室井佑月さんに聞くネット言論とヘイトとフェイク 「Twitterを始めて分かったこと」(前編)

TABLO / 2019年6月16日 11時31分

作家・コメンテーター室井佑月さんがツイッターを始めて一か月が過ぎました。ブログはやっていたけれどSNSは始めてという室井さんに、ツイッターを通して今のネット・政治・原発についてどういうことを感じているのかを語って頂きました。(編集部)

「何でみんな対立しなければならないの?」

――ツイッターを始めて、一か月過ぎたと思うんですが、リプに対して的確に対応されていらっしゃいます。煽りについてはどう思います?

室井佑月さん(以下・室井さん):私、この仕事の前ホステスやってて、その後は芸能界にいるんだよ(笑)。煽られてとかそんなのは……(苦笑)。腹は立ったりするけど、一瞬ね。それだけ。

――ケンカするのもいいかもしれないですね。

室井さん:ケンカっていうか、なぜ、みんな対立していかなきゃいけないのかなと思っちゃう。たとえば貧困問題だと低所得者の人VS生活保護の人でしょ。それと改憲。原発のことは消費者VS生産者になっちゃったでしょ。

――対立はヘイトを生みますからね。

室井さんさん:すっごい酷いこと言われたりもするけど、そのままにしてる(笑)。

――あえて反応しないで。

室井さん:うん。それは意見を言う仕事をしてるから、そういうふうに批判されても仕方ないと思ってるところもある。私にヘイトの言葉をぶつけてきてもべつにいい、でもほかの弱いところにはやめようよ、みたいな。いいや、私、意地悪だからそんなことは思ってなくて、何かあったときの資料に使えたらと思ってて(笑)。

――じゃあ、全部スクショ撮っておいたほうがいいんじゃないですか。

室井さん:え、あれ残らないの?

――向こうが削除しちゃったら。

室井さん:でもTwitter社に言えば、携帯の電話番号入れて登録するでしょ、だから1回書き込んじゃったらどういう人たちがやってたかはわかるはずなんだよね。

――開示請求したらそうですが、スクショは撮っておいたほうがいですよ。名誉毀損もののリプライとかけっこう来てるんですか?

室井さん:来てる。

――まだ始めて1ヶ月くらいですよね?

室井さん:だけど、いちいちそれで訴えるとか言うレベルじゃないよ、そういう人もいるけど(笑)? イベントの告知したくてTwitter始めたんだけど、けっこう嫌われてんだなーと思ったぐらい。

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――いや、チラッとタイムライン見たけど好きだっていう人も多いですよ。

室井さん:たぶんフォローしないでいろいろ言ってくる人がいると思うから、いまはそれを見ないようにしているかな。1回自分の上げるじゃん、そうすると10分も経たないうちに99+になっちゃう。

――ああ、リプライが。まだ「殺す」的なものは来てないですか?

室井さん:それは来てない。

「ソースって言うから毎日、朝日を挙げると『ほーら』って言われる(笑)」

――Twitterやってみてネット民はヘイトが多いなと思ったりしました?

室井さん:ネット民がとは思わない。人は誰でも心に薄暗い部分を持ってたりするじゃん。それが表に出やすいだけじゃね? あと誤解とかそういうものがすごく多いんだなと思う。たとえば「ソース上げろ」って言うからソース上げるじゃん。それが毎日新聞だったり朝日新聞だったりすると、「ほーら」って言うんだよ(笑)。

――ああ、わかります(笑)。

室井さん:新聞社って訴えられたらマズいから相当綿密に取材して書いてるから、デマとか流さないじゃん、ほんのわずかの例外を除いて。

――人生経験が違うから、そういう風に言わないと太刀打ちできないんじゃないかなと思いますよ。

室井さん:でも気づくところもあるんだよ。原発のことで私が福島を差別したとかイジメたとかって言ってることで。

――最近でしょ?

