【西成マザーテレサ事件の謎2】矢島さんを死に追いやった黒幕の存在
TABLO / 2014年10月23日 12時40分
生前の矢島祥子さんは、時間外勤務を必要以上にしていた。それは診療所の所長から注意されるほどだった。では、矢島さんは時間外に何をしていたのか。そこで考えられるのが「医療カルテ」の閲覧だ。当時、医療カルテを見る事が出来たのは診療所の所長、事務長、そして矢島祥子さんの3名だけだった。この医療カルテには様々な情報が記載されていたという。
この団体には大阪市もかなりの補助金を出しており、この地域の活性化、街づくりには絶対にかかせない団体の一つになっている。矢島祥子さんはこの団体にとってはかかせない人間の1人であった。
女性であり、夜回り活動などホームレスの支援を積極的に行ったり、給料、ボーナスの大半を寝袋購入に当てるなどの活動を行い、生前の彼女を慕っていた人間は多い。
また、この団体の協力がなければ、あいりん地区が治安悪化する事も十分にあり得るのだ。矢島祥子さんの事件を、この団体は最近では一切触れていない。矢島祥子さんが勤務していた診療所の所長が嘱託医を辞めている。診療所の所長と学生時代から交際のある人間が、この事件について筆者に語ってくれた。
「事件当初は、本人もかなり真剣に色々探っていた。しかしある日を境にこの件を語らなくなった。それと同時にある団体の嘱託医を下りた。今ではこの事件の事はお互いに触れないようにしている」
矢島さんは、淀川区の病院に勤務している最中にこの地域でホームレスの支援活動を行っていた。そしてその活動の最中に最終勤務地である診療所の所長と知り合い、勤務地を変えている。実際、この所長は堺市でNPO事業を展開し、ホームレスの支援の為にマンションを建設。その活動は当時の大阪日日新聞などに報道されている。しかし、その後、NPOのホームページは削除されたままだ。
大阪市の特区構想で、西成区には巨額の資金が流れている。たとえば西成区生活保護費だけでも年間600億円以上と言われている。それがいわゆる「新しい利権」だ。その巨額の資金を管理する一つの組織がある。それが29名からなる西成区区政会議だ。ここにはいろいろな団体が名を連ね、これら団体の利益を阻害する者がいれば追放されてしまう構図が出来上がっている。実際、この活動に意を唱えた人間でこの地域から姿を消した者は筆者の知る限りでも数名は存在する。これらの聖域に部外者は口出しできないのだ。
矢島さんが自殺か他殺かは現時点では警察も断言はしていない、その両方の可能性があると捜査は続いている。遺族は国会を含め検察庁などにも請願しているが、警察は捜査上の理由からその進行状況を報告はしていない。
彼女は西成で生きていくうちに、この町の様々な貧困ビジネス、貧困利権と言う存在に気付いてしまったのだろう。それは自分の身近なところで行われていた重複診療であったり、架空患者であったり、処方薬の横流しや闇売買などである。矢島さんはそれらを色々告発しようと考えていた。幸か不幸か、彼女は色々知り得る立場にあったのだ。
筆者の見立てでは、矢島さんはある不正を発見した。その資料を、深夜遅く人目の付かない時間帯に色々調べ、証拠としてコピーした。それら資料を預かったり協力したのが、矢島さんの死から3年後に不審火により焼死した佐藤豊さんなのだ。この当時、矢島さんによる不正告発の動きを知った身近な人間が利益団体に話を報告した。相談された人間は組織全体の危機ととらえ、矢島さんの警告メッセージを送る。しかし、正義感の強い彼女はそのメッセージを無視した。そして無念の最期を遂げることになる――。
これらの証拠は全て抹消されている。矢島さんの死後は多くの報道番組にも出演するなど、事件のカギを握る存在だった佐藤豊さんもその一人だ。
矢島祥子さんが、生前師事していたカトリック教会の神父も上記の団体の理事だった。生前、矢島さんとの付き合いを公言していた大多数の人間は、現在遺族との関係は絶っている。それは東京ブレイキングニュースで直撃取材した「自称恋人」であった人間も然りだ。矢島さんは、こんな魑魅魍魎が住む町でひとり戦っていたのだ。
Written by 西郷正興
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