ブッキングドットコムで被害に! タイ・パタヤの違法“闇ホテル”が今もまだ営業中 タイ投資の危険性 ในประเทศไทยการเช่าระยะสั้นผิดกฎหมายเป็นที่แพร่หลาย
TABLO / 2019年9月4日 8時9分
日本人に人気の観光地のタイ。
昨年には本サイト副編集長もタイのリゾート地パタヤを訪れたが、そこの「ホテル」で奇妙な体験をした。以下が、その「ホテル」の写真。
ホテルの場所に行ってみると、そこはホテルではなく、タイのレイモンランドというデベロッパーが建設したUnixxという名前のタワーマンション(コンドミニアム)で、入口に運営するEzi Trip Stayという会社があった。予約したのは、そこが運営する違法な「闇ホテル」だったのだ。
参考記事:本編集部も被害に!? 旅行サイトで知らないうちに「闇ホテル」を予約し異国でいきなりの摘発!! | TABLO
タイでは民泊は違法であり、ホテルライセンスを持たずに部屋を30日未満で貸し出しをする事は禁じられているが、その違法行為が行われている現場だったのだ。 そしてこの闇ホテルを今年2月、タイの当局が逮捕、立件した。
この事実は、タブロ副編集長も被害にあった事件として、上記の過去記事で報じた。
前回記事で伝えた通り、この事件の背景には、タイの不動産会社の巨大な闇があった。
このコンドミニアムは、タイの不動産会社の「レイモンランド」という会社が開発した物件だ。同社は2016年夏にに日系の不動産会社に物件の開発協力を依頼。その際の条件として、レイモンランド社経営陣が同物件の入り口のセールスオフィス等の最優先利用権を約して、開発や投資を協力させてきた。
日系の不動産会社はこれに応じて協力を行ってきたが、2018年夏に突如としてレイモンランド社が約束を反故にし、その最優先利用権を約した場所にオープンさせたのが、この闇ホテルを行うEzi Trip Stay社の違法賃貸業オフィスだったのだ。
このような前回記事までの流れを見ると、流石に違法な闇ホテルは営業を止めさせられたと思う人が多いだろう。
ところが取材を進めると、驚きの実態がわかった。
実際には逮捕された直後に、また堂々と闇ホテルを再開。今も大規模な闇ホテルとして営業をして、ネットでも平然と客を募集しているのだ。
上記のように、逮捕された後も、マンションのロビーは闇ホテルの短期賃貸利用者でごったがえしている。尚、写真の利用者は本サイト副編集長と同様に、まさか違法な闇ホテルとは知らずに利用してしまっているだけの可能性も高いので、写っている人が悪いというわけではない。
そしてEzi Trip Stay社は、逮捕直後の4月には以下の写真のように社員が闇ホテル業務を行っている。
このように摘発された後も闇ホテル事業者が違法な短期賃貸を大規模に行い込み合ってしまっていることから、このコンドミニアムは地元では今や「インドタワー」とか「チャイナタウン」と揶揄されるようになってしまい、物件を買ってしまったオーナーの多くは苦しんでいる。
さらに住民たちによると、深夜は闇ホテルの鍵の受け渡しを、レイモンランド社が設立した管理会社(JLL社という)のセキュリティーの人間達が手伝って、違法賃貸の利用客を入れている、と証言している。 これだけでも酷いのだが、さらに酷い事件も発生している。
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このイージートリップ社が逮捕された直後、同社経営のタイ人が偽名を騙り「逮捕された事実を言うな、タイ警察はレイモンランド社のような大手ならどうとでもできるんだ、言えばお前を逮捕してやるぞ」という趣旨で関係者を脅迫。この事実は即座にタイ警察に通報され、脅迫事件として立件された。
これにより、このレイモンランド社の物件を買ってしまったオーナーたちは、落ち着いたリゾートでゆっくりと優雅な生活ができるはずが、実際には毎日違法賃貸による観光客の騒音にさいなまれ、込み合ったエレベーターを長時間待たされ、プールや公共設備は汚され、さらにコンドミニアム管理事務所へオーナーたちが支払うお金により、管理事務所セキュリティーの人間が違法賃貸を一緒に行うという酷い状況に陥っている。
これにはたまらず、住民たちも苦情の手紙をコンドミニアムの管理会社や、地元の取り締まり当局に多数送付しており、住民運動となってきているという。ここの住人たちは外国人が多く、既に違法賃貸の取り締まりを求めるグループも出来ており、英語やタイ語の苦情申請書が多数提出されている。
ところが、問題はタイの地元の当局だ。
