安倍首相など政権幹部が応援する団体が「反同性愛デモ」を開催
TABLO / 2015年3月18日 19時0分
渋谷区議会に同性カップルに対して「結婚に相当する関係である」と認める証明書を発行する条例案が提出された件について、3月10日に『頑張れ日本!』主催で「LGBTは社会を乱す害悪だ」とする内容の反同性愛デモが行われた。『頑張れ日本!』は2011年の結成集会に安部首相ら現政権の幹部と呼べる面々が応援に駆け付けており、安部首相に至ってはその場で講演まで行った仲である。
●着実にセクシャルマイノリティを締め上げる流れが出来つつある
また自民党の谷垣幹事長はデモ同日の会見で「家族関係がどうあるかは社会制度や秩序の根幹に触れてくる」として、渋谷区の条例案に懸念を示している。ただし谷垣幹事長は「仮に法律があるならともかく、条例だけで対応するのは問題がある」という指摘にとどめているため、これを以って谷垣幹事長も反同性愛主義者だと決め付けるのは早計であろう。
これらと連動しているのかどうか定かではないが、3月に入ってから新宿二丁目のゲイバーが無許可営業を行っていたとして摘発され、警視庁はそれを理由に二丁目の取り締まりを強化すると発表。着実に同性愛者をはじめとするセクシャルマイノリティを締め上げる流れが出来つつあるようだ。
東京BNには、過去に何度もセックスワーカーやセクシャルマイノリティに関する記事を寄稿して来たが、ここまで露骨に「ヘテロ(異性愛者)以外は気持ち悪いから規制する」という意思が表面化したのは初めての事かもしれない。 まさに「異性愛者にあらずば人に非ず」である。
さて、こうした問題が語られる際に自民党が必ず理由として口にするのが「少子化問題」である。 先日のTV番組でも柴山昌彦衆院議員(ヘイトスピーチ対策PT座長代理)が「同性婚を認めると少子化に拍車がかかる」と無知を晒したばかりだが、これは柴山議員個人というより、自民党に共通する考え方なのだろう。これがいかに大間違いかは先日掲載された記事の中で指摘しているので、そちらをご覧いただきたい。
最も重要な点だけここで改めて指摘しておくが、同性愛者をいくら締め上げたところで、現政権が望むような少子化解決の糸口とはならない。異性と結婚して子供を作る可能性のある者を "1" と、その可能性のない者を "0" と表現すると、同性婚を求めるような、またそれによって救われるような立場の人間は、何をどうしたって "0" のままである。「同性との結婚が法的に認められないから異性と結婚して子供を作る」と考える同性愛者が多いなら、なぜ今の日本はこうまで少子化が進んでいるのか。この時点で自民党が主張する「同性婚=少子化に拍車」は大嘘である事が理解できるだろう。同性愛者をどうしようと少子化問題には一切影響はないのだから、少子化対策として同性愛を問題視する時点でリソースの無駄だ。現政権は少子化にブレーキをかけられない自分達の無能さを、社会的弱者をスケープゴートにして誤魔化そうとしているだけなのではあるまいか。
また、同性愛者が少子化問題に無関係だとしても、同性婚が法的に認められれば間接的に良い影響をもたらす可能性はある。同性カップルのままでは養子を貰う事すらハードルが高いのだが、条例でも法律でも「夫婦に相当する、同等の関係である」と公の後押しがあれば、その状況がいくらか好転する可能性を秘めているのだ。日本に同性の夫婦がいくら増えても、その2人の間に新しい生命が誕生する事はないが、もうすでに生まれ落ちた生命を育み、無事に大人になるまで守り抜く事ならばいくらでも可能である。これは間接的にではあるが、少子化問題へ好影響をもたらせるものだと言えないだろうか。現政権やそれと似たような価値観の持ち主は、そうした芽を踏み潰そうというのだから、自分達の手で更に少子化を加速させようとしているも同然だ。
先ほどの自民党の谷垣幹事長をはじめ、よく「伝統的な価値観、伝統的な家族関係」といった言葉が発せられるが、ではつい先日話題になった "自民党系の不倫カップル" 中川郁子氏(農林水産政務官)と 門博文氏(衆院議員)の関係についてはどうお考えなのだろう。自民党の皆さんは必死に庇い立てしておられたが、あれは伝統的な価値観と照らし合わせた場合に庇うに値する行為なのだろうか。ついでに言えば総理まで務めた党の重鎮など、息子が六本木界隈で遊び呆けた挙句にクスリ漬けにされ、オーバードーズで死んだも同然とまで言われているが、伝統的な家族関係で育つとああなってしまうのだろうか。
自分と異なる価値観に対して敵意を剥き出しにするより前に、自分達の醜さと向き合ってみてはいかがだろうか。
Written by 荒井禎雄
Photo by 頑張れ日本!全国行動委員会公式HPより
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