ボクシング最速王座の井上尚弥は歴史を作れるか?【K-1格闘家コラム】
TABLO / 2014年4月9日 14時7分
![ボクシング最速王座の井上尚弥は歴史を作れるか?【K-1格闘家コラム】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/knuckles/knuckles_1399_0-small.jpg)
Photo by 真っすぐに生きる。/井上尚弥
4月6日に井上尚弥・八重樫東ボクシング世界戦Wタイトルマッチが行われた。はじめに登場したのは3度目の防衛戦となる八重樫選手。王者らしい試合を見せて、絵に描いたような右のクロスカウンターで8RKO勝ちとなりました。
試合後には同じ日に試合を終えた「強すぎて対戦相手がいない」と言われるローマン・ゴンサレス選手がリングイン。ゴンサレス選手は38戦38勝。負けはおろか引き分けすら無いパーフェクトレコードを誇る強豪です。
さらに軽量級としては異例の33KOを記録しています。勝率は100%、KO率も86%です。八重樫選手も「今のままでは勝つのは困難」というとおりの正真正銘の怪物です。
ゴンサレス選手はマイクを持ち、八重樫選手を祝福するとともに挑戦を表明しました。八重樫選手も「やってもいいですか?」とマイクアピール。他の世界チャンピオンが対戦を逃げるほどの実力を持つゴンサレス選手との対戦を受諾した八重樫選手は、男ですねぇ。これは楽しみです。
続いて日本最短記録となる6戦目で世界タイトル獲得が期待される井上尚弥選手が登場しました(これまでの最短記録は井岡一翔選手の7戦目)。Wham!の『フリーダム』が流れる場内を、いつものように父でありトレーナーの真吾さんを従えて笑顔で入場する井上選手。堅さはなさそうです。
対するチャンピオンのアドリアン・エルナンデス選手は減量苦で頭を丸刈りにしたとの噂も流れていますが果たして......。序盤身体を揺さぶりながらプレッシャーをかけていく王者のエルナンデス選手。対する井上選手はステップを踏んで素早いジャブを突き刺していきます。スピードなら井上選手、パワーならエルナンデス選手の展開が続くかと思われたところで、チャンピオンのボディへ井上選手の右ストレートがハードヒット! これで一気にチャンピオンのプレッシャーが弱まります。
その後も井上選手は、左フックのカウンター、右ストレート、左ボディなどを要所で決めて、やりたい放題と言った感じになりました。自分の攻撃はまったく当たらないのに相手からのパンチはヒットする。それならとデフェンスに回れば、今度は一方的に打ちまくられる。チャンピオンからしたら、たまったもんじゃないですね。
3Rにはチャンピオンが左目をカットしました。このままでは傷が深くなりドクターストップになると思ったのか、次のラウンドでは猛然とラッシュをかけてきました。しかし井上選手は接近戦でも強さを発揮して逆にチャンピオンを後退させます。ここまでの井上選手は、すべてにおいてチャンピオンを上回り、次元の違う強さを見せていました。
5R。足を止めて接近戦の打ち合いが増え、井上選手がパンチを被弾する場面も増えてきました。この試合で初めてヒヤッとするシーンもあったほど。ゲスト解説の村田諒太選手も言っていましたが、井上選手は減量がかなりきついそう。その影響なのか口も開くなど、ややスタミナが切れてきたように見えます。
この時のリングサイドレポートによると、足をつりかけたとのこと。ボクサーなどの階級制スポーツにおける減量とは、ダイエットと違い水分で一気に体重を落とします(もちろん体脂肪も極限まで落としています)。
その水分とは汗のことです。汗を舐めるとしょっぱいように水分の他にミネラルも含まれています。足をつるのは水分不足とミネラルバランスの乱れが原因と言われています。まさしく減量苦の状態ですね。計量後に水分補給、栄養補給で回復させますが、なかなか一日では完全に元の状態にまでは回復しません。
そして迎えた6R。接近戦での打ち合い。その中で狙いすました打ち下ろしの右ストレートがクリーンヒットしました。崩れ落ちるチャンピオン。井上選手が日本最短記録で世界チャンピオンに登り詰めました。
一瞬、ヒヤッとしましたが、井上選手は強いですね。間違いなく記録を塗り変えていく選手になるでしょう。井上選手はまだ二十歳です。今後身体が大きくなるに連れて階級も上げ、複数階級制覇を狙っていくものと思われます。
ひとつ上のフライ級にはWBC王者の八重樫選手やローマン・ゴンサレス選手。5月7日にIBFタイトルに挑戦する井岡一翔選手も控える激戦区。さらにその上のスーパーフライ級には、WBA王者の河野公平選手や亀田大毅選手、亀田興毅選手と色んな意味で話題の日本人選手が勢揃いしています。ゴンサレス選手は違いますが)。
井上選手には、これらの選手と拳を交えて、文字通りの世界最強を証明していってほしいものです。
Written by 大野崇(プロキックボクサー、元K-1 JAPAN選手、トレーナー)
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