外国人の結核患者数が1割を占めたと厚労省が発表 政府は6ヶ国の訪日外国人にビザの要件を増やす意向
TABLO / 2019年8月28日 7時10分
かつては不治の病とも言われた結核が、ここにきて俄かに注目を集めている。厚生労働省は8月26日、2018年に結核に感染した患者が過去最少の1万5590人(前年比1199人減)だったことを発表した。
同時に、日本以外の外国で生まれた患者の数は1667人で過去最多だったことも公表。その割合は、結核患者総数の約1割を占めることがわかったのである。同日、時事通信などが伝えた。
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実は昨年の発表でも、2017年の外国出身結核患者数は1530人で、それまでの5年間で1.4倍ほどの増加率を見せている。そのため、国は入国前の検査を促す方針を打ち出していたのだ。それにもかかわらず、今年、外国出身者の結核患者数が過去最多という結果になってしまったのである。
この結果をみて、遅ればせながら政府も、来年の東京オリンピック開催を睨んで対策を講じ始めた。90日を超える長期滞在者に対して、非結核感染者であるという医療機関の証明書をビザ発給の要件にする方針を固めたのだ。
ちなみに、対象国は中国、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ネパール、ミャンマーを予定している。その理由は外国人患者の約8割がこの六か国を占めることによるが、同時にそれらの国は近年日本滞在の割合が増えている人たちでもある。
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そもそも結核は、今回の発表で(全体では)過去最少となっていることでもわかるよう、けっして感染が多くなっている病気ではない。これは特に先進国と言われる国では顕著だ。つまり、結核が(先進国より)高い割合でまん延している国からの長期滞在者を水際でチェックすることが、国内の結核患者の数を減らすことにつながる。そういった意味では、東京オリンピックで外国よりのゲストが激増する前での対応は、いささか泥縄感があるとは言え意味はあるだろう。
もっとも、たとえ結核に感染したとしても、必ずしも発症するとは限らず、健康な人なら(発症は)10人にひとり、ふたりの割合ともいう。逆に言うなら、なんらかの疾病を持っている人、高齢者、乳児などには警戒が必要となってくる。咳などの症状が続くようなら、念を入れて医療機関での診断を仰ぐべきだ。
また、ストレプトマイシンのおかげで不治の病というイメージは消えつつあった結核であるが、近年では薬剤耐性を持った、いわゆる“ハイパー結核”も出現している。対策として医療機関では、かつてのようなストレプトマイシンの単独使用ではなく、複数の薬剤を使用する療法が主流となった。いずれにしても、結核という病を「過去の病」に葬り去るために、水際対策が有効なことに違いはないだろう。(文◎鈴木光司)
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