麻布十番で違法クラブ摘発、ヌードスタジオやAV撮影会でも逮捕者相次ぐ
TABLO / 2014年3月2日 10時0分
かの界隈では定期的に起きるお約束ではあるが、2月24日に麻布十番のクラブが風営法違反で摘発された。警視庁の発表によると、よりによって無許可営業をしていたらしい。
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「麻布十番でクラブ無許可営業=容疑で店長ら3人逮捕」
東京・麻布十番で無許可でクラブを営業したとして、警視庁生活安全特別捜査隊などは24日までに、風営法違反容疑で、クラブ「VILLAGE」店長、長沼勉容疑者(34)=東京都港区芝浦=ら3人を現行犯逮捕した。また、同容疑で従業員の男(29)=世田谷区=を書類送検した。
逮捕容疑は都公安委員会の許可を受けないで23日午前2時30~45分ごろ、港区麻布十番のビル地下1階で、DJブースや踊り場などを設置し、客にダンスや飲食をさせた疑い。長沼容疑者は容疑を否認し、「ダンスをさせていた認識はない」などと話しているという。
同隊によると、摘発時には約400人の客が店におり、約100人が踊っていた。店をめぐる110番通報は昨年1月以降約35件に上り、店内での窃盗や傷害事件などで8件の被害届が出ていたほか、騒音への苦情などが相次いでいたという。
(時事通信WEBニュースより)
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この文面から想像するに「あ~、飲食の許可だけでバレなきゃいいやでヤラかしちゃったんだろうなあ......」という感想が浮かぶ。
ただ、クラブに対する締め付けの強化や、あまりに強引すぎる摘発劇には、学者や専門家から批判の声が挙がっており、一概に「クラブなんてワルガキしか使わないんだからガンガン潰しちまえ!」とも言えない。
現行の風営法とは、前時代的どころか前々時代的な代物を、今の時代に合わせた体で手直しして使っているような有り様で、「一歩歩けば風営法に当たる」といった酷い状況になってしまっている。今回摘発されたクラブはタチの悪い雰囲気がヒシヒシと伝わってくるので "自業自得" の声も多かろうが、実際は風営法自体が時代の変化に合っておらず、あちこちで破綻しつつあるという点は覚えておくべきだろう。
また先月の話になるが、名古屋でヌード撮影用のスタジオを経営していた男が風営法違反の容疑で逮捕されるという一件もあった。
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「ヌードスタジオ経営の男、風営法違反で逮捕(愛知県)」
名古屋市中村区で、女性の裸を撮影する「ヌードスタジオ」を経営していた男が、風営法違反の疑いで逮捕された。逮捕されたのは、名古屋市昭和区の風俗店経営の登坂幸治容疑者(43)。
警察の調べによると、登坂容疑者は去年10月、中村区椿町で客の男性に対し、女性の裸などを撮影させ、法律で禁止されている地域内で無許可でヌードスタジオの営業をした疑いがもたれている。
登坂容疑者は去年7月に前の経営者から店を譲り受けていて、プロのモデルのほか一般女性約100人がヌードモデルとして登録。客と一般女性が1対1で撮影をした場合、45分1万2000円の料金を取っていたという。
調べに対し、登坂容疑者は「ヌードスタジオを経営したのは間違いないが、風俗店という認識はなかった」などと容疑を一部否認しているという。警察はモデルとなった女性に未成年がいなかったなど、事件の経緯や余罪を詳しく調べている。
(中京テレビWEBニュースより)
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とりあえず売春や公然猥褻の容疑はないようなので、性器の露出や性行為はなかったのだろう。その点から、このスタジオはまあまあクリーンに経営していたのではないかと予測できる。しかし風俗営業を禁止している区域でこの手のスタジオを経営するというのは明らかな自滅で、経営者が「自分の商売は風営法の管轄である」と認識していなかった事については弁護する余地がない。
また、これについては2通りの考え方ができる。経営者が下記のどちらだったかによって悪質さが変わってくるだろう。
(1)「ヌードスタジオに風営法が適用されると知らずに営業開始してしまった」
→だから風俗営業の許可を取っていなかった
(2)「初めから風俗営業の禁止区域である事を知っていた」
「申請を出しても受理される訳がない」
「でも商売はしたい」
→知らなかった事にしてやっちゃえ
前者だった場合にはご愁傷様でしたとか、裸が絡む商売なんだから法律の勉強はしましょうね、といった声が掛けられるが、後者だった場合はまったく同情できない。だがこの手の商売で摘発を受ける人間の大多数が後者のようなタイプなのだ。法を学ばず、また守る気もなく、金に目が眩んでバレなきゃいいやでやってしまう。
どこからツッコミを入れていいか解らない酷いケースだと、次のような例もあった。
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名古屋市のマンションで約100人の客を集め、アダルトビデオの撮影会を開催したとして、愛知県警中署は18日、公然わいせつの現行犯で、主催者の無職小林国男(68)=同県日進市赤池=、女優役の風俗店従業員健部絵里(28)=東京都豊島区池袋=の両容疑者ら4人を逮捕した。
調べでは、小林容疑者らは18日午後、名古屋市中区栄のマンション7階の一室で、健部容疑者に下半身を露出させ、男優役の容疑者に触らせる場面などを撮影させた。
小林容疑者は元フリーのカメラマン。4年ほど前からインターネットサイトで会員を募集し、毎週末1人当たり1万2000~1万5000円の参加費を集め、撮影会を開いていた。会員は約240人おり、毎回約100人が参加。人気のある女優の時はさらに客入りが良かったという。
(時事通信WEB 2008年のニュースより)
