【日本人と覚せい剤】なぜ芸能人は薬物を使うのか
TABLO / 2015年2月20日 20時0分
最近マスコミを騒がしている芸能人の覚せい剤事件。ここ数年でいうと田代まさし、押尾学、清水健太郎、岡崎聡子、ASKA,そして小向美奈子等である。実は、現在、日本は第三次薬物乱用時期と言われている。
第一次は戦後の混乱期の1945年から1957年、これは俗にヒロポンと言われる覚せい剤が出回った時期だ。次が1970年から1994年と言われる。この時期は覚せい剤では無く、有機溶剤が主流である。つまり暴走族が多く、街頭にトルエンの売人が立ちシンナー遊びが流行った時期である。
そして第三次薬物乱用時期が1995年から始まった。巷に出回っているのは覚せい剤は元よりMDMA(エクスタシー)、危険ドラッグ、大麻など多種多彩になってきた。
ところで覚せい剤は媚薬であるのか? この答えはハッキリ言ってNOである。コカインなどはセックスドラッグとして使われているが覚せい剤はその使用方法によって特徴があるのだ。例えば戦中に使われた覚せい剤などは歴史の暗部であるが、特攻隊の他、工場の生産能率を高める為に使われていた。それが市場に流通し、薬局等の店舗などで買えた時期があった。前述したヒロポンである。
今では考えられないが当時の新聞の広告に「精神、肉体の過労に対する治療および予防、徹夜時の睡気、心身過労の除去に効果」との宣伝文句で大流行となった。
ヒロポンは実は数多くの製薬会社が類似品を発売し、一番多く宣伝した某製薬会社が発売した物がメジャーとなったのだ。日本で覚せい剤のリスクが認識されたのは、昭和22年に入ってからの事だ。
まだ海外の文献にも薬害のくわしい記載はなく、最初は精神疾患と誤解された。昭和25年に薬事法で劇薬に指定、さらに翌年「覚せい剤取締法」が施行されたが。時すでに遅く、覚せい剤は、人々の間に深刻に蔓延していた。しかし、それは当然とも言える結果だ。なぜなら、薬局で注射器と共に買えたのであるから。
その薬物を使い作家が執筆活動に、芸人がネタ作りであろうか? 多く使用されていた。また、今でも海外などでは受験勉強などにも使われている。つまり集中する為に使うには最適な薬物なのだ。セックスで覚せい剤を覚えれば、その快感を身体と頭で覚えてその虜になる。
女性がセックスで覚せい剤を覚えれば、それが癖になり辞められないのはある意味当然である。今まで筆者が取材した覚せい剤使用者の女性のほとんどが、男性に知らない内に使用されて、それが癖になり止められなくなったという意見を数多く聞いた。意外に知られていないが、覚せい剤はその仕入れた時期などにより値段が変わり中に入る通称混ぜ物が全く違う。混ぜ物が入っていない、純度が高い覚せい剤は実は人気があまりない。眠れなくなり、食欲がなくなるだけだからである。
ASKAが当初言い張った「アンナカ」は馬に使う興奮剤であり、それが入る覚せい剤は「下ネタ」と呼ばれ値段が高い商品であるが、今ではほとんど流通していない。
この様に人によって、使い方が変わる覚せい剤は本当に怖い薬物である。覚せい剤で逮捕され、現在は出所している田代まさしなどは逮捕後の握手会で売人に握手の際に連絡先を渡されて、連絡を取ってしまい結局又逮捕されてしまった、という話もある。
覚せい剤を断ち切るにはその当時の関係を一切断ち切るしかない。誰もがそれを言うが実際にそれを実現する事は難しいであろう。まして、芸能人は自分が断ち切っても常に新しい魔の手が近寄ってくるからだ。そして、一度覚えた性癖等を簡単に治す事は出来ないからだ。覚せい剤依存は「一生の戦い」であり、治療に愛はいらない、とよく言うが、この言葉の意味はこうだ。
一生の戦いとは、脳がドーパミンを発し、その快感を覚えているからであり、愛はいらない、と言うのは誰かが助けてくれるからまだ平気であろう、という勘違いだ。一度は国も助けてくれる。それは逮捕されても初犯の場合、所持、使用の場合は執行猶予と言うチャンスを与えてくれるのだ。しかし、二回目はない。
ある程度の期間が開いてなければ間違いなく実刑である。芸能人の場合はまだ売れる、と何回も罪を犯しても芸能関係者などが興行などに使ってしまうから「世間が私を必要としてくれている」と、大きな勘違いをして再犯してしまうのだ。さて、この風潮は果たして正しい選択なのであろうか?
Written by 西郷正興
Photo by Angus柒
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