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「犯罪を密告すれば3万円」裏社会に通報ビジネス蔓延中

TABLO / 2014年9月28日 20時0分

「犯罪を密告すれば3万円」裏社会に通報ビジネス蔓延中

 裏社会の人間が考えるシノギは多種多様だが、そこには共通点がある。原価を引く抑えられて、利益が大きいもの。そういった点で時には思いもよらぬシノギを考えつくのが彼らの特徴である。かつて裏社会に身を置いた人物A氏の始めた「裏ビジネス」とはいったいどのようなものなのだろうか。匿名を条件に話を聞いた。

「シノギと言うほどではないが、小遣い稼ぎになるのが、"通報"だよ。これは善意でという部分もある。警察に見聞きした犯罪行為を通報して、金をもらうってわけだから」

 一般にはあまり知られてはいないが、たしかに「通報」はカネになる。警視庁のホームページにもはっきりと「カネになる」ことが記載されている、その一部を抜粋する。

匿名通報ダイヤル

匿名通報ダイヤルとは、市民から匿名により情報の提供を受ける制度で、警察庁の委託を受けた民間団体が、電話やウェブサイトを通じて提供された情報を警察に通報して捜査等に役立てるものです。

なお、一定の基準を満たした情報提供者には、情報料が支払われます。詳しくは、「匿名通報ダイヤル」ホームページをご覧ください。

対象事案

暴力団が関与する犯罪等
偽装結婚、偽装認知、偽装養子縁組等
銃器・薬物事犯
少年の福祉を害する犯罪、児童虐待事案、人身取引事犯等

 裏社会に身を置きながら、自分が知り得た犯罪に関する情報を警察に提供する。まさに弱肉強食を絵に描いたような構図である。だが、何でもかんでも通報するわけではないという。そこには彼なりの計算が働いている。

「拳銃を見たとかシャブの売人を知っていると言って調書に協力すると、1件につき2~3万円になる。そういうときはなるべく、素人が直接絡んでいるような件に限って通報するようにしている。表だって暴力団が絡んでいると、後が面倒だから。生け贄が素人なら、俺たちにとってはなんの影響もないからね」

 この男性は通報によって「この1年で2~300万円にはなった」と豪語する。その件数はおよそ100件前後。もちろん、そのすべてが逮捕、摘発につながったワケではないが、新聞を賑わせるような事件もなかにはあった。

「逮捕、摘発まで行かなくても、ガサ入れまでやれればいいと聞いている。彼らにも点数とかノルマってのがあるようで、仲のいい刑事からは直接、『拳銃一丁、ガサできる案件ないか?』って電話がかかってくるよ」

 警察から信用を無くさないためにも「嘘だけは言わない」のが彼のルールだというが、要は「チクリ」であり「密告」だある。善意もあるとは言うが、話を聞いていて釈然としないものが残ったのも事実。暴排条例や暴対法の影響で捜査当局は暴力団との接点が少なくなったと言われている。しかし、この様なチクリ屋が重宝される現実はいかがなものかと思う。

Written by 西郷正興

Photo by DeveionPhotography

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