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上のヌードスタジオの場合は、モデルにポーズを取らせるなどして写真(静止画) の撮影を行っていただけだったため風営法だけで済んだが、こちらのケースではAV(動画)である。しかも性器の露出や接触まであったようだ。
公然と性器を露出させるという行為は、仮に風営法の許可を得ていたとしても許されないため、方法的にはヌードスタジオと似てはいるものの、こちらは公然猥褻でやられてしまった。これはストリップ劇場などが摘発されるケースと同じである。
さて、今や不況が続いているというより、これが普通という状況になってしまっているため、様々なグレー商売で稼ごうと考える人間が後を絶たない。しかし絶対に忘れてはならないのが「裸が絡む商売には風営法をはじめとする様々な法律が網の目のように張り巡らされている」という点である。
最初に取り上げたクラブ規制については「今現在に合わせた法律に変えろ」という方便で戦えるのだが、下の2つに関しては「裸商売」を甘く見た時点で救いようがない。
では最後のAV撮影会のケースをどのような形で開催すれば助かったのだろう? 以下は犯罪を推奨している訳ではなく、「ここまでお約束を守らないと裸商売は出来ないよ」という警告だとお考えいただきたい。
<前提>
・性器を含めた女性の裸を撮影したい
・お金を稼ぎたい
・ひとを集めたい
この3つをすべて実現するには、方法はひとつしか思い付かない。 それは普通にAV作品を撮影する事である。撮影会として客から金を取った時点でアウトなので、その場にいる参加者はすべてスタッフだという建前を作る必要がある。そのため、参加者には5円でも10円でもいいのでギャラを支払わねばならない。ついでに言うと "参加者" という呼び方もNGである。あくまで "出演者" ないしは "スタッフ" という呼称にせねばヤラれてしまう。
<実現させるための建前その1>
・これは有料撮影会などではなく映像作品の撮影である
・その場にいる人間は全員スタッフか出演者である
だが、これだけではまだ足りない。次に考えるべきは "性行為" をどうするかだ。性行為とは、ハッキリ言ってしまえば性器の抜き差しがあるかないかである。いわゆる擬似本番でいいなら話は簡単だが、そうでないなら特に注意が必要だ。なんせこの国では 「女性器に男性器を挿入する映像作品は存在してはいけない事になっている」のだから。 これらをクリアした上で、なおかつ「客から直接金を取っているじゃないか!」 と突っ込まれないようなシステムを構築できれば、もしかしたら合法的にAVの撮影会が開けるかもしれない。「こういう方法なら行けるかも?」というアイデアが無くもないが、それを公表すると問題が起きるのでここでは伏せておく。
ところで、上で触れた女性器と男性器うんぬんについて理解していない人間が多すぎるのだが、皆さんが慣れ親しんでいるであろうAVに何故モザイクが必要か解るだろうか? あれには下記のような冗談みたいな理由があるのだ。
・女性器に男性器を挿入する行為はしていない
→性器はモザイクで隠している
→倫理団体の審査を通過している
→だから合法である
ザックリと乱暴な言い方をすれば、写してはいけない性器を隠すためというより、挿入行為がないのを隠すためにモザイクがあるのである。今となってはこんな言い分がどうして通るのか不思議でしょうがないが、現実に今の日本でAVが合法的な映像作品として存在が許されているのは、上記のモヤモヤした言い訳を守っている、もしくは守っているという事になっているからだ。
よく「モザイクなど撤廃しろ」という声を挙げるひとがいるが、仮にそれが実現してしまったら問題が起きる。むしろ事件が起きる。様々な法律が相互に干渉し合っているため、ひとつふたつ法律の文面を変えただけでは、日本国内でのモザイク撤廃は実現できないのだ。
もしもモザイクを無くすとしたら、少なくとも下記が必要となる。これらを売春などの性犯罪を抑えられるような文言で整えなければならない。
・性器の露出を一部合法化する
・公然と性行為をする事を一部合法化する
・それらを映像作品として記録し販売する事を合法化する
また、過去に発売されたAVのノーモザイク版が発売されたとしたら、それはそれで大事件になってしまう。なんせその作品が撮影された時点では、日本国内には性行為をしている合法的な映像作品はないという建前が活きていたからだ。
それを審査するために警察OBの天下り機関として有名な倫理団体がある訳で、その団体は審査と、審査を通過したという証明になるシールとで金を取っている。もしも無修正版が出回って、その作品の中で性行為が行われていたとしたら、この審査団体はメーカーから金をふんだくって何をやっていたのかという追求の声が挙がってしまう。
言ってみれば賄賂を受け取って犯罪行為を見過ごしていたも同然なのだから、よほど上手にやらないとタダで済む訳がない。最低でも「過去作品に関しては再発売を禁ずる」など、面倒くさい一文を追加する必要があるし、それが他の法律に抵触しないか、他の抜け道がないか確認する必要もあろう。
このように、旧態然とした問題だらけの風営法とそれが適用される業界、雁字搦め過ぎて何をどうすれば法律を守っている事になるのか理解し難い裸商売とは、素人さんが思い付きで商売を始められるような状況にはない。もし何か商売のアイデアを思い付いたとしたら、まずは弁護士や法律に詳しい人間に相談すべきだ。一部には現実と剥離した意味不明の法律まで存在しているので、独学ではどこに落とし穴があるか理解し切れないほど複雑怪奇なのである。
Written by 荒井禎雄
Photo by village公式ホームページより
[Frameチャンネル]http://ch.nicovideo.jp/frame
新宿歌舞伎町のBAR『Frame』で夜ごと繰り広げられるアングラ&フェティッシュワールドを、ニコニコユーザーの皆様に覗き見して頂くチャンネル。『東京ブレイキングニュース』の執筆陣(草下シンヤ・荒井禎雄)らによる 「勝手に公開編集会議」 を放送しています。記事に対するご意見ご要望などありましたら、ぜひご参加ください。
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