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川栄李奈の卒業とAKB48襲撃事件に思うこと|久田将義コラム

TABLO / 2015年3月27日 18時0分

川栄李奈の卒業とAKB48襲撃事件に思うこと|久田将義コラム

 3月26日、さいたまスーパーアリーナでAKB48の単独ライブが行われ、メンバーが他のグループに移籍したりする「組閣」が発表された。総選挙やジャンケン大会などは事前に、開催日が発表されるのだが「組閣」はサプライズなのでメンバーも知らなかったはずだ。

 会場にいたファンはしかし、組閣よりもまず、次世代の中心メンバーになるはずで、テレビ露出も多かった川栄李奈の卒業に最も驚いたのではないだろうか。なぜなら、川栄は2014年5月25日、岩手県滝沢市の岩手産業文化センターで起きた「AKB襲撃事件」の被害者だったからだ。この事件の被害者は3人。同じく、次世代中心メンバーとして期待の入山杏奈と警備員のバイトの青年だった。

 加害者の梅田悟被告は傷害、銃刀法違反で懲役6年の判決を受けた。裁判長は「命を奪いかねない危険な犯行」と述べている。それほど危険な状態だった。  

 想像して頂きたい。突然、折り畳み式のこぎり50cmの刃先にカッターの刃を貼り付け、殺傷能力を高くした武器でいきなり襲われる事態を。襲われた本人たちしか、その恐怖は分からない。死という文字が頭をよぎっただろう。18、19歳(事件当時)の女の子がしかし、そのような最悪の体験をした。僕も一度、刃物を向けられた事があったが未だに思い出す事がある。それは恐怖に外ならない。

 事件がトラウマになったであろう、川栄、入山の両メンバーはそれ以来握手会に出られずにいた。しかし握手会はAKB48の根幹である。元々結成のコンセプトが「会いに行けるアイドル」。そのコンセプトを鑑みて川栄及び川栄のスタッフたちは、卒業を決断したのではないだろうか。

 過去に芸能人への襲撃事件は古くは美空ひばりからずっとあった。しかし、それはコンサート中等、警備員の制止を振り切っての犯行だった。握手会という一種、無防備な、しかしファンとの信頼関係があってこそ成り立つイベントでの凶行は、川栄、入山の二人にしか分からないショックがあった事は想像に難くない。

 事件後、川栄は6月7日の東京・味の素スタジアムの総選挙にまだ退院したての痛々しい姿で登場。私服姿が、急遽登場を決めた事を物語っていた。これが彼女の精一杯だったのだろう。

 AKB48グループはよく言われるように甲子園である。卒業して芝居の世界に行ったとしよう。前田敦子や大島優子のように。日本には若手女優がキラ星のごとくいる。順不同で、堀北真希、新垣結衣、北川景子、長澤まさみ、川口春奈、橋本愛、武井咲、能年玲奈、有村架純......きりがないのでこの辺で止めておくが(他の女優さんを推している方、すみません)こういうレベルの女優と勝負していかなければならない。48グループという甲子園を卒業してからが、本当の勝負なのである。学校のクラスで二番手、三番手の女の子たちを集めたのが48グループとも言われる。その中で輝くには、「愛嬌」「個性」「存在感」が重要だと考える。川栄李奈にはそれがあると思う。僕はたまに見る、川栄のコントが案外好きだった。そういった演技力を活かして第二のタレント人生を歩んでいってほしいものである。

Written by 久田将義(東京ブレイキングニュース編集長)

Photo by (壁掛)AKB48 川栄李奈 カレンダー 2015年

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