もはや恒例 また安倍総理が予算委員会で野次 新聞各紙はどう伝えたのか|プチ鹿島
TABLO / 2019年11月8日 12時33分
安倍首相のヤジを新聞各紙はどう伝えたか。もう、これだけでも各紙の違いがみえて面白かったのです。
6日の衆院予算委員会で、安倍首相が自席から飛ばしたヤジに野党が反発して審議が一時中断した件。
『安倍首相やじで審議中断=「つぶやいた」と釈明―衆院予算委』(時事通信11月06日)《立憲民主党などの共同会派に所属する今井雅人氏は、学校法人「加計学園」による獣医学部新設をめぐる問題を追及。今井氏が文部科学省内で作成されたメモを取り上げ、「誰かが作った」と指摘。内容の真偽をただしていたところ、首相が自席から「あなたが」などと声を上げた。》
《首相は「誰か分からない中では、誰だって可能性があり、今井氏だって、私だってとなる。そういう趣旨をつぶやいた。申し訳なかった」などと釈明した。》
さてこれを朝刊各紙はどう報じたか、11月7日の朝刊を見てみました。
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まず、『朝日新聞』は2面で『首相、野党議員にヤジ』。加計学園の獣医学部新設についての追及に、
《この問題をめぐり、「丁寧な説明を尽くす」と語ってきた首相だったがいら立ちを隠せなかった。》
首相が以前に言った「丁寧な説明を尽くす」という言葉を引っ張り出してくるあたり、行間に皮肉を感じます。
続いて『毎日新聞』。
『首相ヤジで審議中断 予算委』(5面)。
《首相は過去にも国会審議中のヤジで撤回・謝罪に追い込まれたことがあり、10月8日の参院代表質問で側近の世耕弘成参院幹事長に「これからの審議では、ぜひ謙虚で丁寧な対応に徹していただきたい」と求められていた。》
世耕氏の「ぜひ謙虚で丁寧な対応に」を載せていた。あらためて読むとしみじみします。
『東京新聞』は見出しにその世耕氏を登場させています。
『「加計」で首相ヤジ 世耕氏進言効果なく』(3面)
《首相に謙虚に審議に臨むよう促していたが、効果はなかったようだ。》
ああ、東京新聞に「効果はなかった」と断言されてしまった。
では『産経新聞』にいこう。
『閣僚席からのヤジ 委員長「慎んで」』(5面)
注目したいのは見出しに「首相」の文字が無いことです。
「閣僚席からのヤジ」とすることで、誰がヤジを飛ばしたのかよくわからない。ややこしいですが、もしかしたらあえてこんな書き方をしたのでしょうか。
参考記事:『適材適所』とは笑わせる 謝ったら済む話ではない安倍政権2大臣の卑劣な失言 さあ、どうケツを拭く! | TABLO
では『読売新聞』にいきます。読売にはありませんでした。首相のヤジについては。探してみると「国会論戦の詳報」というページにありました。
そこには「審議の主なやりとり」があるのですが(議事録みたいなやつ)、そのなかの一つに「首相不規則発言」という項目があり、「今井氏」「委員長」「首相」の順で発言が掲載されていました。あくまで「きのう国会で話されたこと」を淡々と報じるというスタイルです。
その代わり読売は政治面では「稲田氏 首相へ意欲」と伝えていました。自民党の稲田朋美氏がテレビ番組で首相への意欲を語ったというのです。とくに必要な情報だとは感じませんでしたが、稲田先生頑張ってください。
ちなみに『日経新聞』にもヤジ記事は無し。ただ日経の場合は国会の記事自体が少なかった。『ソフトバンクG7000億円赤字』というニュースに夢中でした。
そういえば10月24日、プロ野球・日本シリーズでソフトバンクが三連覇した翌日が印象的でした。各紙はソフトバンク日本一を大きく報じましたが、日経だけは「ソフトバンクG 強気の投資 岐路」と一面で報じていました。
私は一瞬「ソフトバンク対G(ジャイアンツ)」のことかと思ったのですが、日経だから経済の記事だと気づいたのです。新聞のキャラはいろいろあります。安倍首相のヤジをどう伝えるか、だけでも楽しめます。(文◎プチ鹿島 連載『余計な下世話』)
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