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裏社会も震撼する五代目工藤會、福岡県警「頂上作戦」の本気度

TABLO / 2014年10月6日 20時25分

裏社会も震撼する五代目工藤會、福岡県警「頂上作戦」の本気度

 現在、もっとも世間を騒がせている暴力団組織は、五代目工藤會である。五代目工藤會は福岡県の北九州市に総本部を置き、2014年時点の勢力図は福岡県、長崎県、山口県などであり、最近新たに千葉県内に事務所を設けているのが確認された。果たして日本で唯一の特定危険指定暴力団である五代目工藤會とはどの様な組織であるのか。

 元々、一本どっこであった組織が工藤組、草野一家に分裂し、紆余曲折の末、故人である溝下秀男氏により工藤連合草野一家となる。その後、代が替わりわ現在の五代目工藤會となった。

 三代目会長の溝下秀男氏の葬儀には山口組、住吉会、稲川会(順不同)は元より、殆どの暴力団組織の代紋頭、名代などが参列したことで今も語り草となっている。

 また、同じ九州に地盤を置く道仁会、太州会、熊本会(順不同)とは「四社会」という親睦組織を設立して九州の一部の地盤を守り、住吉会とは親類関係でもある。過去にはこれまた合田一家、共政会、忠成会等(順不同)と「関西二十日会」と言う親睦組織を作って反山口組を貫くなど、その好戦的な姿勢は今も変わってはいない。

 2008年の事始めでは全構成員中300名以上が刑務所に収容されるほどの巨大組織である。九州のヤクザは「川筋者」と呼ばれるなど気性が激しく、一度対立すると、死傷者が多く出ることで警察当局は警戒している。

 少し前の道仁会、九州誠道会(現浪川睦会)の抗争はまだ記憶に新しい。そして現在、過去の事件も含めて、総裁、野村悟氏、会長、田上文雄氏以下幹部などがのきなみ逮捕された。裏社会には大きな衝撃が走る大事件だ。この逮捕劇は、捜査当局が組員の電話を盗聴するなどして立件された案件もあり、関係者を驚かせている。

 この様な事態の中、五代目工藤會をよく知る人物と接触をした。彼は構成員ではないが、五代目工藤會の関係者が上京した際、定期的に酒を酌み交わす仲だという。

――五代目工藤會を一言で表すと、どの様な組織なのか?

「怖いね、今までのヤクザとは違う。五代目工藤會は妥協を許さない。他のヤクザは話をすればわかる、と言う感じだけど、彼らにはそれが通じない。どちらかといいえば、"マフィア"という印象に近い」

――関東に、五代目工藤會の組員はいるのか?

「俺の知ってる限り数十名はいる。だけど関東には関東の流儀があるから」

――本部を置く北九州などでは公共事業にも影響力を持っていると聞くが、関東ではどうなのか。

「関東ではそこまではいっていない。各自、色々なシノギをしているよ」

 今回の摘発には警察庁を始め福岡県警などがかなり力を入れている。これが成功すれば次は他の組織に力を移行するであろう。ある暴力団関係者は語る。

「今月は取締月間だから、ある程度の締め付けは覚悟している。だけど、五代目工藤會がやられたように、電話を盗聴されたら俺たちはお手上げだね」

 暴排条例、暴対法などでどんどん締め付けられる中で、暴力団関係者を震え上がらせる「電話の盗聴」。これは裁判所の命令で行われるため、裁判でも証拠として採用される。そんな矢先の10月1日、福岡県警の樋口本部長の会見に注目が集まった。

「一人の人間として今、大きな岐路に立っているはず。雲間から一筋の光を見いだし、勇気を出して広い社会へ踏み出す時です」

 樋口本部長は五代目工藤會所属組員らに対し、組織からの脱退や出頭をあらためて呼び掛けた。警察庁、福岡県警の威信をかけた「頂上作戦」はまだ始まったばかりだ。

Written by 西郷正興

Photo by Jonathan Kos-Read

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