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「この写真いくらで買う?」情報提供者と接触した!西成マザーテレサ不審死事件【続報6】

TABLO / 2014年4月5日 15時22分

「この写真いくらで買う?」情報提供者と接触した!西成マザーテレサ不審死事件【続報6】

 

 大阪の西成で、「マザーテレサ」と呼ばれていた女医の矢島祥子さん不審死事件を追い続けて約半年になる。この一連の記事がきっかけで、テレビ局が動き、事件の闇が照らされることになった。ご遺族の苦しみもクローズアップされた。それと同時に、「この事件をこのまま隠蔽したい」と考える裏社会の人物にも警戒感が広がっているようだ。

 先日、筆者の元にある人物から連絡が入った。この事件に触れて以来、これまでも無言電話や脅迫の類いが数多くあったが、今回のものはそれらとは様子が違っていた。

「事件の核心を知る人間が会いたがっている」

 こんな連絡があったのだ。筆者は、久田編集長と相談の上、不測の事態を想定しつつ用心して現地に入ることにした。

 この事件の取材では、西成の事情を表から裏まで知るキーパーソン数人に協力してもらっている。話の出所がひとつだとその人間が特定されてしまうからだ。その中のひとりが今回の話を仲介してくれた。彼とは西成界隈の喫茶店で落ち合い、事前準備を進めた。

 今回会う相手は、万が一、事件の実行犯につながる可能性もある。いざと言う時の通報の態勢など、出来るだけ万全の処置を取った。そして待ち合わせに指定された場所に行く。指定された場所は繁華街にある個室バーだった。

 まず名刺交換から始めたが、その人物は一切事件には関係ないと前置きして、「西成の現状を伝えたかった」と話し始めた。現在の貧困ビジネスがどのように進化しているのか。どの勢力が力を増しているのか。そんな話がしばらく続いたことで、筆者の落胆した空気を感じたのか、途中である一枚の写真を差し出した。

「これ、いくらで買ってくれる?」

 その写真は、事件に深く関わる人物のものだという。それを買えというのだ。そこには、初老の男性が写っている。一見したところ、裏社会の人物とは思えないほど柔和な表情を見せていた。だが、要求された金額はあまりに法外なものだった。

ーーとてもじゃないが、そんな金額は払えない。これは警察当局は知っている話なのか?

「知るはずないだろ。警察が知っていたら、そんなのネタにならん」

ーーでは、この人物はどのように事件に関係しているのか?

「それは金を払ったら、すべて洗いざらい話す。まずは金が先だ」

ーーそれは無理だ。そもそもあなたはこの事件について、どの程度知っているのか? その辺りを聞かせてくれないか。

「鍵を握る人間はもうとっくに殺された、と聞いているがな」

――それは、不審火で亡くなったXさんのことを言ってるのか。

「あの不審火は、オウム真理教の村井秀夫と同じ意味やろ。つまり、事件の真相を知る人間の口封じやな。これはあくまでも聞いた話ということにしてくれ。この事件には、初めからストーリーがあったわけや。それは警察も含めてな。西成は警察からNPO、労働組合、宗教団体、医師、それとヤクザが抑えてる街や。全て彼らで組めば絵図を描ける」

――絵図とは何か?

「例えば、他殺と自殺では大きく違う。時間稼ぎはいくらでもできるやろ。捜査体制が全くちゃうからな」

――矢嶋祥子さんには「西成」が封印しなくてはいけない何かがあったということか?

「彼女がどんな行動を起こしていたのか、どんな活動をしていたのか。わしがもし知っとたなら、そんなヤバいことはやめとき、と止めたやろな」

ーー矢島さんは生前、自分の稼ぎをほとんどホームレスなどのサポートに注ぎこんでいた。そんな善意の行動のどこがヤバいのか。

「そんなの知らんがな」

ーー事件の核心を知る人物、とのことだったが。

「話す前に写真、買うんか? 買わないんか? はよ決めろや」

 この人物は金目当てだったのだろう。法外な金額による買い取りを再度断ると、急に不機嫌になり、席を立ってしまった。

 この事件の闇は深いが、その真相の欠片は西成じゅうに転がっている。それらをつなぎ合わせて憶測を書くこともできるが、事件は捜査が再開したばかりで、それを妨げることはできない。この事件を解く鍵が見つかることを祈りたい。

Written by 西郷正興

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