ASKA容疑者、猛バッシングに潜むオヤジの深い闇...プチ鹿島の『余計な下世話!』vol.45
TABLO / 2014年5月27日 13時0分
ASKA容疑者が2001年8月に『笑っていいとも!』の「テレフォンショッキング」にゲスト出演した際の映像がネットで話題を呼んでいる。タモリさんに「やせた」「大丈夫?」「ほっぺたが黒いよ」と再三言われるASKA。覚せい剤取締法違反(所持)容疑で逮捕された現在、意味深な映像として注目されているのだ。
しかし、それ以上にこの映像で目を見張るのはASKAの後ろに飾られているテレフォンショッキング名物の花輪である。
そこには「株式会社パソナグループ 代表 南部靖之」と大きくあった。
「パソナ」という文字は、ここ1週間のオヤジジャーナル(オヤジが好んで読む週刊誌、夕刊タブロイド紙)を見ているとハッとする名前。見事な答え合わせになっている。
というのは、最近のオヤジジャーナルはASKAより、一緒に逮捕された「知人の女性」に夢中だった。あの女はすごい美人らしい。しかもいろいろ調べてみるとおもしろいぞ。そんなオヤジの鼻息が聞こえた1週間。
まず東スポが書いた。「飛鳥涼 愛人正体 1部上場企業グループ会社OL」(5月21日付)
《栩内容疑者は大手1部上場企業グループ会社のOLで、同企業トップであるX氏の寵(ちょう)愛を受けていた。そのX氏はASKAと古くからじっこんの仲。》
実名は伏せるが、その代わりどこよりも早く書く東スポの行間読ませ芸、リーク芸。その翌日、日刊ゲンダイが動く。
《ネット上では、パソナグループ代表の南部靖之氏(62)の名前が飛び交っている。》
ネットのせいにしながらどさくさに「パソナ」と書くゲンダイ師匠。そして栩内容疑者のマンション所有者を直撃。
《「借り主は社名がカタカナの大手人材派遣会社の関連。それ以上はちょっと......」(マンション所有者)》
ほとんど正解を引き出すことに成功したゲンダイ師匠。しかしそんなお手柄感も1日で終わる。翌日発売の週刊文春(5月29日号)が《"シャブ愛人"栩内香澄美容疑者はパソナ人材派遣代表の接待秘書》《"舞妓愛人"も派遣......パソナ南部代表と芸能界汚染マップ》と、これ以上なくハッキリ書いてきたのだ。
考えてみれば昨年夏のASKA疑惑スクープもまず東スポが名前を伏せて書き、その一週間後に文春が実名で書いた。この「東スポ→文春のえげつない黄金リレー」はよくある。もしかしたら他は知ってて書かないだけかもしれないが......。
今回別の面でオヤジパワーを発揮していたのが週刊新潮(5月29日号)だ。
《覚醒剤漬けで快楽の虜!人材派遣パソナ「南部代表」の超美人"秘書"》と特集でいくつかの記事に分けて書いているのだが、注目は各章の結び。
・《栩内とのラリった「ふたり咲き」の世界に落ちていったのである》
・《チャゲアスに代わる奇怪な「トチ&アスカ」だったのである》
・《今ごろは鉄窓の向こうでシャブとの「めぐり逢い」を後悔しているのだろうか》
これでもかと「曲名オチ」でまとめていた。これは今回の事件の大きな特徴だ。オヤジジャーナルはASKAの曲にひっかけて多くの見出しをつくった。
《ついにSAY YES! ASKA覚醒剤所持と使用認める》(東スポ・5月23日)
《「YAH YAH YAH」で「必ず手に入れたいものは誰にも知られたくない」と歌っていた》(日刊ゲンダイ・5月20日)
などもある。
このような曲名やチャゲアスにひっかけた「からかい」「ダジャレ」はベタすぎてふつうはツイッターなどでも控えるが、オヤジジャーナルは堂々とASKAではしゃぐ。一体なぜだろう。
考えられるのは、
①ASKAのヒット曲は80年代後半から90年代前半に多いためオヤジたちにも馴染みがある。
②ウルトラ成功者のASKA。現在もいい女にモテていたASKA。同世代のオヤジたちはうらやましかった。だから今回「堕ちた英雄」に痛快。しかも「覚せい剤は悪」という絶対正義がこちらにはあるから安心して叩ける。
おそらくこの2点の理由ではないか。とくに②はオヤジの深い闇。根深い。
一線を越えた報道の仕方もあった。日刊ゲンダイは5月21日時点では「シャブ&ASKAこと宮崎重明容疑者」と書いていたが、22日からは「シャブ&ASKA(本名・宮崎重明)」に変わっている。からかいではなく、正式な肩書として。まるで何かのウサを晴らしているかのよう。
オヤジの闇は深い。
Written by プチ鹿島
http://n-knuckles.com/serialization/img/kasimaph.jpgプチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。ニッポン放送「プチ鹿島と長野美郷 Good Job ニッポン」金曜18:00-20:50 ◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」
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