「合コン」は死語 今の若者はなんと呼ぶ? 平成で一番モテていた企業の「合コン文化」とは|中川淳一郎
TABLO / 2019年7月16日 17時23分
今や「合コン」は死語である。どうやら最近の若者は合コンをあまりしないうえに、呼び方としては「飲み会」となっているそうだ。「合コン=合同コンパ」がダサ過ぎる言葉になっているのであろう。
先日、女性向け恋愛情報サイト「AM」の編集者とやり取りしていたところ、「飲み会(合コン)で人気者になる方法」を教えてほしいと言われた。「今の若者、合コンなんてするんですか?」と聞いたら「アラサーの女子はやるんです♪」と言われたので、20代前半の若手にとっては、平成というか旧石器時代的文化なのかもしれない。
さて、平成の合コンだが、私が新入社員として博報堂に入った1997年(平成9年)、週刊SPA!が「会社別合コン人気ランキング」みたいな大特集を展開した。すると、我が社はなんと1位だったのである!! 電通社員の態度の悪さが書かれており、ここで私は「あぁ……。モテなかった大学時代。合コンなんて1回しかやることがなかった大学時代がここで幕を閉じるのか……。いい会社に入った」と、しみじみと感じたのである。
しかし、合コンなど新入社員の年には1度も参加することはなかった。というのも、私が配属された部署は、企画系の部署で、まったくチャラくない。オタクや研究者タイプが多い部署でとんと合コンがないのだ。
そして2年目、営業から3年年上の先輩が異動してきたのだが、彼の登場は我が部署に合コン文化をもたらすこととなった。
「よっ、お前、若いから合コン好きだろ? ANAの客室乗務員と恵比寿でやるけど来ない?」
こう誘われたのだ。これは行くしかないだろう! 行ってみたのだが、先輩方のノリがものすごくハイテンションで、オタク気質の私はとんとそこに乗っかることができなかった。しかし、ANAの皆様方はこの手のハイテンション広告代理店的合コンのノリは散々経験してきたので、その中の一人の美女とは連絡先交換に至ることができた。
参考記事:覚えているだろうか「女子大生ブーム」を 私が完全に乗り遅れた原因は“西武線のせい”だ|中川淳一郎 | TABLO
当時は「電子メール」と呼ばれていた
私の大好きな岡江久美子似の10歳年上のMさんに翌日、さっそくお礼のメールを書いた。1998年、まだPCメールは一般的とはいえる状況ではなく、「仕事をやっている人」「ネット好きな人」向けのツールだった。しかも、個人でプロバイダ契約をしている人は「かなり進んでいる人」だった。
Mさんには、ANAのアドレスに送るのではなく、パナソニック系のhi-hoのメールアドレスに送った。私の手帳に彼女はアドレスを書いてくれたのだ。文面はこんな感じだ。
「昨日はありがとうございました。楽しかったです。本当は会社を辞めようと思っていたのですが、今回こうして合コンに参加することができ、『この会社にいるのも悪くないな』と思いました。すべてMさんのお蔭です。改めて御礼申し上げます」
するとMさんからは以下のようなメールが来た。
「楽しかったのであれば、それは私にとっては想定していなかったことではありますが、良かったです。御礼に、迷惑なミカンをお送りします」
当時、意中の人から電子メール(と呼んでいた)が来た時は、映画『You’ve Got Mail』のごとく、開封する時に無駄にワクワクしていた。Mさんからのメールを開けてみたら、当時の人気キャラ「ミカン星人」がデスクトップ上でうろちょろする解凍ファイルがついていた。
以後、このミカン星人は私のデスクトップ上をうろうろしていたのだが、Mさんとは果たしてどうなったのか?
自分は24歳で彼女は34歳。私は積極的に「会ってください」とメールを書いていた。だが、あちらはあまりにも年が離れすぎていることでガキ扱いしていたのかもしれず、なかなか会ってくれなかった。
そんな中、Mさんの同期の客室乗務員・Kさんが我々二人を自宅に招待してくれるという。なんでそのような展開になったのかは覚えていないのだが、合コンがついに発展をもたらしてくれた!
Kさん宅で酒を飲み、4時間ほど経ったところでKさんは「じゃあ、今からアンタ達送っていってあげるわよ。車取ってくるからね」と言った。初めて2人きりになった我々だが、10歳年上の、しかも美しい人に自分は何を言っていいのかが分からず、こちらはドギマギしてるだけだった。
約20分後、Kさんが戻ってきた時にまず彼女が言ったのは「なんだ~、アンタ達、ヤッてなかったの? せっかく私が気を利かせて車を取りに行ってあげたのに」だった。この後も色々あり、結局美人に対して何をしていいのやら分からないダサい若い男である私は平成前期の合コンの作法がまったく分からなかったのだ。
Kさんの家は初台で、私の家は恵比寿、Mさんの家は八丁堀。Kさんは八丁堀まで最終的には行くつもりだったが、私は「恵比寿で降ろしてください」と言った。
あの時、一体どうするのが正解だったのかはまったく分からない。しかし、平成のあの頃は東京の各所で合コンが展開されていた。(文◎中川淳一郎 『俺の平成史』)
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