一斉解禁した「ジャニー喜多川さんの映像」は誰が判断したのか 誰もが初めてテレビで見た“動くジャニーさん” |平本淳也
TABLO / 2019年7月10日 15時30分
激震が走った深夜の訃報。それはニュースとなり世界中にも駆け巡った大きな事件的な扱いに等しかった。日本を代表するエンターテイナーの悲しき報せに落胆する模様が一晩中続いたが、驚いたのは早朝にあった。
各局で報じられた追悼番組化したワイショーで「動くジャニーさん」を画面を通して初めて見たことだ。生ジャニーさんは数え切れないほど見ているが、テレビで見るのは私を含め誰もが初めてだったはずだ。
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「ジャニーさんってどういう人?」と何十年も尋ねられてきた。しかしこの人物像は歴史的偉人にも相当するほど説明が難しいと感じていたが、7月10日は「ジャニーさんを初めて見た日」、そして同時に「初めて知った日」ともなるだろう。
日本一有名な「社長」と言っても過言ではないが、名前だけでこれだけ話題になる愛された人物もそう多くはないはずだ。それこそ歴史的人物に相応しく信長や秀吉に竜馬に隆盛と「知らないけど(なんとなく勝手に)知っている」の分類に入るのではないだろうか。
日本を代表する世界的な記録をいくつも作り上げてきたエンタメ業界の至宝で絶対的トップではあるが「裏方」に徹してきたゆえ、流行の出たがり社長とは異なり「謎めいた人物像」のまま最後まで生き抜いたこともある種の功績のひとつではなかろうか。
しかし芸能界を仕切る重鎮の方々はメディアには出ないのが通例で、バーニンググループの総帥である周防さんもその名前だけで多くがひれ伏す威厳があるが顔は誰も知らないだろう。ナベプロ(創設者)、ホリプロ、田辺、吉本あたりは皆もよく知ることができるが、知らないからこその魅力も印象として多くをブランディングできたとも言える。
それゆえ感心したのは「カメラは常に撮っている」ことだ。いつか使うだろうというメディアのそつのない姿勢は素晴らしいと思うと同時に、結果的に追悼での資料となってしまったことに悔しさもあるが、メディアに出ない一切規制だった肖像を使うとしたら犯罪か追悼となる。それでも思い切った局の判断には驚いた。
マスコミ宛てに配信されてすぐに深夜のトップニュースで報じられ、数時間ののち映像をまとめて早朝からオンエアするにはおそらくジャニーズ事務所の許可は取っていないと思われる。細かく言えば「許可を取る相手が存在しない」から肖像フリーとなって実現したのだろう。
ジャニーズ(ジャニーさん)が許可したのは「ギネス」の時に撮って発表した写真だけで周知なっているのも、サングラスにキャップという姿にジャニーさんのイメージはわからなくなる一方だったが、それ以前に多くの情報を発信してきた僕が持っている写真をマスコミの多くが使っているので辛うじて顔はわかるくらいだったのが、これまでだ。
解禁されたのは「ジャニーさん」だけではなく、同時に「SMAP」や「光GENJI」、あるいは「TOKIO」に、古くはフォーリーブスなど犯罪者や反旗を翻して去った印象が強いメンバーやグループはなるべくして抹殺してきた過去もジャニーズの歴史に華々しく返り咲いた。
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ジャニーズ規制の代表的な例で言えば「映すな、出すな、(そんなメンバーは)最初からいない」といった過去は消し去って「現在」のみを押し出していく傾向があるゆえにマスコミも忖度するわけだが、こうなると重要必要項として欠かせない歴史背景の演出に遠慮はしていられないだろう。
いつかはと思ってはいたが、こんな日が来てしまうとは寂しく悲しく、そして悔やまれること他ならない。誰よりも東京五輪を楽しみにしていたジャニーさんにあと1年だけでもという願いを切に願っていたのはジャニーさんを知る人なら誰しも同じ気持ちだったでしょう。
一方では異なる意味で帝王の病状を伺う者も多く存在していた。思えば先月18日からこれまで芸能界は大きく揺れていた。それはジャニーズ内々に限らず虎視淡々とその座を狙う同業他社たちにもあった。それは戦国時代を彷彿させるかのごとくである。武将や首長の身に有事が発せられたときその都度、国が動いてきたかのような印象だ。
芸能界の一大勢力であり不動の帝王だった渡辺プロダクションの渡辺晋さんが亡くなったとき業界が一変した歴史を思い出す。森進一を発掘して育てたり、「ジャニーズ」を芸能界に送り出すなど「ナベプロのスタッフ」として手腕を発揮していたジャニーさんは「親」が亡くなった途端、ナベプロのシェアを自らの手に収めていった。
ビジネスの世界では当然だが、生き残りをかけた戦術としてもこの姉弟(メリー&ジャニー)に適うものは存在しなかったのも事実。それから数十年、君臨してきたエンタメトップの座が今後、安泰ではない(企業としては絶対的安泰)ことも容易に理解はできるだろうが、創りあげたジャニーズのブランドは永遠と続き世に出た作品も語り継がれて永遠と化す事でしょう。(文◎平本淳也)
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