FC2で性行為を生配信して逮捕 「海外サーバは合法説」の真相は?

TABLO / 2014年6月13日 16時40分

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 アメリカ法人なのだけれども、明らかに日本向けサービスが多く、経営者も日本人という事実が2~3年前に発覚したことが記憶に新しいFC2のサービスを使い、女性との性行為を有料生配信していた男が逮捕された。

 逮捕されたのは、ライブ配信の運営者である"帽子君"こと大阪市北区の松本隆志容疑者30歳と、警察官が現場に踏み込んでいた時に松本容疑者と性行為をしていた19歳の女性。容疑は当然のことながら公然猥褻だ。松本容疑者は自宅マンションから有料ライブ配信を行い、半年間で約3,000万円もの収益をあげていたという。

 しかし、この松本容疑者は配信の予定を(宣伝のためだろうが)丁寧に告知していたり、とっくに身元がバレていたり、サイバーパトロールに前々から狙われていたことなどから、ライブ配信の時間に自宅マンションに突入され、現行犯逮捕された。また、逮捕されたのは松本容疑者だけではなく、FC2を使ったエロライブ配信を行っていた人間が同じタイミングで数名逮捕されていることから、一斉取り締まりであった可能性が高い。

 さて、私は常々「素人はエロビジネスに手を出すな」と主張しているのだが、エロの業界は規制が多く、様々な法律で雁字搦めにされている。今は配信用の機材などが安く揃えられるため、素人は「金になりそう!」という衝動だけで安易に食指を伸ばすようだが、エロ仕事で儲けたいならば、まず最初に揃えなければならないのは機材ではなく法律の知識である。

 さらに欲を言えば、法律の知識の他に警察の動向、警察の意向にも注意を払うべきであろう。日本の警察はハイテク犯罪に対する捜査能力を疑問視されており、インターネットを使った犯罪行為に対してムキになり易いように見受けられる。だからこそ素人が手を出すのはあまりに危険なのだ。

 これが仮に風俗店などの場合は、業界として横の繋がりや連絡網があるため「いついつ頃が危なそう」と事前にガサ入れ時期などの予測が立てられるのだが、個人商売のエロチャット経営者などにはそうした情報が回って来るはずもなく、今回のようにいきなりズドン! ということになる。

 だから「素人は絶対に手を出すな」と言うよりほかないのだが、こうまで国が貧しくなると生きるためのマトモな選択肢がないという人々も多く、金に目が眩んで「何をやったらヤラれるのか?」という最低限必要な知識もないままにシノギを始め、摘発されて人生がぶち壊しになるケースが続出している。

 そこで、今回はどうすれば法律の網の目をくぐれるのか......もとい、このような業態のエロビジネスをやる上で、最低限頭に叩き込んでおかねばならない"考え方"の部分を、なるべく簡単に解説しようと思う。

 まず何より気を配らねばならないのが「日本国内の法に従う」という点である。今回逮捕された松本容疑者は「FC2はアメリカにサーバがあるので日本の法律は無視して平気だと思った」と寝言を言っているようだが、これが私の言う素人の浅はかさだ。

 一昔前はインターネットという"容易く国境を飛び越える新しいメディア"を管理する法が整備されていなかったので、そんな言い訳で助かっていた時期もあったが、今は「日本国内での事業だよね?」の一言で日本の法律で裁かれてしまう。

 例として"日本国内の会社が経営している海外配信という言い訳の無修正サイト"が、どんな手順でコンテンツをネット上にアップしているかお教えしよう。

 まず絶対に必要なのは、無修正のエロ動画が合法とされている国に法人を作ることである。ここまではFC2などの「ウチはアメリカ法人だから」といった言い訳と同様だ。

 しかし、その海外の法人が経営しているからというだけでは、日本国内から無修正のエロ動画をサーバにアップした時点でアウトである。そこでこういう手順を踏むのだ。

(1)日本国内でエロ動画(いわゆるAV) を撮影・編集する

(2)データをHDDに入れて海外の事務所に運ぶ

(3)現地でサーバにアップする

 (1)は国内の全てのAVメーカーがやっていることだから、これがアウトとなると日本のAVメーカーは全滅してしまう。よって、今のところはここに関しては問題ない。

 次に(2)だが、実はここがとてもドキドキする瞬間である。基本的には安全なのだが、万が一がない訳ではない。例えば日本から素材を持ち込む場合、国が変わった瞬間に向こうの法律が適用される。仮にアメリカだった場合は無修正はOKでも性表現には厳しいので、もしHDDの中身を調べられ、そこにバイオレンス要素が強いといったアメリカで違法とされている映像が入っていたら......。

 いま紹介しているのは「無修正のエロ動画の扱い方」であって、これは日本の法律を守りながら海外で無修正の配信ビジネスをする方法である。したがって、アメリカの法律を守りながらビジネスをする方法はまた別であるという点をよくよく覚えておこう。今回のビデオチャット経営者のように「アメリカだから平気」ではなく「アメリカにはアメリカの法律がある」と考えないと、日本の法でもアメリカの法でもアウトということになり兼ねないのである。

 実際に、エロに寛容なFC2ブログを使って、日本のエロマンガのレビューサイトをやっていた人物が、FC2から「表現に問題がある」と警告を受け、ブログを凍結されるという事例が起きたばかりだ。FC2側の言い分によると、サイト管理者がレビューした中に獣姦描写があり、それが動物愛護の観点から規約違反と看做されたようなのである。

 日本は古来から"蛸と海女"といった春画が描かれてきたHENTAI国家だが、インターネットやクレジットカードなど、事実上国境のないサービスが絡み合っている場合は「どの部分がどの国の何に引っ掛かるのか?」がとても解り難い。日本的にはOKでも、アメリカのカード会社がブチキレたらアウトといったことも充分に考えられ、各インターネットサービスはそれを見越して 「様々な国の法律を踏まえた上で」規約を作っているのである。(ちなみにDMMも獣姦は取り扱い禁止になっている)

 FC2など、日本のAVメーカーの新作が発売日に違法アップロードされていても無視するクセに、エロマンガのレビューに獣姦描写があったというだけでブログを凍結してくるような会社である。日本人の常識や価値観だけで物を考えてはならないのだ。

 さて、このように無修正のエロ動画が無事に国境を渡ったら後は(3)の作業だ。アメリカなりオランダなりの事務所から、思う存分データをサーバにアップすればよろしい。

 ということは、あっちに常駐するスタッフも必要だということである。

 プロとしてエロコンテンツに携わっている人間は、このような七面倒臭い手順を踏んで無修正のエロサイトを運営している。そうしなければ自分の身が守れないからだ。この記事は日本の法を無視してエロコンテンツで儲ける方法をレクチャーするといった趣旨ではないので「○○を××すれば絶対に安全だ」という詳細は書かないが、他にも様々な法に気を配りながら一手一手考えていかないと、いつどんな不備から身の破滅を招くか解らない。いくら金に困っているからといって、くれぐれも浅はかな考えでエロビジネスには手を出さないように。

 今回のビデオチャットの一件は最小限のダメージで済むだろうけれども、例えばAVメーカー各社が厳しく義務付けている出演者及びスタッフの年齢確認を怠り、その結果未成年の女の子をハメちゃいましたとでもなれば、初犯であっても執行猶予が付くかどうか解らない。

 どうしてもエロビジネスで一攫千金を狙いたいなら、まずはAVメーカーにでも勤務して、プロが何をどうやって法律を掻い潜っているか勉強してからにすべきだろう。

Written by 荒井禎雄

Photo by Thomas Leuthard

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