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漫画『娘の友達』論争 中年男が女子高生と恋する内容に傷付いてる人々へ「クソ」を捧げます|春山有子

TABLO / 2019年12月2日 6時30分

画像は『娘の友達(1) (モーニング KC) 』より

急に怒りだしたツイッター民

webコミックサイト『コミックDAYS』(講談社)で連載中の『娘の友達』(著/萩原あさ美)が一部で槍玉にあげられ、ツイッター上で話題になっています。

発端は11月16日午前中、モーニング公式アカウントがツイートした同作品の広告について、ひとりのツイッターユーザーが嫌悪感を示したことがはじまりでした。

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「キッッッッッッッッッッッッモオオオオオオオ!!!!! こんなんがもし自分の夫だったら、先に自分が死ぬ時にちゃんと一緒に滅しないとだめなやつ 犯罪者犯罪者 ただの犯罪者 自分の息子だったら一緒に死んで詫びるしかない」

尋常ではない動揺が伝わります。一体このユーザーは何を見てしまったのか。

その広告内容はというと、妻に先立たれ、仕事に疲れ、女子高生の娘に拒絶されたひとりの中年男性が、娘の友達だという可愛らしい女子高生と出会い、頭を撫でられて優しく言葉をかけられたりするうちに、「君に出会わなければ、正しくつまらない人生だった」「君と出会ってから、本当の自分でいられた」と心揺さぶられるというもの。

これに同ユーザーの周辺は大盛り上がり。

「気持ち悪すぎ」「セルフケアできないからといって自分の娘の友達(しかも未成年)にケアしてもらおうとするなんて父親としても人としても最低」「犯罪教唆としか思えん」「この広告そもそもツイッターの規約に抵触するかしないかギリギリでは」「ゴミすぎ」「有害図書すぎる」「これが男の願望なんだと思うときしょすぎ」「こんなやつ社会にいても国連から警告が増えるだけだから、ほんと世界的に不要だから滅してくれ」

言葉の限り嫌悪感を示しつつ、「犯罪を扇動しています。ツイッターヘルプセンターのほうへ通報しました。連載も中止してください」と煽るユーザーも登場したのです。

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日々、乗っかる人々が登場

同日、夜になるとふつふつ沸き立つ声は周辺を離れ舞い、冷静な指摘が入るように。

「批判的なコメントが多いのがなんか嫌だなあ。だってあれは漫画であって現実じゃないし。それが区別できないやつは放っておけばいい」「現実と空想の区別はつけて」「気持ちはわからないでもないが、一度『血の轍』も読むべきだな。両方胸糞だろ。でもそれでいいと思う。思想や表現を規制したりぶっ壊しても、ろくなことは起こらない」「気になったから既刊購入した。騒動起こしてる人は中身読んでないですね。タイトルとあらすじだけで批判してる。決して、単純にオッサンが女子高生に欲情してるって話ではないです」

さらに翌日以降は“表現の自由説き隊”も加勢しうねりを見せたことで、11月20日、ウェブニュースサイトBLOGOSが<女子高生と中年男性の関係を描く漫画『娘の友達』が物議 「性的搾取を助長する」との声も>と報じたことで、フォロワー数の多い著名人らが発見。

数日前の話を評論家の勝部元気さんが「あり得ない。即中止を求める。仮にこのような作品を成り立たせたいならば、主人公が逮捕されて破滅しなければならない。たとえファンタジーでも悪は悪として描かなければならない」と蒸し返し、映画評論家の町山智浩さんに「そもそも善悪白黒つけられない人間という複雑なものを描く芸術や文学を一般社会の善悪のモラルで裁いて出版中止を求める人に、芸術や文学や哲学や人間を語ることはできないと思います」とたしなめられる一幕も。あわせて、区議会議員や漫画家らも批判に対する違和感を唱えます。

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最終的には11月26日、長く表現の自由について取材し2010年に話題となった“非実在青少年”に詳しいルポライターの昼間たかしさんが、ウェブニュースサイト「おたぽる」に寄稿。それによると、講談社へ抗議は一件も届いておらず、<Twitterの中だけで「フェミVS表現の自由」の争いは、あたかもハルマゲドン前夜かなにかみたいに拡大されている><ようは不幸な人々同士の共犯関係による憎悪の拡大再生産>と、つまりは“いつものこと”と評してひとまず騒動に幕を引いたように見えます。

クソ並みのキショさと言われる私

ところで、男性向け雑誌で仕事をしている筆者は、日々他人から「キモい」「クソ客並みのキショさ」「下品」「最低」「訴えるレベル」などとPCを介して面と向かって嫌悪感を示されています。

そのたびに「ちょちょちょ……そんなこと直接言わなくてもいいじゃんか……はぁぁ(深いため息)……」と少し傷つきます。ですが、筆者がキショイことによって相手は先に傷ついているのです。罵詈雑言は「わたしはあなたのキショさでこれだけ傷ついている。どうしてくれるんだ」という悲痛な叫びなのです。

人のキショさ容量はアルコールと同じようにひとそれぞれ。筆者はウォッカ50杯並のキショさでやっと酔える体質なのに対し、『娘の友達』に動揺したユーザーは六花亭のマルセイバターサンドで酔ってしまう体質。

 そう考えると、キショに弱い人には、筆者が無自覚に「オラオラ飲めや。これくらい誰でも飲めんだろうが」「うっそー、そんなジュースみたいなのでもう顔赤くなっちゃってんの? あたしなんてさ〜、もうコレじゃなきゃ酔えないし(笑)ほんと春ちゃんかわいー(笑)」とキショハラしているように見えるのではないでしょうか。
 キショに弱い人もいれば、強い人もいるーー。そう、心がけて生きてゆきたいですよね。

(文◎春山有子)

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