エボラ出血熱より深刻!? 中国を襲う「デング熱パンデミック」の猛威
TABLO / 2014年10月28日 18時0分
この夏、日本全国を緊張させたデング熱。まだ終息してはいないが、10月も下旬に入った最近では関連ニュースを見かけることは少なくなった。また、閉鎖されていた公園のうち、新宿御苑のように再開されたところもある。
ところで、今年デング熱に翻弄されたのは日本だけではない。中国でも、広東省が近年にない大流行に見舞われた。
感染者は6月ごろから出初め、10月13日の時点で広東省全体の感染者数は3万1136人。真夏にくらべると勢いは衰えつつあるものの、10月に入ってから感染拡大の勢いはいくらか収まったとはいえ、依然として1日に数百人単位で新たな感染者が出ている。
広東省での今回の流行にはある特徴が見られる。患者の多くは、都市部で発生しているのだ。特に患者が集中しているのが省都、広州市だ。広州市の感染者数はほぼ同時期に2万7000人。広東省全体では、今回のデング熱の流行で6人の死者が出ているが、そのうちじつに5人は広州市での感染者である。
広州市は、2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した時以来の態勢で、デング熱を媒介するシマカの駆除や感染防止の呼びかけを行っている。10月7日には市を挙げて、たった1日でのべ40万人以上を投入して、殺虫剤の噴霧や蚊が繁殖しそうな水たまりの撤去などに奔走し、市民にはなるべく長袖を着用するよう呼びかけたという。
なぜ今年に限ってこれほどの流行になったのか。国家衛生局のスポークスマンは、広州などの地域と東南アジアとの行き来がますます頻繁になっており、今年はその東南アジアでデング熱が流行したため、それが持ち込まれ、拡散したようだと述べている。また、今年の夏は気温が高めで降雨量も多く、蚊の繁殖に適した状態が続いたことも大流行に繋がる要因になった。さらに、デング熱についてよく知らない人が、症状が出た後も気付かずに放置したことで、他の人への感染リスクが高まった側面もあると見られている。
当局は、「今後は終息に向かう」としているが、広州市は10月に入っても最高気温が30℃を超える日が続いており、一般には11月でも平均気温は19℃ほどで、平均最高気温も25℃近くに達する。蚊がおおむね活動不能に陥る気温は15℃以下だという。広州でのデング熱の本当の意味での終息はもう少し先になるのではないだろうか。
Written by 劉雲
Photo by Dai Luo
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