「正論が通じない世の中になったものだな…」 N国党立花代表のマツコ攻撃を支持する識者たち|久田将義
TABLO / 2019年8月16日 9時32分
NHKを国民から守る党(以下、N国党)立花孝志代表が、マツコ・デラックスさんのMXTV『5時に夢中!』での発言に激怒し、スタジオに押し掛け抗議した事がSNSで話題になっています。
N国党のやり方を支持する、あるいは彼を応援する人は一定層いるのでしょう。そういう人達はそれで良いでしょう。一票入れる権利があるのですから。
ここでは立花代表に関して“どちらでもない”立場を取ります。彼を取り上げ、モテはやす識者について分析したいと思います。
名前を出すとその人の閲覧者数が増えるので出しませんが、有名心理ユーチューバーが立花代表をほめていました。「立花代表の見事なメディア戦略」みたいなタイトルでした。立花代表がツイッターで「褒められた」と喜んでいたので僕も見てみました。
ざっと以下のような理由で「マツコ・デラックスさんが失敗し、立花代表のメディア戦略が見事」と言っています。
「マツコさんは元々、弱者目線で物事を言うから支持を得ていた。しかし現在は売れっ子であり強者。強者がN国党の支持者をディスった。これは致命的なミス。そこにつけ込んだ立花代表が『私を批判するのは良い。しかし支持者を非難するのことに抗議する』これでマツコさんを強者の立場に引き上げたロジックが素晴らしい。これで一挙に大勢を味方につけた」
ざっとこんな論旨でした。
要するにマツコ・デラックスという、弱者の視線からものを言っていた人が収入・名声共に強者になった。その強者に対し、「私がバカにされるのはいい。けれど私に投票してくれた有権者をバカにするのは許せない」という弱者から強者に対しての図式作りと、論理に拍手を送っているのですが、これってそれほど絶賛される論理なのでしょうか。
よく使われる「俺はどうなってもいい。けれど●●をバカにする事は許さん」……。どこかで聞いた事のある論理です。
参考記事:上杉隆氏が「NHKから国民を守る党」の幹事長へ 僕は貴方に受けた侮辱を忘れていません|久田将義 | TABLO
そう、ヤンキー漫画です。ヤンキー漫画に出てくる定番のセリフです。
●●には友達・先輩・後輩・チーム等々、色々当てはめて下さい。誰でも言える陳腐なセリフです。別に絶賛されるものでもありません。こういうマッチョ的発想は個人的には嫌いではないのですが、僕のような頭の悪い人間でも「情に訴えてやろう」という戦略を立てれば、誰でも言えます。
識者でなくても、飲食店を営んでいる人は「うちの店をバカにするのは良い。けれどお客さんをバカにするのは許せない」とか。キリがないので辞めておきますが、応用編はいくらでも思いつきます。が、なぜか専門家にとってはこの程度が素晴らしいらしいので、皆さん使ってみてはいかかでしょうか。簡単なロジックです。
またN国党戦略(?)も、スタジオに押し掛けたのは、ユーチューバーやニコ生配信者などが、昔からよくやっていた手法です。僕も架空請求業者に電凸し、その会社所在地に行ったり、ネット上で自称アウトローとモメた時、実際に待ち合わせをした事があります。要するにネットの喧嘩をリアルに持ち込こむタイプでした。
こういう人、ネット黎明期にはいました。しかし現在では、さすがに飽きて淘汰されています。ただ、当時は「リアルに行くなんて男らしい」みたいな賛辞があったのを覚えています。
立花代表のスタジオ押しかけ抗議も全く同じ。使い古された手法。そして、未だに「さすがの行動力です!」と称賛しちゃう人々。時代から何も学んでいないようです。
攻撃的な演説も、あれは単なる扇動です。ああいう勢いに押され、あるいは引き寄せられる人々がいるのもこれも、むかーしから繰り替えされている事です。衆愚や大衆批判を言っていた故西部邁さんの言うことは大学時代、何となく嫌でした。大衆には僕も含まれているからです。でも、今は僕も含みつつの大衆に対して懐疑的にならざるを得ません。
ただ、こうして取り上げる事自体が(ここでも取り上げているが)、「立花代表のメディア戦略では」と言われるかも知れません。しかし、前段で書いたように、ここではN国党に何かを期待したり、論じる「識者」について疑問を呈しています。
ついでに言うと、こういう記事には支持者が反応すると思うのですが、「アンチを増やして支持者を増やす」。これも前からニコ生配信者、ユーチューバーがやっている使い古されたやり方です。目新しくも何ともありません。
N国党に対しては、ですから特に言う事はないのです。受信料徴取の不満は誰にでもありますし、僕もあります。出来れば契約制やPPVなどのシステムが望ましいし、受信料徴収に来る人も仕事とは言え(同情はします)なぜ、ああも話が分からないのかと憤りは覚えています。
ですから、公約通り「NHKをぶっ壊す」を実行に移すべく、国会で発言し、立法府で新たな法案を提出して欲しいと思います。公約違反だけは止めて下さい。それこそ立花代表が大事にしている投票してくれた人への裏切りになりますから。MXTVにまで押し掛けて抗議するほどの大事な有権者ですから。(文◎久田将義)
あわせて読む:10年間、NHK受信料支払いを拒否した結果 いくら支払う事になったかご報告します|久田将義 | TABLO
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