多数の苦情が提出され、さらに違法な短期賃貸の予約バウチャーなどまでが証拠として出されているが、当局は突然に「違法行為が発見できなかった、住民たちと話し合え」という態度を取り、取り締まりをしないとする書面まで出してきたのだ。
取り締まり当局が、住民たちから多数の苦情と違法行為の証拠を受けながら、取り締まりもしないとする書面は衝撃的だ。当然ながら住民たちは、これはEzi Trip Stay社が賄賂を支払って、違法な闇ホテルを堂々と行えるようにしたものだという事も理解しており、タイの取り締まり当局の腐敗の酷さがよくわかる事件となっている。
住民らは、自分たちが払っているマンション管理費が、今度は当局への賄賂にも使われているのではないかと口々に語っている。
このEzi Trip Stay社はインターネットでも、ブッキングドットコムなどのホテル予約サイトでこの闇ホテルの集客を行っている。
名前は現在「US Property」となっているが、URLにEZ stayと書かれているのは、この会社が経営する違法営業ホテルのことだ。以下から、本サイト副編集長も被害にあった、パタヤのこの闇ホテルの予約が今も出来るようになっている。
https://www.booking.com/hotel/th/unixx-south-pattaya-by-ez-stay.ja.html
※上記サイトが削除された場合はこちらを参照
https://megalodon.jp/2019-0902-1909-48/https://www.booking.com:443/hotel/th/unixx-south-pattaya-by-ez-stay.ja.html
摘発の怖さにおびえる実情を体感することが出来るが、実際に利用すると、利用者も「外国人が宿泊するホテルの住所を届けていなかった」という理由でタイの入国管理法違反行為となるかもしれないので、利用は勧める事は出来ない。
このようにインターネットでは今も闇ホテルへの予約ができ、かつ当局が動かない事実に、タイの違法行為や贈収賄の腐敗の蔓延が表れているのだ。
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タイで蔓延する違法行為と、被害を受ける日系企業や日本人
本事件の経緯にあるような、タイ不動産会社などによる詐欺的な行為は、タイでは一部の不動産会社で横行している。
そもそもタイでは様々な法の不備があり、法的には被害者の救済が行われるという事は日本よりも難しく、ましてや人脈や言葉で不利な外国企業や外国人であればなおさら難しい。勿論、本来ならタイでも企業は違法行為が行われないように注意義務を果たさなければいけないのだが、そうなっておらず、賄賂などで違法行為が横行し、結果として多くの人が被害を受けている実態が一部のタイ大手不動産会社にはある。
タイでは現在、パタヤも含めて東部では「EEC(東部経済回廊)」と呼ばれる開発計画が進んでいる。これには多くの日本企業が投資を実施、検討しており、東部へのバンコクからの高速鉄道は、日本のJBIC(日本国際協力銀行)が融資の検討をしている最中にある。
しかし日本の金融機関や企業が、このような違法行為と賄賂が横行して日本企業も被害にあっている中で投資をするのは、あまりにも危険性が高いのではないだろうか。 さらに日本人個人の被害も心配される。
今月の事件の主因であるタイのレイモンランド社は、日本の大手デベロッパーである東京建物(東証一部上場、代表取締役野村均取締役)との共同事業でバンコクに「Tait12」「THE ESTELLE」の2物件を発表し、現在は東京建物の名前を使って大々的に宣伝、販売を行っている。
東京建物と言えば、一般の人にも「Brillia(ブリリア)」というマンションブランドなどが有名な大手デベロッパーだ。
バンコクの共同事業の物件でも、東京建物の物件だからという事で安心して買っている日本人の個人も多いだろう。
しかし、レイモンランド社がUnixxでこのような事件を起こしている中で、この東京建物の名前が付いたレイモンランド社の物件を買う人は相当に不安となっているという。
日本がタイへの投資を促進するというなら、金融機関も法人、個人も投資のリスクを考え、もっと日本が安心して投資をできる環境が整備されてから、投資をするべきではないだろうか。少なくとも、このような違法行為が堂々と行われ、贈収賄の疑いも濃厚な当局が放置されている現状では、投資をする事が適切とは到底、考えられないだろう。(取材・文◎西山哲治)
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