「進撃の巨人」実写版ロケで注目を浴びる軍艦島の現在

TABLO / 2014年5月2日 12時39分

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 軍艦島(長崎県長崎市端島/端島炭鉱)が、1974年(昭和47年)の閉山から40年という時を経て、「時代の最先端」に躍り出ようとしている。

 そのキッカケとなったのは、ネット配信されたニュースだった。4月2日早朝、Yahoo!ニュースなどが、"『進撃の巨人』実写版映画(樋口真嗣監督)、軍艦島ロケを敢行!!"と記事配信をすると、軍艦島の名前は、一躍全国区に躍り出た。

 長崎港の南西約18キロの洋上に浮かぶ軍艦島は、石炭採掘の最盛期となる1960年(昭和35年)に5300人(人口密度は東京都の約9倍!)以上の人口を抱えていた。

 しかし、"石炭から石油へ"というエネルギー革命によって1974年に閉山されると、これまでの40年間、無人島となっていた。長崎市によって観光上陸が「解禁」されたのは、今から5年前の2009年(平成21年)4月のことだった。当初は、「ガッカリ観光地になる」などと揶揄されていたが、昨今の「産業遺産ブーム」も手伝って、昨年の9月以降は、土日ともなれば、どの観光クルーズ船も満席状態が続いていた。そこに『進撃の巨人』である。ゴールデンウィークが始まってからは、観光客が我先にと押し寄せている。

 軍艦島に上陸するための観光クルーズ船は、長崎港から発着している。これに乗って同島のドルフィン桟橋で降りると、親切なガイドさんが昔の写真が収められているファイルを掲げながら案内をしてくれる。観光ポイントを事前に知っていれば、楽しみ方も倍増する。

 観光遊歩道の長さは、220メートル。見学場所は、ここに3カ所用意されている。その中でオススメしたいのは、第2、第3見学所だ。第2見学所の正面にある煉瓦造りの建物は、第三竪抗捲座跡というもので、竪抗櫓(たてこうやぐら)に設置されているケージをワイヤーロープによって昇降させるための機械(巻上機)が備えつけられていた施設だ。煉瓦の部分は、外壁のようにも見えるが、これは内壁だった。これが造られたのは、明治時代のことになる。

 ドルフィン桟橋界隈は、「鉱業所」と呼ばれていたところで、海底で掘り出した石炭を陸上に上げていた場所となっていた。そのため、今でも選炭施設や貯炭場、竪抗桟橋などの遺構が残されている。

 第2見学所の先にあるのは、遊歩道の最終地点となる第3見学所だ。ここは軍艦島クルージング最大のハイライトで、1916年(大正5年)に建てられた日本最古となる鉄筋コンクリート造りのアパートである30号棟を正面に見ることができる。30号棟は、中央部分が吹き抜けになっていて、上から見ると「口の字型」をしている。当初は4階建てだったが、後から増築されて7階建てになった。

 総戸数は、約133戸。長年、風雨や潮風、直撃する台風に晒されていたことによって劣化が進んでいるが、辛うじてその姿を保っている。これらの貴重な建物を見ることができるのが、軍艦島クルージングの醍醐味だろう。

 いよいよ、この夏には、ユネスコの依頼を受けたICOMOS(国際記念物遺跡会議)が軍艦島の現地調査を行うことになっている。そして、来年6月、軍艦島が世界文化遺産に登録されることになれば、一大フィーバーが巻き起こることだろう。その時、軍艦島クルーズ船の切符を手にすることは難しくなるに違いない。ゆったりとクルージングを楽しみたいのであれば、このゴールデンウィーク明けに行かれることをオススメしておきたい。

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Written Photo by 酒井透

※株式会社シーマン商会の「さるく号」では、「軍艦島を世界遺産にする会」の坂本道徳氏のガイドが楽しめる。(http://www.gunkanjima-tour.jp)

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