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米軍が経費削減を理由に「レーザー兵器」を実戦配備か

TABLO / 2014年12月18日 16時0分

米軍が経費削減を理由に「レーザー兵器」を実戦配備か

 SFやロボットアニメの華といえばレーザー兵器である。 永らく夢のまた夢とされ「コストに合わない」「威力が期待できない」「机上の空論の代名詞」などと非現実的の烙印を押されてきたこのレーザー兵器が、なんと米軍に実戦配備されたという。

 米軍が新兵器として研究を続けているという情報は昔から囁かれていたが、遂に艦艇に搭載し、実戦使用できるレベルに達したようだ。まずはペルシャ湾に配備され、小型船や無人の偵察機といった小さな標的を破壊するための装備として初陣を飾ることになる。今後も研究開発が続けられ、2020年頃には本格配備される見通しだという。

 実にオトコの子心が刺激されるニュースではあるのだが、現実は少々哀しい。70年代からアニメを見て育った世代からすると、レーザー兵器というのは「必殺の武器」であり「破壊力」が価値の大部分を占めていて欲しいもの。ところが、今回の発表では米軍は「安いから」を最大の理由にしているのである。

 小型船や無人偵察機への攻撃を目的とする場合、バカにならないのは使用する兵器のコストだ。 カメラだけ取って付けたようなラジコン飛行機のような相手に、1発何十万ドルもするようなミサイル(自動追尾型の兵器)を使っていてはコスト倒れしてしまう。機銃のような小さな弾を打ち込むのであればもっと安上がりだろうが、それはそれで命中精度の問題があり、結局は「下手な鉄砲も数撃ちゃ」 の理論でバラバラと無駄遣いすることになる。そうなれば1回の戦闘にかかる弾代は跳ね上がり、テロ組織などの(米軍にとっての)敵側の兵器コストよりもよほど高く付いてしまうのだ。

 この問題を解決する為に配備されたと言っても過言ではないのが、1回の使用に1ドルかからないレーザー兵器なのだという。大昔に『トライダーG7』というロボットアニメ(富野作品)があったのだが、その主人公は中小企業を父親から引き継いだ小学生社長という設定で、依頼をこなすためにトライダーを発進させる。この作品の特徴は、シビアな経費計算をしながら敵と戦うという点で、よくあるヤラレメカ相手にミサイルを撃とうとすると「それでは経費が高く付く、パンチでなんとかしろ」と社内稟議が通らないのだ。仕方なくワラワラと湧いてくる敵メカを一生懸命パンチとキックで潰して回るのだが、今回のニュースで最初に頭に浮かんだのがその光景だった。

 トライダーは経費削減のためにパンチで戦ったが、現実の世界ではレーザー兵器の方がローコストだったのだ。トライダーの前番組が初代ガンダムだったのだが、そこに登場したソーラーレイやコロニーレーザーといった凶悪な大量殺戮兵器の方が実はお安いとは、何か消化し切れないモヤモヤを感じる。

 また、米軍は2016年にレールガンの実証実験を行うとも発表している。レールガンとは、電磁誘導によって速度を上げ、音速の約7倍まで高めて射出する兵器。こちらもレーザーと同様に長くSFの代名詞的な存在だったのだが、ごく近い将来に現実の物となりそうだ。しかも、レールガンの場合も米軍は「安い」を大きな理由にしており、まるで牛丼チェーンの値下げ合戦かのようで、せっかくのSFの華がまるで有り難みを感じない物になってしまいそうだ。

 せっかくのレーザーやレールガンなのだから、出来れば「行け! 世界の警察アメリカ軍! わるいやつらをぶっつぶせ!」くらいの煽りをして欲しいところなのだが、二言目には 「安いから......安いから......」では、竹槍でB29を落としましょう的な印象になってしまうではないか。

 世界の最先端を行き、より安上がりかつ横暴に人殺しができるアメリカ軍様なのですから、せめて強キャラ設定だけは守っていただきたい。団体最強を謳われるプロレスラーが「だってあの必殺技はかけると自分が痛いし......」とか「新しい必殺技は自分が痛くないから使いやすいんです!」なんて言っていたらファンに幻滅されるだろう。

Written by 荒井禎雄

Photo by 無敵ロボ トライダーG7 DVDメモリアルボックス

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