常盤貴子はなぜ怒られたのか? 京都では「人の紹介」が物を言う この町で“大切にされるコツ”を根っからの京都人ライターが解説する
TABLO / 2020年2月21日 15時57分
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ほんまに京都は面倒くさいところなの?
常盤貴子が京都での人付き合いの難しさを口にしてからというもの、京都人への風当たりは凄まじしい。中には「一見さんお断りの店だったのでは」「まあ、わからなくもない」との意見もあるが、総じて、皆、京都に厳しい目をむけている。
ド・京都人の両親から生まれ、子供時代と社会人になった現在を京都で暮らす筆者からすれば、今回の騒動、ちょっと見方が違う。
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京都は、とにかく「信用」にうるさい。お付き合いのほぼ全ては「信用」から成り立っている。子供のころから「ええことしてもろたら、ちゃんと御礼の連絡を入れなあかん」「人の顔を潰すようなことをしてはならん」と厳しく教えられてきた人も多いと思う。
常盤貴子の一件は、まあ烈火の如く怒るようなヤバイ京都人とはお付き合いしない方がいいような気もするが、わりと日常的にある話だ。
例えば、筆者は仕事で知り合った大先輩Aさんから紹介してもらったお店へ友達と行きたいとき、必ずAさんに連絡する。
「Aさん、今度、友達とあのお店に行きたいんです。Aさんのことお伝えして予約してもいいですか?」と。
したらば、Aさんは「そうなんや。私が予約しておくから。何時から何人で? お料理の希望あれば教えて」。こんな具合だ。
お店行くと、マダムがそれはそれは丁寧な対応とサービスで迎え入れてくれて、気前が良い店なら前菜やデザートをグレードアップさせてくれたりする。
「Aさんにはとてもお世話になっているので、オススメのお店に来れてよかったです。美味しかったです」と、店のマダムに伝えておけば、紹介者であるAさんの顔も立ち、店も潤い、筆者も友人も美味しい思いができる。
ここが「京都のお付き合い」のポイントだと筆者は感じている。
たった一声かけるだけで、みんなが良い思いをして、気持ちよく過ごせるならば、こんな便利なシステムはない。
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実は「紹介」の方があとあと面倒くさくないのだ
一見さんお断りの店は、信用のある人しか店に足を踏み入れられないわけで、通常の飲食店での「一声かけておく」とは、少しニュアンスが違ってくるが、総じて、みんなが嫌な思いをしないために、ちゃんとルート立てしておこうということに変わりはない。
むろん、仕事においても同じことが言える。
前出のAさんを例にするならば、Aさんマターの仕事を紹介してもらった場合、取引先からその後に別件のお誘いをもらったとする。
これで普通に受けたらAさんに恥をかかせることになるので、まず取引先に、
「Aさんはこの件、ご存知ですか? 私に声をかけたこと、連絡入れといてくださいね」
と伝えおく。
その上で、
「Aさん、この前の取引先から別件いただきました。ありがとうございます」
と御礼をすれば問題なし。
まあ、時折、これでマージンを求める人や「仕事の内容を把握したいから、事前に資料を送れ」という面倒な人もいるが、そんな時は「わかりました」と答えて、その案件からはキッパリ手を引いている(筆者の場合)。
京都に限ってとは思わないが、「Aさんの紹介でしょ? 何も心配してませんよ。あの方が推薦されてるんですから」と実績スルーでお仕事をもらうことも多い。現在、フリーランスで仕事をする筆者だが、自力営業はほぼなく、全て紹介案件のみで何不自由なく生活ができている。
それだけ、京都という土地は「その人の信用」に重きを置いていることがお分かりいただけただろうか。
いろんなところで「イケズな京都人」「しきたりにうるさい京都人」「マナーに厳しい京都人」など良い印象を持たれていないが、視点を変えれば、ちょっとした気遣いだけでこんなにも大事にしてくれる街はない。(文◎東山みなみ)
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