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西成で「偽百万円札」が流通する謎...裏社会の偽札事情

TABLO / 2014年7月18日 19時6分

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「百万円」と書かれたおもちゃの紙幣を一万円札と誤認させ買い物をしたとして、大阪府警西成署は今月4日までに、詐欺の疑いで、大阪市西成区天下茶屋、派遣社員・岩田将大容疑者(22)と大阪市住之江区南加賀屋、派遣社員・山田貴之容疑者(28)を逮捕した。逮捕は3日。

 おもちゃの紙幣は付箋として市販されており、西成署によると、肖像の福沢諭吉は鼻毛を伸ばしている。裏面が白紙のため、2枚を張り合わせ、買い物の際は見つからないよう四つ折りにして差し出していた。

 岩田容疑者はおもちゃの紙幣で買い物後、西成区の路上で覚せい剤も購入しようとしたが、売人に見破られトラブルになっていた。実はこの街では以前から偽札が横行していたのだ。この時の現場に居合わせた西成の住民が証言する。

「うちのまん前の路上で騒ぎが起こっていた。ワシも面白そうだったから見に行った。4~5人でその男たちを取り囲み、騒いでいた。そうしたらその中の1人が逃げて、どこかに駆け込んで110番したんやろうな。もちろん、売人も何かを抱えて逃げてったで。何が起こるかわからない街やで」

 十年近く前、一万円札の偽札騒ぎが日本中で騒がれていた時期がある。筆者も某テレビ局の依頼で制作会社のスタッフとこの街を隠しカメラを持って潜入した経験があった。その時は西成の労働者から偽一万円札を入手する事に難なく成功し、その模様は報道番組で特集もされている。

 その時に入手した偽一万円札は当時、一枚数千円で売買されていた。その後ほどなくして偽札騒動が大騒ぎになり、全国的には下火になっていったが、西成だけは、売買単価が数百円と10分1に大暴落しつつも、細々と生き長らえていた。

 西成で偽札が生き長らえている理由。それは路上で違法売買が行われているからだ。とくに覚せい剤売買は偽札がもっとも適しているという。西成の住民が証言する。

「シャブを売人から買うときは、監視カメラや周囲に見られないように、一万円札を小さく折りたたんで渡すのがならわし。売人もいちいちそこで偽札かどうかなんて確認しないし、できない。以前から、偽札を使う人間にはその点が狙われていた」

 西成では数年前、偽札で覚せい剤を買おうとした高校教師が、売人にバレてしまい路上で撲殺されるという事件も起きている。偽札に騙されて覚せい剤を渡してしまったら、責められるのは売人だ。彼らはドヤされるだけでは無く、自腹でそれを補わなければならない。それだけに発覚した時は凶暴になる。

 西成の場合、逆の偽売人も数多く存在する。つまり金だけ受け取って品物を渡さないと言う単純な詐欺行為だ。これは被害者も警察に届けられないので泣き寝入りするしかない。

 そもそも本来、西成で起きたトラブルに警察は介入しない。いや、できないことが多い。それはこの町独自のルールがあるからだ。今回の事件も容疑者が自ら駆け込まなければ、その命の保証はなかった。騙されるほうが悪いが、騙すほうもバレたら身の危険が及ぶ。それが西成の暗黙のルールだ。

Written by 西郷正興

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