暴力団排除条例で足を洗った元ヤクザの嘆き「このまま落ちていくだけだよ」
TABLO / 2015年5月28日 16時0分
筆者の目の前に2人の初老の男性がいる。眼光は鋭く、周辺を威圧する感じには見えるが、彼等は今はカタギだ。1人は4月11日の『ニコ生タックルズ~ヤクザとは何か』(http://ch.nicovideo.jp/hisada)に出てもらったA氏。ヤクザ歴40年で20年以上も刑務所に務めていた人物だ。もう一方のB氏も同じ組織に属していた人物だが、事情があり10年ほど前にカタギになっている。2人とも小指がなく、今の生活は悲惨の一言だ。
現在のA氏にはヤクザを40年やっていたというのに形として残った財産は一切なく、仕事もしていない。昼間は病院などで時間を潰し、夜は友達も少ないため時間を持て余している。B氏は懲役から帰ってきたら自分の舎弟がシノギを全部奪っていて後の祭り。家族からも見放され、ドヤに暮らしている。2人とも共通しているのは生活保護で食っているという点だ。そんな二人に話を聞いた。
◇◇◇
――ヤクザになる人間は数多くいますが、これまで自分の辿ってきた道は正しかったと思えるか?
A「間違ってましたよ、ヤクザやって何も今残ってませんから」
B「私は間違ってたとは思っていません。自分のやりたい事をやって今の結果ですから」
――2人とも正直、今の生活はあまり良くないが。
A「良くないですね、だけどヤクザやっていた時もこんなもんですよ」
――Aさんは先日、『ニコ生タックルズ』に出演した際に「いい車乗って、いい女連れて、いい服を着るためにヤクザになった」と言っていたが、実際にそんなこと出来る人間は多いのか?
B「ヤクザは見栄の商売だからね。金がなかったら外に出なければばいい。いい車乗っても金がなくなれば売ればいい。だけどそんな事したらあいつは終わった、と噂が広がるけどね」
――Bさんは懲役から出てきて、ずっと今の状態なのか?
B「出て来て帰る場所が無いから更正施設に入って......そこから今のドヤに住んでいる」
――人生を舐めていたとは思わないか?
A「今のような生活は正直、想像はしていなかったよね。くだらない事件で懲役ばかり行ってたから、下の人間には抜かされたし、後輩連中も立ててはくれてたけど、心の中ではバカにしていたとは思うよ」
B「俺は一度、組を出したんだよ、若い衆とか舎弟も数人いてね。だけど無理があったんだろうな。器量もなかったし、2年くらいで兄弟分の事務所に吸収されたよ」
――バブル時代は、30歳までに組長になれなければ、ヤクザとして見込みがないと言われていた。今は時代が変わっているとはいえ、Bさんはまだその目があったのでは?
B「焦ったんだろうな。回りがどんどん上に上がっていくか辞めていく。だけど俺はカタギになっても食っていける自信はなかったからね」
――平成4年に暴対法、それから数年経って各地で暴排条例が施行されたが、それによる影響は?
A「暴対法は痛かったな。ミカジメとか取ってた店が全部拒否して来たしね」
B「自分は金貸しもしてたけど、ヤクザ相手の金貸しだったから、そこまでの影響はなかった」
――ヤクザ相手に金を貸していて回収出来たのか?
B「懲役に行っている間に舎弟が力付けてほとんど回収したよ。俺の所にはその内の3割くらいしか戻らなかったけど」
――よくヤクザの親分で、いつまでも現役でいるのはヤクザ時代のツケが回ってくるからだと言う人がいるが、そんなケースを目にしたことは?
A「まさにうちの親分がそうだったな。資産何億あっても借金も何億もあった。それで結局カタギにはなれず、最後はに死んじまったけど」
B「関東はまだいいんだよ。跡目継承の時に跡目を継いだ人間が縄張りを買う金を渡したり、死ぬまで若い衆を付けてくれたりするから。だけど俺の知ってる関西の親分は悲惨だったな。昔の若い衆に「おい、おっさん」と言われて小突かれたり、金を取られたりとか」
A「関西は力が全てだからね」
――2人とも今後はどのようにして生きていくつもりなのか?
A「もうどうしようもない。このまま落ちていくだけだよ。ひとつ言いたいのは、ヤクザを辞めた人間の受け皿をしっかりと作ってほしいということ」
最後はこの様な言葉で終わった。若い頃に裏街道を歩いて来たのだから老後も裏街道で......と言うのは正直、酷な話だ。議論が分かれる話だが、足を洗ったヤクザには問題が山積みである。
Written by 西郷正興
Photo by Kai Engel
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