峯岸みなみが卒業コンサート AKB48最後の1期生の卒コン前インタビュー
TABLO / 2021年5月22日 23時20分
思い出のAKB劇場にて
本日5月22日、AKB48最後の一期生、峯岸みなみさんが卒業コンサートを行いました。一期生が勢ぞろいする豪華なコンサート。詳細は別原稿に記すとして、その一年前に行った峯岸さんのインタビューを改めて掲載したいと思います。
「インタビューのスケジュールを変更させてしまってすみませんでした」。
インタビューに現れた峯岸さんは、真っ先にそう言って丁寧にお辞儀をしました。礼儀正しさに、こちらが驚かされました。
とうとう最後の1期生が卒業するのか。そんな想いを抱いた人も多いのではないでしょうか。AKB48の黄金期を支えた峯岸みなみさんが、4月2日横浜アリーナにて卒業します。決して順風満帆ではなかったかも知れないアイドル人生。しかし、それを乗り越えた峯岸さんの存在感は抜群です。彼女の言葉を是非聞きたいと、込山チームKの公演前の東京・秋葉原のAKB劇場を訪れました。
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――最後の1期生がご卒業になります。お疲れ様でした。
峯岸みなみさん(以下・峯岸さん) ありがとうございます。
――卒業しようと思ったきっかけは何が大きかったのでしょう?
峯岸さん:ずっと頭に卒業という言葉が浮かんでいる中で、具体的なタイミングがあったわけではないんです。AKB48を辞めたいなって思ったこともあるし、辞めた方がいいのかなっていう時期もありました。でも、自分がマイナスな時に辞めるのはどこか逃げてるみたいで嫌でした。
自分がAKB48の活動を楽しんでいる時期に、そしてメンバーからも寂しがってもらえるような時期に前向きな気持ちで卒業したいなっていうのありました。それが今かなっていうのと、12月8日っていう節目の日に色々なメンバーに見守られながら発表できるタイミングだったので、発表させて頂きました。
――峯岸さんの15年のアイドル人生のなかでAKB48ってどういう存在だったか教えていただけますか? 難しい質問ですよね、ごめんなさい。
峯岸さん:ホントに長かったのでひと言では言い表せないんですけど、しかも聞かれるタイミングによってコロコロ変わっていくんじゃないかなと思うんですけど。いま聞かれるとAKB48って何だろうな……。
――この後、込山チームK公演が始まるわけですが、それも含めて青春だったとか。
峯岸さん:そうですね、青春といえば青春でもあり。でも言葉にするとちょっとカッコよすぎちゃうんです。普通に生活というか人生というか。一番多感な時期にAKB48に入って15年なので当り前になっちゃってました。
――なるほど。そしてこれから、アイドルから一人のタレントさんになっていくわけですよね。
峯岸さん:楽しみですね。今までAKB48のおかげで自分の名前とか活躍の場を広げられたと思います。どこに行ってもAKB48ありきの私だったのですごく感謝している部分もあるし、AKB48だからっていうのが良くも悪くもありました。
20代前半に卒業するメンバーもたくさんいますけど、私は世間的にも大人とされている28歳の年に卒業するのは、一気に自分の幅が広がるというか。自分がどういうタレントになるのかっていうのが楽しみです。
――思い描いているタレント像はあるんですか?
峯岸さん:子供の時は、歌って踊れるアーティストになりたかったんですよ。AKB48に入ってみたらバラエティに多く出させていただくようになったりして、自分が思っているのと人が受ける印象って全然違うんだなっていうことをすごく学びました。
そういう現実を知って、自分のやりたいことを通していく難しさも知りました。卒業してから、こうなりたいって言ってなれるものではない、と思っているんです。例えば簡単に「私はこれから女優になります」と宣言するものではなくて、頂ける仕事のなかで何かを頑張っていれば、そこから何でも出来るという気がしています。
私に求められてることがあるなら、それを精一杯やっていって何か一つでも世間に刺さったり、誰かの心を動かしたりした結果、思い描いていた自分になれるような気がしています。
――タレントさんと同時に一人の女性でもある訳じゃないですか。今のお答えを聞いて自分が一人の女性として、どう成長するかっていう楽しみもあるという受け止め方をしたんですが。
峯岸さん:今までは一応アイドルという枠組みのなかで活動を……問題児ではあったと思うんですけど(苦笑)、こういうことは言っちゃいけないだろうなとか、一応自分の中ではありました。でもアイドルという枠組みを外せば、28歳の女性でもあるので、自分の本来の面白さとか、本来の素質みたいなものが出ていくんじゃないかなと思います。そういう意味で同世代の女性に共感してもらえるような人になれたらいいなと思います。
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例えば、恋愛一つでもアイドルだから「恋愛禁止なんです」というスタンスが、世の女性には響かないだろうなっていうのはどこかでありました。そういうものから外れた時に、自分の恋愛観とか結婚観とかそういうものも話せるようになると思うと、今よりも親近感を持って女性に見てもらえる対象になれるんじゃないかだろうなって思います。アイドルというものに救われていた部分もたくさんある反面、アイドルだから近づきづらい「私とは考えが合わないな」みたいに思われていたところに、何か響く女性でありたいなっていう気持ちはあります。
――アイドルは暗黙の了解で「恋愛禁止」ですけど、恋愛とアイドルの両立についてはどうでしょう?
