消費税のあとに控えている黒幕…これで日本は終わるかも あなたは「インボイス制度」を知っていますか?
TABLO / 2019年9月30日 6時0分
10月からスタートする消費税率の引き上げと関連して、さまざまな制度が登場します。
例えば、軽減税率とか、ポイント還元制度なんかが盛んに報じられていますが、その1つに「インボイス制度」というものがあるのをご存知でしょうか。
おそらく聞いたことがないという人がほとんどのはずで、メディアでもあまり紹介されていないように感じられます。
でも、この「インボイス制度」は、新しい税金の制度なんですけど、小規模の自営業者やフリーランスにとってかなりの負担になる可能性があるんです。というか、個人的には命取りになるんじゃねぇかなと思っています。
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導入されるのは2023年10月からですが、自営業者やフリーランスの人たちは必ず先んじて知っておくべき。そこで「インボイス制度」をできるだけわかりやすく解説してみましょう。
まず、インボイス制度を覚えてほしい人たちというのが「売上高が1000万円未満」の事業者です。原則として、事業者が商品やサービスを販売する場合、消費税が課されます。しかし、売上高が1000万円未満の事業者は消費税を免除されるため(※取引相手に消費税の請求はできる)、本来は納めなければいけない消費税分が手元に残るという「益税」が発生しますよね。この「益税」をターゲットにしてやるぜ! というのがインボイス制度なんです。ちなみに消費税が免除されている事業者を「免税事業者」、消費税が課される事業者を「課税事業者」と言います。
もっとわかりやすく説明するため、消費税(8%)の流れを図にしてみました。
例えば、ある〝企業〟が〝小規模事業者〟から「50円」の商品Aを仕入れたとします。その際、8%の消費税「4円」がかかるので、仕入れ総額は「54円」です。そして、企業は〝商品A〟を消費者に「100円」で販売したとすると、8%の消費税「8円」を合わせて「108円」の売上です。
企業は「8円」の消費税を預かっていますが、仕入れのときに「4円」の消費税を支払っているため、税務署に納付するのは「8円-4円=4円」となります。これを「仕入税額控除」といって、商品の仕入れや販売などの取引全般で発生する消費税を調整して納付するイメージでしょうか。
そして、小規模事業者が売上高1000万円未満の場合、本来は税務署に納めるべき「4円」を免除されているので、4円分が益税として手元に残るということになります。つまるところ、原則であれば免税事業者の消費税「4円」は税務署に渡るはずなんですが、今まで取りっぱぐれていたコレを奪ってやろうと国は考えているわけです。
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さて、この消費税のシステムを押さえたうえで、インボイス制度とは「仕入税額控除」を受けるためには「課税事業者の発行した適格請求書の保存」が義務になりますよという内容です。つまり免税事業者が発行した請求書では「仕入税額控除」は受けられませんということになります(※1)。
具体的に言うと、インボイス制度が導入された場合、図の免税業者から仕入れている〝企業〟は「仕入税額控除」を受けられなくなりますから、本来は「4円」だった納付額が「8円」になってしまいます。免税事業者から取れないので、そこと取引している課税事業者から取ってやれということですね。
ということは、「免税事業者」と「課税事業者」が同じジャンルの商品を同価格で扱っていた場合、どう考えても〝企業〟は「課税事業者」から仕入れることになりますよね。もちろん商品の品質とか納期なんかの条件もあるんでしょうけど、コスト的に安いほうが圧倒的に強いでしょうから、免税事業者が厳しくなることは間違いありません。
では、免税事業者が採れる対策って何があると思いますか?
例えば、消費税を上乗せしないで請求しないようにしたとしましょう。それならコストの差が埋まるので〝企業〟は納得するかもしれません。でも、〝小規模事業者〟は益税分が減収になり、日々の支払いでは消費税を支払うわけで、かなり厳しくなりますよね。それなら課税事業者になればいいじゃん(※2)と思うかもしれませんが、そうなると免税されていた消費税の支払いが発生するので、結局は収益ダウンになってしまいます。あれ、これって詰んでませんかね?
ちなみに、これまでの話は会社と会社の取引の話で、一般消費者に向けたビジネスを展開している自営業者やフリーランスは関係ありません。なぜなら、一般消費者は適格請求書の保存義務がないので、税込金額で請求することは可能です。
このインボイス制度って何が一番やばいって、気づいたら取引先から切られていたとか、収入が減ってたなんてこともあるということじゃないかと思いました。だって、この制度が導入されたことで免税事業者が何かの手続きをしないといけませんということはなく、そのままでもイイんですもん。あくまで取引相手の業者がどういう姿勢を取るかということになるので、ある日突然に税込金額での請求ができないなんてことを言われたり(※事業者相手に税込金額での請求ができなくなる可能性が高いと言われています)、取引先から「おたく高いから、別の会社に変えるよ~」と言われたり…。考えただけでゾッとしますね。
とにかく、制度自体は2023年10月から開始されるので(※3)、それまでに免税事業者はそのままで行くのか、課税事業者に変えるのか、何らかの対策を決めておく必要があります。そのためには、自分なりにインボイス制度のことを勉強しておかなければなりません。よく分からないから放置するということだけは止めましょうね。(取材・文◎百園雷太)
(※1)
これまでは単に「帳簿の記載と請求書等の保存」が条件で、免税事業者かどうかの確認義務はありませんでした。
(※2)
課税事業者になるには「課税事業者選択届出書」を税務署に提出すると、翌期から適用されます。
(※3)
インボイス制度は2023年10月に導入されますが、免税事業者からの仕入税額控除は段階的に廃止されます。具体的には「~令和3年3月/100%控除」「令和3年4月~令和6年3月/80%控除」「令和6年4月~令和9年3月/50%控除」「令和9年3月~/控除不可」です。
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