「石原慎太郎は下駄の雪」政界に出回った怪文書の背景
TABLO / 2014年5月23日 16時0分
連休明けの週末、一通の封書が衆院第二議員会館の日本維新の会の議員の事務所を中心に投函された。差出人の名前がない封書の表は「議員各位」と書かれ、赤字で「親展」と印刷されていた。
その内容は、4月28日に58歳を迎えた江田憲司結いの党代表の誕生会でのオフの発言録。石原慎太郎氏を「下駄の雪」に例えたり、民主党の執行部の早期の交代を望むなど、好き放題にものを言っている。
なぜこんな文がばらまかれたのか。文書を出したのはどこなのか。少なくとも江田氏を快く思わないところからであることは間違いない。結いの党との連携を好ましく思わない日本維新の会の一部勢力か、あるいはいまだ江田氏と禍根を残す渡辺喜美みんなの党前代表のシンパなのか......。
いずれにしても所詮は少数野党の哀しさである。発言録では江田氏は「合流時期はお盆まで」と自信たっぷりに断言するが、そんなに簡単にいかないと見るむきがほとんどだ。
まず日本維新の会が江田氏の思い描くように動くとは限らない。民主党にしても海江田万里氏は代表を降りる気はさらさらないし、4月に派閥の「自誓会」を立ち上げた細野豪志氏以外にも、同じような動きを見せるグループもある。例えば安全保障の考えが安倍政権に近い長島昭久氏などだ。もし長島氏が民主党の指導権を握ったら、リベラルな江田氏と組めるといえるのか。
「いかにも江田氏らしい、上から目線の言い方だ。中でも一番笑えたのは、『もう渡辺喜美についていくのは5人しかいない。あの松田公太だって見限ったって話だ』の下りだ。江田氏にそんなことを言われたら、松田氏だって迷惑だろう」
嘲笑に近い笑い声が聞こえる一方で、江田氏と別の動きの気配もある。通常国会は延長されずに6月22日で閉じられ、内閣改造と自民党執行部の人事が行われる。それ以降に目標とする政治日程は、来年の統一地方選になる。
「新党を作って国政選挙を戦う前に、地方選で勝っておかなくてはいけない。そのために野党の保守勢力が結集する必要がある」
その時期は少なくとも選挙の半年前。よって通常国会が閉会したら、すぐさま行動に鬱さなければならない。誰が動き、誰がはじかれるか。情け無用の永田町劇がもうすぐ始まる。
Written by 安積明子
Photo by Luke,Ma
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