福島県の珍スポット「カッパ村」が廃墟寸前 「どうかしてる1人」が創り上げる幽けき灯火が消えかけている|Mr.tsubaking
TABLO / 2019年6月28日 13時35分
私が珍スポットに出かけるようになったのは、2006年ごろのこと。
当初は時間のあるときに、たまに出かけている程度。そんな中で埼玉県東松山市に「神秘珍珍ニコニコ園」なるスポットがあることを知りました。田園風景にプレハブが何棟も並び、その中には奇怪なオブジェが所狭しと並べられているという場所。私は、すぐにでも行こうと思ったのですが、同スポットを知ったのは、皮肉にもニコニコ園の園長が亡くなり閉鎖されたという記事でした。
珍スポットは「どうかしてる1人」が生み出しているものが多いため、とてつもなく儚いものだと気がつきました。私はそれからというもの、時間の許す限りそうしたスポットに手当たり次第に行くようになりました。今回はこの2019年に、もう風前の灯となっているスポットの紹介です。
福島県田村市。ここに箭内隆寿という人物がいます。コンクリートの製造会社の元社長で、独学で製作するコンクリ像が会社に密集するように並んでいます。
その作品群は、独学らしいオリジナリティがほとばしり、私の琴線にビシビシ触れてくるものばかり。この下里工芸からほど近い場所に同氏が製作した作品がさらに大量にある「カッパ村」なる場所があります。
実はこのカッパ村が、ご覧の通り限りなく廃墟に近づいているのです。温泉旅館「花の湯」の敷地の一部にあるカッパ村ですが、旅館への人の出入りはあるもののこちらは鬱蒼と下草が茂り始めています。その茂みの中に並ぶ箭内タッチのカッパたちが、悲しげに立ってゆっくりと終わりを待っているようです。
町おこしになればと、一人で次々と作品を生み出し展示していった箭内さん。ネットを見ると2017年ごろまでは製作しているお姿が見られますが、昨年以降の情報が見当たりません。下里工芸に電話をかけてみましたが「現在使われておりません」のアナウンス。
花の湯さんに電話をかけて確認して見ましたが、「箭内は最近見かけておらず現在どうしているかもわからない」とのこと。
主人を失い雨風にさらされた姿は、痛々しささえ滲むようです。2015年頃にはアンパンマンのキャラクター100体の制作にチャレンジされていたようで、その名残が虚空を見つめています。
バブル期に雨後の筍のように全国にできていった秘宝館も、ここ数年で次々と閉館しています。盛者必衰、栄えたものも必ずいつかは衰え滅びて行くといいます。栄えたことさえなく「個人の趣味」の延長にある場合が多い珍スポットは、とても幽けきものなのです。
思い立ったら、出かけてみませんか?
最後に、田村市を盛り上げようと頑張った箭内隆寿さんの消息がお分かりになる方は、お知らせくだされば幸いです。(Mr.tsubaking連載 『どうした!? ウォーカー』 第36回)
■カッパ村
福島県田村市船引町船引あざ沼田65-16
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