセスして、アドレス喜んで入力している」(前出・三次団体組長)

 忌々しい迷惑メールもこのような形で撃退するのだとすれば朗報だが、こんな手の込んだ真似は誰でもができるわけではない。追い詰められた「裏社会」はシノギの形態も日々進化している。彼らにはどのように立ち向かえばいいのか。新しい都知事にはぜひ、このあたりを真剣に考えてもらいたい。

Written by 久田将義(東京ブレイキングニュース編集長)

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