山口組ナンバー2出所…分裂抗争の今後を読む「2つのポイント」 一般人を巻き込む殺し合いが勃発する可能性は――
TABLO / 2019年10月18日 19時9分
恐喝罪で服役していた指定暴力団・6代目山口組ナンバー2、高山清司若頭(72)が18日、刑期を終えて府中刑務所(東京都府中市)から出所した。この間、山口組は3団体に分裂。高山若頭の強権支配がその原因と指摘されているだけに抗争の激化が懸念されているが、事態は今後、どのような経過を辿るのだろうか。
暴力団事情に詳しい消息筋が、次のように話す。
「抗争の展開がどうなるかは、警察がどの段階で、各団体を『特定抗争指定暴力団』に指定する動きを具体化させるかだ。その上で注目すべきポイントが2つある」
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消息筋によれば、第1のポイントは神戸山口組の動きだ。ともに弘道会(名古屋市)を出身母体とする司忍組長が君臨し、高山若頭が仕切る6代目体制への不服を唱えて分裂した神戸山口組が、高山若頭の出所を警戒していたことは想像に難くない。
また今月10日、弘道会の傘下組幹部が、神戸山口組山健組系組員2人を射殺する事件が発生。神戸山口組による「報復」が警戒されている。
「しかし今後、6代目山口組の幹部や組員に対する襲撃事件が発生し、それが明らかに神戸山口組による報復だとわかれば、警察は速やかに両団体の『特定抗争指定暴力団』指定に動くだろう」(前出・消息筋)
抗争の当事者として「特定抗争指定暴力団」に指定されると、その団体の組員は相手の事務所に近づくことが禁止されるのはもちろん、自分の団体の事務所に出入りしたり、同じ組織の組員が5人以上集まったりしただけで逮捕される。期間は3カ月だが、必要と見なされれば指定が繰り返され、組織の維持が困難になる。また、仮に6代目山口組と神戸山口組に対する指定が長期化すれば、もうひとつの分裂組織である任侠山口組がその間隙を縫い、勢力を拡大する可能性もある。
一方、警察当局としては、抗争がいっそう激化する前に「特定抗争指定暴力団」への指定を実行し、抑え込みたいのがホンネだろう。
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「そのために警察は、8月に起きた銃撃事件の犯人を特定しなければならない。これが第2のポイントだ」
今年4月、神戸山口組系組長が刺され重傷を負い、6代目山口組系組員らが逮捕される事件があった。すると8月21日、こんどは神戸市内にある弘道会の事務所前で同会系組員が銃撃される事件が起きた。4月の事件に対する、神戸山口組の報復と見られているが、犯人はわかっていない。
仮に、8月の事件が神戸山口組の仕業であると判明すれば、警察はこの間の複数の事件を根拠に、6代目山口組と神戸山口組を「特定抗争指定暴力団」に指定できるだろう。
いずれにしても今後、この両団体に対する指定が行われる可能性は高いと思われる。しかしそうなると、「どうせ指定されるならば」といった具合に、警察に手足を縛られる前に相手組織に大きな打撃を与えようとする危険性も排除できない。
「特定抗争指定暴力団」に指定されてしまえば、組織維持のためには話し合いを持ち、抗争を終結させるしか道はなくなる。ならば、相手に少しでもより大きなダメージを与え、優位な立場で話し合いの席につこうと考えるはずだからだ。
最も懸念されるのは、こうした過程で一般人にまで被害が及ぶことだ。警察当局が一刻も早く8月の銃撃事件の犯人を特定し、両団体の「特定抗争指定暴力団」指定への突破口を開くことを期待したい。(取材・文◎編集部)
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