「Suica」はまもなくキャッシュレス界の王様になろうとしている そこに秘められたJR東日本の野望
TABLO / 2019年10月16日 17時10分
JR東日本が発行する「Suica」といえば、日本で最も有名なICカードの1つです。2001年の導入を皮切りに、電子マネー機能が付加されたり、モバイル版がリリースされるなど、着実に普及してきました。インフラという土台があるのは圧倒的に強く、東京近県に住んでいてSuicaを持っていないという人はほとんどいないのではないでしょうか(PASMO派とかはいるんでしょうけど)。そして、最近になっても楽天との提携を発表したり、マイルのように乗車ごとにポイントが付与されるようになるなど、いろいろな動きを見せています。
いまや交通系ICカードどころか、キャッシュレスサービスのなかでも〝王者〟になった感もあるSuica。その歴史や未来について紐解いてみましょう。
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まず、Suicaの歴史のなかで大きな動きをまとめてみました。
- 2001年…首都圏の424駅でSuicaのサービスがスタート
- 2004年…電子マネー機能が加わる
- 2006年…モバイルSuicaスタート
- 2007年…首都圏ICカード相互利用サービス開始
- 2011年…全国のセブン-イレブンで利用可能になる
- 2013年…交通系ICカード全国相互利用サービス開始
- 2016年…Apple PayでのSuicaサービスをスタート
- 2018年…Google PayでのSuicaサービスをスタート
これらの転換点を見ると、2001年にサービスが開始されてから、着実に利用の幅を広げていることがわかります。なんと言っても、2001年にSuicaが初めて登場したときの衝撃と感動は大変なものだった記憶があります。だって、いちいち券売機で目的地を探してお金を入れて切符を買うという行為が、改札に〝ピッ〟とカードを当てるだけで済んでしまうんですから。
2006年のモバイルSuicaは浸透するまでにかなり時間がかかったというか、最初のうちは一部の〝新しもの好き〟が利用するサービスだった気がします。それが変わったのは、やはり2016年のApple Pay対応でしょう。チャージをスマホだけで行えるだけでも便利すぎるんですよ(オートチャージはSuicaアプリが必要)。
電子マネーについては、2004年にファミマの一部店舗で使えたり、2005年にビックカメラ有楽町店で対応するなど、結構前から駅構内のお店以外でも利用できましたが、やはり2011年のセブン-イレブン対応がデカかったと思います。そこから徐々に対応店を広げていき、いまではコンビニでもファミレスでも、タクシー料金でも、Suicaで支払うことができるようになりました。
そして2019年にはみずほ銀行や楽天など、他サービスとの提携を発表しています。キャッシュレス化の時代のなかで、〝Suica経済圏〟をさらに広げるための戦略にも余念がありません。
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また、Suicaは処理スピードや高いセキュリティーという高性能であるがゆえに端末の設置コストが高いという弱点があって、大都市圏以外の地方になかなか普及しにくい状況が続いていました。しかし、JR東日本の深沢祐二社長が産経新聞(2019年2月7日付東京版朝刊)のインタビューで〝簡易版Suica〟の開発について言及。クラウド技術を利用することでSuicaの端末コストを引き下げ、管内全域をカバーしていく計画だといいます。ものすごく端的に言うとSuica端末の性能を削ってでも普及するということで、いろいろと問題が出てくる可能性はありますが、それでも実現した場合は全国でも圧倒的な存在になるんじゃないかと。現状ですら、Suicaは楽天Edyのユーザー数(1億人)に及ばないだけで、PayPayなんかと比べても大きなアドバンテージを担保しているような状態ですよ。ぶっちゃけ、新興のキャッシュレスサービスが軒並み駆逐されてもおかしくない気がします。
そのほか、昨年にはSuicaと地域交通ICカードの機能の兼備する2in1カード「地域連携ICカード」の開発に着手することを発表しています。これも端的に言うとイニシャルコストを下げて導入しやすくすることが狙いなので(簡易版Suicaを利用するため)、もし今後に大きなメリットを提示していければ、さらにSuica経済圏が拡大していきそうです。
これまで手が回らなかった地方にも着々と進出しているSuica。いずれ、日本で旅行に出かけるときにはSuica1枚だけ持っていけばOKみたいなことになるのかもしれません。というか、日本全国を制覇したその先は海外進出なんてこともあるかも?(文◎百園雷太)
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