「警察は動いとらん」ある闇医者の嘆き...西成マザーテレサ不審死事件【続報5】

東京ブレイキングニュース / 2014年3月5日 13時23分

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「西成のマザーテレサ」こと、女医の矢島祥子さん(当時34)の不審死事件を追い続けて半年が過ぎた。西成の労働者に、「さっちゃん先生」と親しわれ、その献身的な活動ぶりや本人がマザー・テレサを尊敬していたことから、「西成のマザーテレサ」と呼ばれるようになった矢島さんをめぐる不可解な事件である。

 あいりん地区の中心街から歩いて数分の場所にその人物はいた。一見、この地区では珍しくもない文化住宅の一角。匿名を条件に取材に応じてくれたのは、生前の矢島さんと面識があったという初老の男性だ。招かれたのは六畳一間で医療器具が無造作に置かれれた小さな部屋だった。男の職業は、西成では「闇医者」と呼ばれている。

「この地域では生活保護を受けられない連中、つまり手配がかかってる人間。それにちょっとしたトラブルで怪我しても正規の医者にはかかれない連中を相手にしている。こうかれこれ、"開業"してから20年にはなるなあ」

 元々は正真正銘の医師だったという。だが、ある医療事故で免許がはく奪され、「闇医者」稼業がスタートした。医師時代の経歴を聞いても「それは言えない。言えば身元がわかるから」と頑なだ。そもそも医療技術はもっているのだから簡単な手術もできる。むしろ、そのくらいの技量がないと闇医者とは言われない。男が矢島さんと面識を持ったのも、「闇医者」としての肩書きが発端だった。

「矢島先生から、この患者診てやってくれ、という頼みごとが何度もあった。保険証がない人間、生活保護が理由があって受けられない人間。そんな連中をあの先生はほっとけなかったんやろな。代金もあの先生が立て替えて払ったこともあった」

 矢島さんの、西成の労働者に対する献身的介護の一端がわかる証言だ。矢島さん不審死事件は当初自殺と断定されたが、12年に遺族が提出した「殺人・死体遺棄事件」としての刑事告訴状が受理され、再捜査が行われることになった。だが、警察が周辺を捜査している気配はない。

「西成の誰かが事情聴取されたという話も聞かないし、ワシらのような関係者に警察が話を聞きに来たこともない。もう解決は無理やないか。今さら聞き込みに回ったところで誰も噂しとらん。警察も動いてないとちゃうんか。この地域には、誰も触れられないタブーがある。警察もそれを明らかにはしたくないはずやからな」

 この男性が語るには、あいりん地区の医者は大きく二つに分かれるという。使命感を持って医療に従事するタイプと、医療を貧困ビジネスの一つとして捉えているタイプ。殺された矢嶋さんはもちろん前者で、この両者は当然のように対立している。

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