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山谷えり子氏、在特会幹部らと記念写真の舞台裏

TABLO / 2014年9月19日 12時45分

山谷えり子氏、在特会幹部らと記念写真の舞台裏

 

 なんの冗談なのか国家公安委員長に就任した山谷えり子が、在特会幹部らと記念写真を撮っていたという情報が話題になっている。

 ネトウヨ問題を何年も追い続けて来た身としては非常に「いまさら」なのだが、現時点で在特会~山谷えり子の繋がりばかりがフィーチャーされているため、「最も注視すべき点はそこではない」と説明させていただきたい。

 まず、今回話題になっている写真に写っている人物は、山谷えり子と、荒巻靖彦・西村斉・遠藤健太郎・増木直美・増木重夫といったメンバー。皆それぞれ在特会や、その元になった維新政党・新風といった、ネトウヨ系団体に所属している。

 直近のネタとしては、朝鮮学校襲撃・徳島県教組襲撃といった事件で逮捕・有罪判決を受けた連中に注目が集まるのだろうが、ここで最も注目せねばならないのは「増木重夫」である。増木に比べたら在特会などどうでもいい素人集団だと言っていい。

 増木は教育再生・地方議員百人と市民の会の設立者にして元事務局長、また在特会・関西支部長を務めたこともあり、さらには救う会大阪の事務局長でもあった人物だ。おまけに新しい歴史教科書をつくる会や、自由主義史観研究会の会員でもある。彼は私塾を経営しており、そこから地方議員に当選したりと、政治運動へ流れる人間を排出している。

 例えば、元吹田市議の神谷宗幣などは、増木の塾で働いていた過去があり、龍馬プロジェクトという全国の若手議員を横で繋ぐ超党派の組織を立ち上げた。このプロジェクトメンバーには、収賄容疑で逮捕された美濃加茂市長・藤井浩人なども含まれている。

 私個人としては、神谷氏にしろ係争中の藤井氏にしろ、若い人材が日本を変えてくれる事に期待しているので、どちらかといえば好意的に見ており、藤井氏に関しては同情的ですらあるのだが、そういった私情を差し引いても悪い筋と繋がり過ぎている。

 という訳で、ここで話をその悪い筋であるところの増木重夫に戻そう。増木氏がいったいどういう背景の人物かというと、在特会らとは違い明らかなプロである。それも街宣右翼などではなく、もっと政治活動に深く関わろうとするスタンスを持っており、先にも挙げた私塾の繋がり以外にも、様々な右系の連中と親交がある。

 例えば在特会桜井誠の直接の師匠とも呼べる西村修平などは、かなり長い期間この増木と行動を共にしており、日本全国を街宣行脚していた。西村の側近らは 「いくらなんでもお金が掛かり過ぎる」と何度も指摘していたようだが、西村はその度に「いいよいいよ増木君が出してくれるから」と気にもとめなかったようだ。 ここから組織内部で「M資金」という単語が生まれたらしい。(元内部関係者談)

 この増木は救う会大阪の代表を務めていた時代に、救う会の全国協議会に除名処分を受けている。一時期救う会に様々な右翼団体が入り込み、中には任侠系も多く含まれていたため、あちこちでトラブルが巻き起こっていた。そこで任侠と看做された支部や、活動内容に問題のあった支部がごっそりと除名されたのだが、その中に増木の救う会大阪も含まれていたのだ。ここで増木は除名された恨みからか、全国協議会に対して「あいつらは任侠に支配されている」と暴言を吐いて回るなど、酷い内ゲバを見せていた。ちなみに救う会大阪の除名理由は、金銭の不透明さと、万事においてやり過ぎる姿勢を問題視されたためだ。

 この「やり過ぎる」という部分において、後の在特会らの暴れっぷりを見れば理解が早いだろう。今にして思えば、救う会全国協議会はこれを危険視して先に手を打ったと考えても良いかもしれない。

 増木氏は今回の山谷氏の写真騒ぎを受けて「私が関わっていた当時の在特会はヘイトスピーチや犯罪行為は行っていなかった。差別的な活動をやり始めたので私は距離を置いた」などと言っているのだが、冗談も大概にした方がいい。

 山谷との写真が撮影されたのは2009年なのだが、この前も後も在特会はすでに今と殆ど変わらない活動をしていた。例えば、在留許可を巡って日本で産まれたフィリピン人の女子中学生に対し、わざわざ学校周辺の通学路などを街宣コースに選び、口々に「国に帰れ!」などと騒ぎ立てるといったお約束の活動だ。これは弱い立場の女子中学生個人を標的にしていた、日本男子とは思えぬ卑劣なやり方であった事を付け加えておく。

 ついでに言うと、山谷えり子との記念写真の後の増木重夫にも触れておこう。彼はあの写真が撮影された後に3回も逮捕されている。

・2009年4月 小学校長への脅迫(写真に写っている遠藤と共に逮捕)

・2010年10月 車庫飛ばし(妻の直美も逮捕)

・2011年11月 保険金詐欺

 増木重夫という人物は、常にオカミに見張られているも同然で、下2つに関しては「脅かし」の意味があったのではないかと思われる。可哀想といえば可哀想ではあるのだが、増木はそれだけ危険視されているという証明にもなるだろう。

 さて、山谷えり子は「講演後などに記念撮影を頼まれたら断れない。 相手が誰かも知らない」といった逃げを見せているが、それもまた大嘘である。少なくとも、増木重夫とはそれなりに馴染みだったはずだ。

 山谷えり子は増木が事務局長を務める百人の会の顧問を務めており、百人の会のHPのTOPに山谷の写真が掲載されているような関係なのである(増木が2009年に小学校長脅迫で逮捕された直後こそ慌てて削除されたが)。それで「知らない」は通る訳がない。そういうつまらないウソをつくから、かえって疑いが強まるのだ。

 余計な事を言えば、山谷にしても増木にしても、国際勝共連合(創始者は統一教会の文鮮明)の関連会社が発行する「世界日報」に連載したり、たびたび記事に取り上げられていたという共通点がある。

 山谷に関しては、かの「純潔教育」に賛同するかのような言動を繰り返しており、彼女の過去の発言をまとめると「歪んだキリスト教に感化された保守派」と目されても言い訳が効かないのではなかろうか?

 この辺りは安倍内閣の人選に共通する「薄気味悪さ」であり、安部首相自身も度々国際勝共連合絡みのメディアに取り上げられている(この国際勝共連合・統一教会と、日本の右翼業界とを繋ぐ反共思想については、別の記事としてまとめねばならない分量になるので割愛する)。

 兎にも角にも、こういう背景のある人物が、現政権により「国家公安委員長」兼「拉致問題担当相」に就任したのだという事実を、よくよく覚えておいていただきたい。強い日本を再生するために、保守派の声が強まるというまではいい。 片側だけの声が強いよりはよほど健全である。しかし、それにしたって「筋」や 「品格」というものがあるのではないか?

Written by 荒井禎雄

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