室井さん:ううん、前から言われてて。あのとき安全か安全じゃないかまだわからなかったとき、私は万全を期して子供の安全を真っ先に考えるべきだと思ったのね。で、思ったよりは大丈夫だったけど、ホントに危機一髪だったわけじゃん。

だって、あのときって関西方面のホテルとか取れないぐらいだったんだよ。メディアの人間は、レベル3って発表したときはもうレベル7に上がるってわかってたんだよ。だけど言わなかった。そういうことを知ってる人間で自分だけとか自分の子供だけと思わない人間が一生懸命言ったじゃん。それをいま「デマ」って叩かれてる。

でも、時系列で言うとそうじゃなくて、原発マンセー側のほうがひどいわけよ。甘利明の「日本はどうなってもいい」発言とか、そういう人たちが誘致してるわけでしょ。私は当時「(食物は)測って売ってください」って言ってて、いま全部測るようになって良かったと思う。

――放射能測定器を持っているんですよね。

室井さん:うん、お願いされて線量を測りに行くボランティアやってた。子どものいる人限定で。線量が高かったりすると、次になにをすべきかきちんと考えられる、そういって感謝された。逆に、低かったりしたら一緒に喜んだ。けど、大声では喜べなかった。だって、道一本挟んでおなじ町内で高いところがあったりして。

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食べ物も最初は全部測ってなかったじゃん。それなのにすぐ「給食は地産地消で」とか、「子供を修学旅行で招致する」とか、子供を使ったら安全ってみんな言うだろうっていう、そういうことが起きた。あたしはそれが野蛮だと思ったから、そう言ったの。そしたら、「根拠を挙げろ、根拠を挙げろ」って言われて。でも、あの時、全部の根拠を挙げられる人なんていなかったんだよ。絶対に安全といえた人もいなかった。

――Twitter見たけど、最初何を争ってるかわからなくて。

室井さん:いまだに山本太郎(衆議院議員)ちゃんとは心の友達のような気がしてる。周りのメディアの人はみんな「大人になれよ」って言っただけだったからね。

メディアの多くの人は頭が良いしチェルノブイリのことも調べてたし、福島第一原発の事故が危機一髪だってことも知ってた。私は高校卒業してヨーロッパに1年間行ってたから、チェルノブイリ近郊にいた人に会ってるの。すぐ疲れちゃうんだよ。そういうの見てきてる。

でも福島差別だという人の言いぶんは、「安全だったんだから、あれだけ風評被害の原因になったんだから謝れ」って言うんだけど、あたしが謝るの? 怒りは事故を起こした東電や金目当てで安易に誘致した政治家に向けられるべきじゃない? だからその例として、高木大臣の父親の招致するときの言葉とか新聞に載ったヤツを上げたわけ。だけどそれさえも「風評被害」って言われちゃうんだよね。

――風評被害じゃなくて事実として。

室井さん:だけど時系列で「こうだったじゃん」って言っても、それ以上に言ってる人たちが何十人かいて。チョロッと暇なときにその人たちのTwitter見てみたんだけど、みんな安倍さん擁護なの。だから私はそれも書いてみたの。

「安倍首相=この国と思ってるところに齟齬があるんじゃないか」って。で、「安倍ガー言ってれば金になるヤツだ」とかすごい書かれてるから、私が「安倍ガー」って言うのには理由があるから上げてくわって言って書き始めてるんだけど、向こうがいつ気づくかなと思ってるの。これ以上言うともっと上げるって。どう思う?

――いつものネトウヨ。いいんじゃないですか? SNSの対応がすごく上手いんで、あんなにスマートにできる人なかなかいないでしょ。

室井さん:そうなの? でもさ、ネトウヨって呼ばれてる人って、一応この国のことを考えてる人たちなんだよ。政治のことって関係ない、お金の遣われ方ってけっこう重要だから、税の分配をどうするかって。

だからみんなで政治の行方を見てないと、ホントに困ってる人たちとかホントにたいへんなところに遣われなかったりするじゃん。で、この国の行き先もデタラメに決めたりする。

だから見てなきゃいけないことなんだけど、ネトウヨって呼ばれてる人は、例え間違っていても見てる人だと思うの。だからぜんぜん無関心の人よりも訴えかけると意外と響くんじゃないかなと思ってるんだけどね。

方向が違うっていうか、考えてる正義が違うだけで、正しいことしたい人たちなんじゃないの? 正しいことしたいって発想もない人もいるでしょ、自分がいま幸せか幸せじゃないかってだけの人からすると一歩進んだ人だと思うのよ、自分の意見を発信したいとかね。どう思う?

――納得ですよ。(後編に続く)

関連リンク:室井佑月さんに聞くネット言論とヘイトとフェイク 「Twitterを始めて分かったこと」(後編)

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