異様な裁判 綾瀬女子高生コンクリ殺人事件の主犯格の一人が法廷で見せた悪態 「でっちあげ」発言も
TABLO / 2019年5月16日 14時37分
先日、足立区の端、北綾瀬駅から徒歩で10分ほどの場所に位置する住宅街を訪れてきました。行ったのが土曜日の昼過ぎだったこともあり、公園にはボール遊びをする子供たちの姿が見えました。
幹線道路から少し離れたところにあるその住宅街は何の変哲もない、静かでのんびりとした街でした。
もし何も事前情報がなければ、30年前に猥褻略取誘拐・監禁・強姦・暴行・殺人・死体遺棄事件、通称綾瀬女子高生コンクリート殺人事件が起きた現場だとは想像もできないはずです。
事件から30年経ち、犯人の少年たちはそれぞれ成人し社会に復帰しました。しかし事件の主犯格の一人だった湊伸治は再び罪を犯し、被告人として裁判を受けていました。
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法廷に現れた湊は、見た目だけで言えばどこにでもいそうな中年の男性でした。彼が起訴されていたのは傷害罪、面識のない男性に因縁をつけ、ケンカの末に被害者を持っていた警棒で殴り付け、首筋をナイフで切りつけた、という犯行です。傷害罪での起訴ですが、一歩間違えば殺人事件になっていてもおかしくないものです。
彼は起訴内容を否認していました。
「ナイフは当たってない。警棒も当たってない。殴ったことはある。4発か5発パンチして、それも当たったのは1発だけ。9割方、自分が相手にボコボコにされてる。そういうことがマスコミの報道ではでない。最後に脅してやるつもりでナイフは出しましたけど、止めてます。頭に当たったかと思ったけど、相手は『刺した』って、まったく違うこと言ってます」
このように話していましたが、その時何が起きていたにせよ実際に被害者はナイフで傷をつけられ大量に出血しています。警察官が被害者の負傷状況を撮影した写真撮影報告書も、裁判所に証拠として採用されました。
公判の間、何度も弁護人に裁判に対して疑問や不満をぶつけていた彼の姿は異様なものでした。
「だって、でっちあげですから。否認したら違う証拠出してくるってことはでっちあげでしょ。この事件、バレますよ。相手がウソつくなら、この先一生背負っていくんですかって、これから時代変わりますから、この先一生背負うんですかって」
どうやら彼は、事件当時警察官が撮影した写真を偽造もしくはすり替えたものだと信じこんでいるようです。繰り返しになりますが、被害者は何をされたかは置いておくとしてもかなりの量の出血を伴うケガをしています。
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検察側の証人として出廷している警察官の話を肘をついて聞き、時折大きなあくびをしていた彼の態度を見る限りでは、被告人として裁判を受けているという緊張感はまったく感じられませんでした。罪悪感のようなものも当然感じることはできませんでした。
公判の終わり際、弁護人に向かって話している彼の口から、
「難病以上のものですよ」
という言葉が聞こえました。詳しくはわかりませんが何かを患っているようで、
「許可もらって拘置所ではずっと寝てますよ」
と言っていました。
「でっちあげ」などの言葉、裁判官の許可を得ない発言、弁護人とのコミュニケーションも傍目にはうまくいってないように見えました。専門家ではないのではっきりとは言えませんが、何かしらの精神疾患を抱えているのかもしれない、と思いました。
湊の裁判が注目されているのは「過去に凶悪犯罪をおかした少年がその後の人生で更正できるかどうか」の答えの一つがそこにあるからです。
人は変われるのか、変われないのか。
彼が今、過去の自分の過ちをどうとらえているのかはわかりません。ただ、今回彼が犯した犯行に関しては警察・検察のでっちあげだと信じこんでいます。もし有罪判決が下されたとしても自分の罪を悔いることはないと思います。それどころか、被害者意識に凝り固まって自分の罪を向き合うことなどできないのではないでしょうか。
今回どんな判決がくだるかはまだわかりませんが、いずれは彼はまた社会に戻ってきます。(取材・文◎鈴木孔明)
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