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警察大不祥事の可能性 三年前の「資産家老女白骨化事件」をなぜか再調査 背後に見え隠れする“地面師U”の存在

TABLO / 2019年12月30日 8時49分

写真はイメージです

2016年10月19日に東京都港区新橋の民家の隙間から、資産家老女の白骨化した遺体が警察官によって発見された。同年3月に愛宕書に保護されてから行方が分からなくなっていた高橋礼子さんの変わり果てた姿だった。

 

関連記事:フィリピン潜伏の地面師・カミンスカス操が帰国後逮捕 犯罪者はなぜマニラを目指すのか|比嘉健二 | TABLO

 

不自然な転売

高橋さんは、十数億円の資産価値のある土地を所有しながら、人付き合いが苦手で、孤独な生活を送っていた。酔っぱらって度々警察に保護されることもあったらしい。

高橋さんの行方が分からなくなったのは3月12日以降。その日、彼女は酒でトラブルを起こし、愛宕署に保護されている。その後、警察官が彼女を自宅まで送ったというが、その日を境に忽然と姿を消していた。

そして、死体の発見者も警察官だった。だが、警察は”事件性なし”と判断して捜査しなかったのだ。

当時を知る人物は言う。

「そもそも行方不明なった時点で、警察は高橋さんの身に起こった異変に気付くべきでした。なぜなら、高橋さんに成りすました人物が高橋さんの住民票を移し、彼女が所有していた土地が、何度も不自然な転売を繰り返された末、最終的にNTT都市開発に売却されていたからです」

 

参考記事:「地面師」とは何か――? 積水ハウスを引っかけ55億円をもぎ取った謎の詐欺集団の正体 | TABLO

 

当時、高橋さんの事件を伝えた週刊誌は、警察が行方不明後に高橋さん宅を家宅捜索しており、付近の住人も異臭を感じなかったと言っていたと伝えている。

行方不明から夏を経て、何か月も経って白骨化した死体が自宅と民家の隙間から出てくることは常識では考えられなかった。当時の愛宕署の担当者の判断力が問われるだろう。

裏取引が行われている?

ところが、高橋さんの死体発見から3年も経過した今になって警視庁は、高橋さんの土地売却に関する再捜査を行い、売却に関わった不動産業者等に事情聴取を行っているという。

積水ハウスが2017年に東京都品川区の老舗旅館「海喜館」の土地を購入して、「地面師グループ」に約55億円をだまし取られた事件の主犯格として逮捕されているU被告の地面師グループの関与が指摘されている。

「現時点でUが高橋さんの事件に関わっているのかは断定出来ませんが、彼が何かを知っていた可能性はある。なぜなら、積水ハウス事件には、警察内部に協力者がいることが囁かれていた」(事情通)

U被告の地面師グループと、高橋さんの事件を関連付ける新たな証拠や証言が出てきたので、警視庁が再捜査をしている可能性がある一方、U被告が警察に「資産家老女の殺害事件についても警察官が関与している」と取引を持ち掛けてきた可能性も否定出来ない。

 

「警察内部に積水ハウス事件や、高橋さんの事件に協力していた内通者がいるとなれば警視庁の一大不祥事になってしまう。高橋さんに成りすまして土地を不法売却した件にも、積水ハウス事件で既に逮捕されているU被告らの関与が指摘されていたのに、警察が捜査状況をメディアに対して秘密にしているのは、警視庁にとって隠したい理由があるからだと思われます」(警察ジャーナリスト)

被害額55億円以上の詐欺事件の主犯格ともなれば、懲役10年以上は確実、通常は15年前後だろう。

東京地裁は、2019年7月17日にU被告の仲間だった秋葉紘子、羽毛田正美の両被告に懲役4年(いずれも求刑・懲役7年)、常世田吉弘被告に懲役4年6カ月(求刑・懲役5年)の判決を言い渡している。

高橋さん殺害の犯人を警視庁が逮捕せずに、U被告の判決が相場よりも軽ければ、警察がU被告と取引をした疑いが残るだろう。(文・橋本征雄)

 

あわせて読む:【徹底解説】東京オリンピック開催で再び暗躍か? アパホテルが12億も騙し取られた詐欺『地面師』の実態 | TABLO

 

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