年末年始、大阪の西成・あいりん地区に潜入してみた
TABLO / 2015年1月9日 18時33分
大晦日から元日にかけて、日本でも有数のディープな地区と思われる大阪の西成(通称あいりん地区)に向かった。橋下大阪市長の「西成浄化作戦」によって、この街はどの様に変化したのかをこの目で確かめたかったからである。結論を先に書くと表向きは浄化された様に見えるが、実際はより闇は深くなったというのが正直な感想だ。
24時間覚せい剤が買える街、としても知られる西成では現在、ミニパトが常駐し路上を監視している。では違法薬物の取引はなくなったのか。答えは「NO」である。
実は取材前にこの街の協力者から「最近の売人は一目ではわからないような格好をしている」と教えられていた。その言葉通り、表向きはいかにもな売人たちの姿は消えていたが、あるエリアに入った途端、何人もの男がアイコンタクトを送ってきた。見るからによそ者である筆者を、覚せい剤を買いに来た新規客だと勘違いして合図を送ってきていたのだ。彼らは西成の労働者たちと区別が付かないほど景色に溶け込んでいた。
裏社会の間でも有名な「泥棒市」も覗いてみた。かつては観光客も訪れるほどの「名所」であったが、浄化作戦により摘発が続いて壊滅状態となった。だが、実際に泥棒市は場所と時間を変えて行われていたのだ。以前の泥棒市で売られていたのは盗んできたその日の朝刊、安タバコやその他ガラクタ等であった。しかし現在は賞味期限切れの弁当、海賊版DVD、睡眠薬等が主力商品となっている。客のふりをしていろいろと話を聞いてみると、今の泥棒市ではとくに睡眠薬が売れ筋のように思えた。種類が豊富で価格が下がっているのが印象的だった。
例えば一番人気が高い「エルミン」(通称:赤玉)はワンシート1000円から700円まで下がっていた。恐らくワンシート500円前後で仕入れているのであろう。仕入れ先はいつの時代でも生活保護受給者である。まず、生活保護受給者が病院に行き「眠れない」等と言って正式に処方してもらう。それを闇業者が買い取り、こういった泥棒市に卸すのだ。一回の診療で睡眠導入剤、睡眠薬30日分が処方されるのが通常だ。ワンシート10錠とすれば両方含めて60錠になる。たかが3000円程度だが、困窮者にとってはいい小遣いになる。その他に湿布なども売っていた。
Written Photo by 西郷正興
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