風営法による営業時間は妥当だと思いますか? 観光立国になりたいのなら深夜帯の“税収”を熟考すべし
TABLO / 2019年9月12日 17時18分
旧態依然の状況を見直すことが先ではないか? そう思わせる出来事ではある。9月4日、北の歓楽街・ススキノのキャバクラで、未成年ふたりを含む従業員ら9人が北海道警に現行犯逮捕された。
逮捕容疑は、無免許で無線機を使っていた電波法(無線局の開設)違反の疑い。4日、地元北海道新聞が報じた。
違法とされた行為自体は他愛もないと言えば他愛がないもので、姉妹店同士で無線を共有し、風営法による警察の摘発を逃れようとしたものだ。なぜ、携帯電話ではなく無線を? という疑問はあるが、警察の目を逃れるために、現場が最適と判断したのであろう。
ちなみに、ススキノで「キャバクラ」というと、一般的に呼ばれるところの「セクパブ」を指す。したがって今回従業員が摘発された店舗もいわゆる「セクパブ」となる(ススキノで一般的な「キャバクラ」は「ニュークラブ」)。いずれにしても、風俗営業法の許可を得て営業する形態であり、バーなどのように終夜営業は許されない。しかしながら、事実上、その時間通りに(ススキノの場合は、深夜1時まで)営業していたのでは収益に限りがある。故に、リスク覚悟で時間外営業を繰り返す店舗が後を絶たないのだ。
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もっとも、風営法による時間外営業が厳しくなったのは、ここ10年ほどの話であって、お上も多少の目こぼしはしていた。その“良き風習”を杓子定規に適用するようになった結果、あの手この手で時間外営業を試みる店舗が増え、また摘発も増えてきた、というワケである。今回の事件もその流れにあると思ってよい。
さて、筆者が問題とするのは、そもそも風俗営業法の時間が、現在の都市文化に即しているか? ということだ。具体的に言えば、風営法による営業時間は夜明けから原則午前0時までである。ススキノ、あるいは歌舞伎町などの大歓楽街は概ね深夜1時までとなっているが、これは現実的な都市文化とあまりにも乖離しているように思える。率直に言って、深夜酒類提供店のように午前0時を過ぎた深夜営業を認めるべきであろう。もちろん、理由はある。
なんと言っても、大きいのは税収のアップだ。一部エコノミストなどの間では、東京もロンドンの成功例にならって、公共交通機関を含めた終夜営業を増やし、ナイトタイムエコノミーの活性化を図るべしという声がある。その流れのなかで、風営法の営業時間を延ばすことに、抵抗は少ないのではないか。
さらにもうひとつ、風営法適用店に終夜営業を認めることで、いわゆるボッタクリ店などが跋扈する余地が少なくなる、ということが挙げられよう。
深夜でもまっとうな店が営業を続けていれば、客足も自然と変わる。これは治安維持においても効果があるハズだ。
余談になるが、随分昔に筆者は、さる週刊誌の企画で、税収アップのためにも風俗店の終夜営業を認めるべし! という提案を警察庁にしたことがあった。
その際、広報が出したコメントは、「フツーの人は深夜寝ていますよね?」というものだった。つまり、は、公序良俗に反するということ。しかしながら、近年はインバウンド効果もあり、さらなる都市文化の変化が見えている。そろそろお上も、重い腰を持ち上げていいのではないだろうか。(取材・文◎鈴木光司)
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