美味しんぼ騒動について原発作業員、被災者に再び聞いてみた by久田将義

東京ブレイキングニュース / 2014年5月20日 16時0分

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 物議を醸した『美味しんぼ』(『ビッグコミックスピリッツ』小学館発行)の感想を、僕の取材した範囲で作業員や被災者たちの声をお届けしてみたいと思う。『美味しんぼ』は問題をいくつかに分けなければ混乱する。そこでまず『美味しんぼ』"福島の真実"編の中身について述べてみたい。

 前回の東京ブレイキングニュース(TBN)の記事で書いたように、僕には主人公・山岡士郎が鼻血を出したシーンに疑問符が付いた。では、福島の現地の人たちはどう感じたのか。もしくは周辺でそのような症状を聞いているのか。まずは被災者でもあり福島第一原発(以下・1F)に十年以上働き、3.11を経験した作業員に話を聞いた。

「鼻血が出てるなんて話は聞いたことある?」と問うたところ、二人とも「周りにそんな人は一人も知りません」という答えだった。

 二人の「周り」というのは家族、友人も含めてなので十数人はいると考えていいだろう。単純計算で二十人前後の双葉郡の住民やもっとも放射線を浴びているはずの作業員たちの間でも、鼻血が出るなんてことは聞いたことがないし、本人たちにもそういった症状は出ていないという。

 しかし、元双葉町長・井戸川氏や取材に行った原作者・雁屋氏が鼻血を出して倦怠感を訴えている。これが「福島の真実」なのかと言われれば、違和感を感じないほうがおかしい。「井戸川氏や雁屋氏の主観」であって、決して福島の真実ではない。

 続いて、作業員で3.11を経験し、それ以降も1Fに残り復旧作業を文字通り命がけで続けたいわゆる「FUKUSHIMA50」と呼ばれる人間にも電話取材をした。彼は呆れたような声で語った。

「僕は双葉郡のある町に住んでいましたが、もう戻れないような状態です。僕は積算45ミリシーベルト食った(作業員は放射線を浴びることを「食った」と表現する人がいる)けど、鼻血も倦怠感もない。また、3月に22日付近に三号機の中の汚染水に間違って短靴で入って被爆した作業員がいましたけど、彼も現在は普通に仕事をしてますよ」

 また、1Fの作業員から移って除染作業をしている被災者も「僕の周りで鼻血や倦怠感を訴える人はいません」との答えだった。

 現在も双葉郡在住の1F作業員は、「スピリッツ読みました。鼻血の話は『ない』ですね。作業員でも鼻血が出ているって話は聞いたこともないです。ただし、『福島には住めない』という話に関しては何とも言えないです。本当に国や東電に騙されているのかも知れないので、今回の『美味しんぼ』は奴らには騙されるなという原作者のメッセージにも取れる。鼻血の描写以外は良いとも悪いとも言えないですね」

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