峯岸さん:難しいですね。アイドルを一生懸命やることが恋愛をしないことになるという理論は納得できます。自分も13歳でアイドルを始めて、学生生活に恋愛の「れ」の字もなかったというか、興味がなかったんです。
活動がめちゃくちゃ楽しかったし、忙しかったというのもあるので、プライベートなことにうつつを抜かしている時間がホントになかったんですよ。なので、その理想像というか、アイドルとして充実している。イコール恋愛していないっていうのは方程式としては成り立つなと思います。
だから、今の後輩たちに恋愛するなとは思わないし、しちゃいけないとも思わないけど、恋愛に興味がないぐらいAKB48が楽しくて頑張れていたらめちゃくちゃハッピーだよねって思います。
――なるほどです。後輩の方からそういう相談ってされたりしますか?
峯岸さん:恋愛相談はされたことないですね、言いづらいんじゃないですかね(笑)。みんな話してくれないです。「立ち位置が」とか「選抜が」という相談はわりと受けますけど。
――1期生の方だと敷居が高いんですかね。
峯岸さん:話が合わないと思いますよ!(笑)。
――12~13歳の子とかいますからね。
峯岸さん:お母さんにはそういう話はしづらい、みたいな感覚だと思います(苦笑)。
――いえいえ! それは無いでしょう。話が変わりますが峯岸さんの好きな曲は?
峯岸さん:ホントにたくさんの曲を歌わせていただいてるので難しいですね。でも今、この撮影で劇場を見渡してみたりロビーに立ってみたりして、こうやってまじまじとこの空間を見ることがなかったのですごくエモい気持ちになって、寂しいなと思いました。景色とか空気が15年前とほとんど変わってないんですよね、この劇場って(しみじみ)。ここでメンバーと振り合わせしたり泣いたりしてたなとか、客席からステージ観てるときあったなとかいろんなことを思い出したときに流れた曲は……『桜の花びらたち』です。
――これもよく聞かれるかもしれないですけど、15年間で一番笑った事って何でしょう?
峯岸さん:「一番シリーズ」がホントにわからないんですよね(笑)。
――この質問はスルーしましょう(笑)。
峯岸さん:いえいえ。一番笑ったこと……。人生の最高の瞬間なんだろうな、と思ったのは『フライングゲット』でレコード大賞獲った時です。大賞が決まって、最後に大賞曲だけもう一度歌唱ができるじゃないですか。そこで『フライングゲット』を歌ったときに、記憶が正しければキラキラな紙吹雪が舞っていたと思うんですけど、夢なのか現実なのかわからないっていう感覚を初めて味わって、忘れられない瞬間でした。
そのあと、打ち上げで秋元先生をはじめ、関係者さんとかメンバーで集合写真を撮る時にみんなが集まっていく姿をボーッと一人で見ながら、これが思い出になっちゃう事がすごく寂しくてずっと今が続けばいいのにと、心に残った1日でしたね。
――目に浮かぶようです。4月2日の横浜アリーナでの卒業コンサートに向けての意気込みをお伺い出来ますか。応援してくれたファンの方にどういう自分を見せたいみたいなことはありますか。
峯岸さん:自分が卒業コンサートをやらせてもらえる立場ではないって、ずっとどこかで思っていました。なので、卒業が決まったら劇場でスッと卒業するんだろうなぐらいに思っていました。それをたかみな(高橋みなみ)とかはるな(小嶋陽菜)に言ったら、二人が「それは絶対もったいない。15年もやってきたんだから絶対に大きい箱で私たちも見届けたい」って言ってくれました。
それに背中を押されて、今回こういう運びになってすごく光栄だなって。なので、自分の思い出がいっぱい詰まった過去のAKB48から、自分を支えてくれた今のAKB48にバトンを渡せるようにしたいです。
例えば、レジェンドメンバーと次世代メンバーが絡むシーンがあったり、昔から応援してくれた方も今のAKB48が好きな方も、何度も気持ちが高揚する瞬間があるように。
「峯岸、ここまでやってくれてありがとう。AKB48はやっぱ良いね」って思ってもらえるような、そして自分のファンの方にはとにかく感謝の気持ちが伝わるような、関わってくれたみんなが嬉しいコンサートが作れたら最高だなって思います。
――泣いちゃいそうですかね。
峯岸さん:さすがにちょっとこらえられないと思いますね(苦笑)。曲で思い出す背景がすごくあるので、曲がかかった時点で危ないですね。
――サプライズもあったりするんですか?
