プロレス物件「吉田調書」朝日と産経の異なる解釈...プチ鹿島の『余計な下世話!』vol.58

東京ブレイキングニュース / 2014年8月26日 18時0分

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朝日と産経の吉田調書を巡る報道は久々に味わう「プロレス物件」か!?

 

 趣味のひとつに読み比べがある。

 最近「メディア・リテラシー」とよく聞きますが、そんな大仰な言葉を知らなくても私の場合はプロレスマスコミ(週刊誌・新聞)にそれらしきものを習った。

 プロレスの観客は真実を知り得ない。第二次情報、三次情報しか知り得ない。おまけに結果だけが重視されるジャンルではない。だからそこには自由に語られる余地が生まれるのだ。試合への過程であったり、試合の見方、解釈のほうがプロレス報道では重宝された。そんな時代が80年代から90年代に栄えた。

 なので同じ試合であっても主観や思想が違えばメディアによってちがう切り口になる。読者はそれを了解して記事を読む。読み比べの醍醐味だ。「これって一体どういうことだ?」。好奇心がわく。半信半疑のワクワクドキドキ。

 では、最近の読み比べの格好の素材は何か? それは「吉田調書」です。吉田調書とは東京電力福島第一原発所長で事故対応の責任者だった吉田昌郎氏が「政府事故調査・検証委員会の調べに答えた「聴取結果書」。

 これを朝日新聞が入手して5月から大々的に報道した。「福島第一の原発所員、命令違反し撤退」とか「ドライベント、3号機準備 震災3日後、大量被曝の恐れ」とか。大きな話題になった。

 しかし今度は産経新聞が吉田調書を入手し、《ところが実際に調書を読むと、吉田氏は「伝言ゲーム」による指示の混乱について語ってはいるが、所員らが自身の命令に反して撤退したとの認識は示していない。》など、朝日の報道を8月から全面批判している。

 原本は同じモノなのに互いの解釈が違う。こんなことってあるんだろうか?

 あるんです。これ、完全な「プロレス物件」だと思うのです。

 そこに送り手側の立場や思想が絡んでいるからこそ、同じ「試合」でも伝え方が違う。なんなら読者を誘導する。朝日と産経の吉田調書を巡る報道は久々に味わうプロレス紙(誌)の報道合戦だと私は確信している。

 世の中には「朝日はキライ」「産経なんて認めない」とその名を耳にしただけで熱狂的に否定する人も少なくない。アレルギーがある人もいる。でもだからといって即座に一方を切り捨てるのはもったいない。せっかくだから行間から漂う両紙の「狙い」をそれぞれ感じてみるのだ。なかなかおもしろい「プロレス物件」だと思うのです。

 私が期待するのは、そのうち朝日版、産経版の次に「東スポ版吉田調書」記事が出てくることだ。東スポにも吉田調書を入手してほしい。東スポなら同じモノを見てどう報じるのだろう。想像しただけでワクワクしてしまう。

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