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何で専門外の事を語れるの? 弁護士、医師、作家など…続々参入するワイドショー・コメンテーター その最たるものがショーンK氏|中川淳一郎

TABLO / 2019年12月19日 9時51分

皮肉なタイトル(画像は『「自分力」を鍛える』より)

平成を語るうえで避けて通れないのがオウム真理教事件だった。これの重要性の一つは、テレビのワイドショーに大きな影響を与えたことにある。いわゆる「コメンテーター」と呼ばれる人々が次々と登場するようになったのだ。

 

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オウム事件に関しては、この事件を追いかけていたジャーナリストの有田芳生氏と江川紹子氏が頻繁に登場。オウム被害者の弁護人を務めていた伊藤芳朗氏や滝本太郎氏、カルト問題に詳しい紀藤正樹氏らが引っ張りだこになった。

今やこうした番組はコメンテーターだらけである。自分もこの手の番組に何度か出たことはあるが、本当にくだらない職業だと思う。いや、上記のように有田氏をはじめとした人々は当時は価値があった。なぜかといえば専門分野についてキチンと説明していたからである。

だが、今のコメンテーターは「視聴者の代表」といった名目を与えられた芸能人や、「出たがり」だったりイケメン・美女の「その分野ではそれなりに名の通った人」が多い。こうした人々が門外漢である「台風被害」やら「女児行方不明」なんかにコメントをしなくてはいけないのだ。自分だったら「いや、詳しくないんでわかなんないっす」と言いたくなるようなイシューばかり振られ、「避難情報をもっと早く伝わるような態勢づくりが大事ですね」といった他人事的なことを言わざるを得ない。

まぁ、実にくだらなく、自分の顔を売るには最適かつ2時間出れば10万円ぐらいはもらえる安易なお小遣い稼ぎができる(文化人)テレビのコメンテーターというくだらない職業を生み出したのはオウム事件だと思っている。

 

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これをきっかけに「意外と弁護士って喋れるじゃん!」みたいな話になり、弁護士も続々とコメンテーター業に参入し、その後は医師や編集者や作家や元スポーツ選手などありとあらゆるジャンルの人々が参入するようになったのだ。

これの最大の笑える話題が「経営コンサルタント」を名乗っていたショーン・Kだろう。低温のナイスなボイスと白人風のイケメンルックスでワイドショーを席巻。ついにフジテレビ系夜の報道番組『ユアタイム~あなたの時間~』のメインキャスターに就任! となったものの、結果的に学歴詐称を含めた経歴詐称が明らかになったほか、本名が「川上伸一郎」であることも明らかになり、出演には至らなかった。

知り合いがコメンテーターになることは時々あるが、彼らが可哀想なのが、元々は舌鋒鋭い自由な発言をするはずだった人物が、令和の時代になっても最強の影響力を持つ地上波テレビのコメンテーターになった途端、その毒舌が封印される点である。

 

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本来だったら「バカなんじゃないですか?」の一言で済ませていたような人物が、「色々な状況を考え、その結果こうした行為に至ったのかもしれませんね」的な当たり障りのない発言をするようになる。

私自身、番組関係者と会うこともあるためコメンテーターがなぜいるのかの本当の理由は分かっている。理由は、「取材を減らすことができる」ことだ。何しろ、コメンテーターに好き放題(無難とはいえ)喋らせておけば、「尺」を稼ぐことができるのだ。レポーター、ディレクター、音声、カメラマン数人のクルーを出し、果たして良いコメントや「画(え)」が取れるか分からない取材に行き、7分のVTRを作成するよりも、スタジオでああだこうだと多くの「賑やかし」的コメンテーターに喋らせておけば、取材をいくつかしないで済む。

こうした理由からテレビの情報番組というのは作られているので、「まぁ、そんなもんだ」的に観るだけでいい。あくまでも「尺」を取るために番組を作っていると考えれば、そこまで本気で怒ったりしないで済む。オウムのもたらした影響についてはまたいずれ。(文◎中川淳一郎 連載『俺の平成史』)

 

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