峯岸さん:当時のメンバーがこぞって「アップしとく」って言ってくれるのは心強いですね。卒業して、皆それぞれ活動している中で、今さらステージに戻りたくないっていう考え方があっても全然おかしくないと思っていたので、発表した時に「なんでもやるよ」ってLINEをくれたメンバーもたくさんいて、すごく心が救われました。
――初期メンバーの方々?
峯岸さん:初期メンバーもそうですし、優子(大島優子)とかさっしー(指原莉乃)とかも、「呼んでくれるんでしょ?」みたいな感じで声をかけてくれて。わざわざお呼び立てするのも申し訳ないなっていう気持ちもあったんですけど、そう言ってもらえる自分でいられたことは誇りだなと思います。
――楽しみですね、いろんな懐かしいメンバーが来たり懐かしい曲も。
峯岸さん:そうですね。ファンの方も懐かしい顔ぶれが揃ってくれたら嬉しいなっていう気持ちもあると思います。離れていたり、他のアイドルを推しているファンの方もいると思うので、同窓会気分で、皆で集まって、そこで見つけた新しいメンバーを改めて推してくれたら次のAKB48にもつながると思うし、幸せいっぱいのコンサートにできたらいいなと思います。
――他のアイドルと言えば、最近は坂道さん(乃木坂46、欅坂46、日向坂46)とかいろんなグループが出てきて、そのへんは意識されたりするんですか?
峯岸さん:坂道グループさんは、時代に合った楽曲とか時代に合った売り出し方をされていて、女の子が憧れたり、歌詞が社会風刺的だったりって今の時代にすごく合ってるしカッコいいなって思うし、私も聴いてたりします。AKB48の良さってホントにいわゆる王道で、見方によってはダサいと思われたり古いと思われたりする側面もある中で、色んな世代が安心して見られるアイドルグループっていうのは強みだと思いますね。
――そう思います。AKBさんのキラキラ感は中々、出せないと思いました。
峯岸さん:(うなずきながら)難しいことを考えずに、「アイドルってこれでいいんだよな」って思えるグループだと思うので。私は水を差しちゃった部分がすごくあるんですけど。
――いやそんな! あの。結構ネガティブなんですか?
峯岸さん:めちゃくちゃネガティブです(苦笑)。でもホントに次世代にはずっとキラキラしてほしいなって思います。
――次世代で言うと、峯岸さんから見て、この子いいよっていうメンバーは、誰かいらっしゃいます?
峯岸さん:難しいなあ(笑)。じゃあ、今日のチームKの中からだと……えー難しい!(笑)。 みんなかわいくて魅力的なんです。……自分に重ねて見ちゃう部分があるのは小林蘭ちゃんです。高校生のメンバーで、ダンスのキレがすごくて、当時の自分を思い出すというか。今の私にはもう出せないエネルギーが彼女からは出ていますし。でも、しゃべると等身大の女の子で、そのギャップが昔の自分もそういう感じだったなっていう意味では注目しています。
――もう公演の準備の時間になってしまいました。最後に、ファンの方に向けてひと言お願いします。
峯岸さん:私は4月でAKB48を卒業するんですが、AKB48にはこれからもずっとずっとアイドルの先頭を走るグループでいてほしいと思っています。そのお手伝いができるように4月2日のコンサートは自分の出来ること全てを注いで、改めてAKB48が素晴しいアイドルグループだなって証明できる時間にしたいと思っています。是非みなさん4月2日横浜アリーナに会いに来ていただければと思います。
【編集後記】
冒頭の丁寧なあいさつから始まって終始、礼儀正しく、好感度しかない。それが「アイドル峯岸みなみ」さんのイメージでした。その後の込山チームKの公演を観させて頂いたのですが、存在感はさすがでした。4月2日の横浜アリーナにて、峯岸みなみさんはアイドルとして最後のステージに立ちます。ファンの方、ファンでない方も必見です。(文◎久田将義 写真◎インベカヲリ)
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