【赤裸々画像】写真交換アプリ「写真袋」流出騒動の被害者と情報拡散者の無知ぶりを嘆く
TABLO / 2015年5月21日 17時0分
![【赤裸々画像】写真交換アプリ「写真袋」流出騒動の被害者と情報拡散者の無知ぶりを嘆く](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/knuckles/knuckles_1972_0-small.jpg)
ファイル共有アプリ 『写真袋』 のあいことば(パスワード) が他人にバレ、そこに保存してあった歴代彼女やセフレとのハメ撮り写真や動画がネット上にばら撒かれるという、お約束的な祭りが起きた。
本来ならば、勝手にパスワードを突破されてプライベートなデータを拡散された被害者に同情が集まるはずなのだが、今回の件で被害に遭ったのはいわゆる "ヤリチン男" であり、祭りに乗りたがるネット民の 「いいぞもっとやれ」によって職場にまで通達が回る事態に。さらには彼にヤラれた女性の個人情報まで掘り起こされ、この女性が恋人を裏切って浮気をしていた事が発覚し、火に油がドバドバ注ぎ込まれる結果になってしまった。
さて、この一件には様々な問題点が潜んでいる。以下に特に重大と思われる部分をまとめてみよう。
(1) なぜセックス中に写真や動画を撮りたがるのか
(2) なぜ公に出来ない情報(データ)をネット上にアップしてしまうのか
(3) なぜ他人がかけたパスワードを勝手に突破しようとするのか
(4) なぜ迂闊に他人の個人情報を言い触らすのか
(5) なぜ祭りの最中に被害者の情報をコピペ拡散するのか
それぞれ細かくツッコミを入れる気も起こらないほど初歩的なポイントばかりなのだが、上の5項目が何かと言うと、危険を回避するための要点であり、また「何かしらの法律に触れる可能性のある部分」でもある。
まず (1) と (2) について、今の日本には『私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律』いわゆる『リベンジポルノ防止法』がある。リベンジポルノと言ってしまうから、恋人ないしは元恋人による嫌がらせのイメージがあるが、実際に法律を読んでみると、データをばら撒いた人間ならばどのような立ち位置であっても適用される内容になっている。
※参考リンク(総務省行政管理局運営 e-Govより)
今回の流出事件が、別れた腹いせにヤリチン男がひとりでヤラかしたものであったならば話はシンプルだったのだが、ややこしいのが (1) と (2) をヤリチン男が、(3)~(5)をそれぞれ別の人間がやっている点である。したがって、リベンジポルノ防止法が適用されるケースを考えてみると、被害女性がヤリチン男を訴えでもしない限り難しいだろう(司法の判断次第では、他の法の解釈と組み合わせて4と5を行った人間に適応される可能性があるかもしれない)。
また、男はファイル共有アプリにデータをアップしたマヌケではあるが、一応はパスワードをかけていた。よって不特定多数に無修正動画を撒いた事にはならないので、わいせつ物陳列罪などの線は薄い。となると、次に問題になるのは (3) のパスワードを解析・突破・拡散した人間に対する処置である。これは不正アクセス防止法の「他人の識別符号を不正に取得する行為の禁止」や「不正アクセス行為を助長する行為の禁止」など、完全にアウトなので話は簡単そうだ。写真袋というアプリは、パスワードを第三者に教える事で、中のデータを共有できる事がウリではあるが、だからといって見ず知らずのアカウントのパスワードを解析し、中身をばら撒いて良い訳がない。そうした行為は営業妨害以外の何物でもないのだから、これについては流出事件の当事者以外に、アプリ運営者からの訴訟という可能性もある。
このように、問題点を個別に見ていけば、どの箇所がどういった法に反していて、どういう対応策があるか導き出す事はさほど難しくない。今はネット上のトラブルに対して、司法が既存の法律を上手に組み合わせてそれ相応の結論を出してくれるようになって来ている。よって、祭り大好きな野次馬が考える「自分は○○をしただけだから安全」という幼稚な言い訳は通じ難い。なんせ違法なエロ動画などへのリンク(URL) をコピペしただけでも「お前がデータをアップしたも同然だ」と裁かれる時代なのだ。
※参考記事
これは去年寄稿した記事だが、名誉毀損やわいせつ動画の陳列など、URLなどをコピペしただけでも "正犯" と見る判断が下されている。未だにこれを理解出来ていない人間が多いのだが、安易に祭りに乗ると酷い目に遭う時代になっているのだと自覚すべきだろう。
とはいえ、今回被害者の立場にある男女は、双方に等しく負い目があり、同情され難いミスも多い。また職場も本名も何もかも拡散されてしまったのだから、独力で誰がどの情報を拡散したといった細かい追求をしている暇もないだろう。よって、まずは弁護士や警察などその道のプロに相談し、包括的に何とかしてくれとアドバイスを貰うのが事態収拾への近道かもしれない。
出来る事ならば、こうした流出事件が起きた際に、情報拡散を手伝ったネット民の中から巨額の賠償金を支払わされるハメになったり、刑務所送りになる見せしめが現れて欲しいのだが、現時点ではそれを求めてもすぐには結論が出ないだろう。ならば、今出来る事はこうした祭りに発展する要素を減らす努力をしておく事だけである。
・他人に見せられないデータは、例え鍵付きであってもネット上にアップしない
・おおっぴらに言い触らせない話はSNSであっても書き込まない
祭りの被害に遭いたくなければ、最低でもこの2点だけは守るべきだろう。学校教育として、小学生に叩き込んでも良いくらいの基本中の基本である。
Written by 荒井禎雄
Photo by halii_
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