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被ばくで鼻血「美味しんぼ」騒動、元町長発言の真意とは? by久田将義

TABLO / 2014年5月13日 10時0分

被ばくで鼻血「美味しんぼ」騒動、元町長発言の真意とは? by久田将義

 

 前号で主人公・山岡士郎が鼻血を出したシーンで、騒ぎとなったビッグコミックスピリッツ(小学館)の長期名物連載『美味しんぼ』。作中での医者の診断は「放射線との因果関係ははっきりとは言えない」だったが、今号は、前双葉町長の井戸川克隆氏の証言ではっきりと原作者・雁屋哲氏の訴えたい事が明確になったと言えるだろう。P286「私が思うに、福島に鼻血が出たり、ひどい疲労感で苦しむ人が大勢いるのは、被ばくしたからですよ」と井戸川氏が断言している。

 前号で「因果関係があるかないかはわからない」という医者の診断は何だったというくらいに、はっきりと「被ばくしたから」と井戸川氏の証言を掲載しているのだ。

 ここで疑問なのが「大勢」という表現だ。どのくらいの人数なのか、どの範囲での事を言っているのか。また「被ばくしたから」というのは、井戸川氏の判断なのか、医者の診断によるものなのか分からない。

 出来れば2011年3月11日以降、急に鼻血や倦怠感を訴える人がどの程度いるのかという統計が欲しいものである。雁屋氏はブログで「鼻血程度で騒いでいる人は次号を読んだら発狂するのでは」という主旨の事を書いている。そこまで言うのなら、ば統計等の根拠を示して欲しかった。

 僕は前記事では、山岡の鼻血について、「僕が取材した二年半の範囲内に限って言えば」そんな話は聞いた事がなかったので、僕の記憶違いかと思い、二人の原発作業員に電話取材したコメントを載せた。だからと言って、「こっちが正しいんだ」と強調するつもりはない。「鼻血が出たとか聞いた事もありませんよ」と言っている人たちもいる、というつもりで記事を掲載した。

 問題は、福島に鼻血が出る人がいる。その原因をはっきり断定してしまったいいものだろうか、という事である。「福島の真実」とはそういうものではないだろうか。

 現在、作業員達と郡山市や会津若松市の人たちに連絡を取っている最中である(郡山市の人からは既に回答が来ており、「鼻血を出したという事は聞いていない」という答えだった)。

 ただ、今号の『美味しんぼ』で被災者の仮設住宅(学校に住んでいる人たち)についても描いており、これについては非常に共感できる。僕の取材先の作業員のおじい様は、ストレスの為か3.11以降仮設住宅に住んでいて、鬱状態になってしまっている。氷山の一角であろう。

 気になるのは石原環境相がコメントしたり、片山さつき参議院議員がツイッターで、【美味しんぼの福島についての問題についても、週明けに政府内の対応を把握し、疑問をもたれた皆さんにご報告します。】等と発信している事だ。あえて俗な言葉を使わせていただくが「しゃしゃり出てこないでください」と言いたい。実際に言及された双葉町が抗議を示すのは(反論権とも言える)分かるが、まだ政府がとやかく言う状況ではない。余計に、この問題の本質がわかりにくくなるだけだ。勘弁して頂きたい。

 現在、編集部では、被災者達からのコメントを待っている最中だが、「福島県内には住むな」(P261)との井戸川氏のコメントを読んで、今も福島に住んでいる県民達はどのように考えているだろうか。

Written by 久田将義(東京ブレイキングニュース編集長)

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