SNSでの「デマ拡散」を弁護士が警告! あおり運転ヌレ衣女性が慰謝料100万円 コロナウィルスのニセ情報流出も要注意!!
TABLO / 2020年3月28日 12時20分
写真はイメージです
2019年8月、茨城県守谷市の高速道路で「あおり運転」をした男性が傷害と強要容疑で逮捕・起訴された事件がありました。
事件報道が過熱化し、ガラケーを持った女性が同乗していたことが報じられると一般人がインターネットを駆使して、犯人探しをして、サングラスと服装が似ている女性というだけの理由で、事件と無関係の東京都の女性が「同乗の女」というデマをSNSで流されるという悲劇が起きてしまったのです。
SNSで「同乗の女」情報を拡散した中には、当時、愛知県豊田市議会議員だった原田隆司氏もいました。発言力のある政治家の拡散は問題になりました。
原田氏は自身のFacebookに、
「あおり運転指名手配 同乗の女も見つけたようです。たぶん一緒にいるんでしょうね。早く逮捕されるよう拡散お願いします」
と投稿。女性の名前や顔写真が掲載されたツイッターのデマ投稿や女性のインスタグラムのスクリーンショットも掲載していたのです。
原田氏の投稿で、名誉毀損された女性は、インテグラル法律事務所の小沢一仁弁護士に委任して慰謝料100万円を求める訴訟を起こしました。
参考記事:海外トラック運転手の「あおり運転」動画 後続車の運転手を殴りつけるも“あの事件”とは全く違う結末に! | TABLO
東京地裁(田中寛明裁判長)は一定額の解決金で和解するよう勧告しましたが、女性側は、
「金額にかかわらず、先例となるような裁判所の判断がされることで同種の事案を抑制したい」
などと受け入れ拒否を表明し、協議は決裂しました。
4月13日に判決が言い渡される予定です。安易な情報拡散が重大な不法行為を招いてしまうことをこの裁判は世に知らしめました。
新型コロナウィルスの関係でもSNSで無責任な拡散が多くなされていますが、どのようなリスクがあり、私たちは、どのようにしたら良いのでしょうか。インテグラル法律事務所の小沢一仁弁護士にうかがいました。
「名誉毀損や業務妨害等、民事上・刑事上の責任を問われることになる可能性があります。インターネット上で流れている情報は他人が流したものであり、これをリツイート等で広める行為には責任がないものと思われがちですが、自身による新たな情報発信行為ですから、法的責任を負います。特に、人の不安を煽ったり他人を貶める内容の情報については、安易に拡散せず、一次情報にあたる癖を付けた方が良いと思います」(インテグラル法律事務所の小沢一仁弁護士)
――安易なSNSの拡散により、自分が加害者になってしまった場合、被害者が法的措置を執ったら、どれだけ大変なことになるのでしょうか?
関連記事:あなたを貶めようとする「あおらせ運転者」がいることをご存知ですか? 遭遇しても落ち着いて運転を! | TABLO
「刑事事件、民事事件の両方の可能性がありますので、それぞれご説明します。
刑事事件については、逮捕されたり、予告なく捜査機関が自宅を訪れ、捜索差押を受けたり、逮捕されなくても何度も捜査機関に呼び出され、追求をされ、最終的には罰金刑や懲役刑等の刑事処分を受けることになる可能性があります。逮捕される場合にも予告はありません。突然連れて行かれますので、仕事を無断欠勤することになり、職を失うケースもありますし、他には、ペットを飼っているのに餌やり等の世話をする人がいなくなるというケースもままあります。警察の留置施設に入れられることで精神を病む人もいます。想像以上に大きな不利益を被ると思います。
民事事件については、逮捕等身柄の拘束はありませんが、弁護士から内容証明郵便による通知が届き、金銭の支払いを求められたり、民事裁判を起こされたりする可能性があります。一般的に民事事件では争いがある事案は長期間続きます。1年を超えて争い続ける事案も珍しくありません。細かな法律の知識もないまま手続が進み、自分が今後どうなるのかよく分からない状態で長期間を過すことは相当なストレスになると思います。そのような発言を依頼者から聞くことがままあります」(インテグラル法律事務所の小沢一仁弁護士)
――安易なSNS拡散が名誉毀損を招く恐ろしさは、よくわかりましまが、日本の名誉毀損裁判はどのような状況でしょうか。今回の事件の今後の方向性も合わせてお聞かせ下さい。
「日本の名誉毀損裁判は、大部分がインターネット上の誹謗中傷事案ではないかと思います。刑事事件では、起訴された場合、初犯で懲役刑を受けることは考えにくく、ほとんどが罰金刑で終わる事になると思いますが、そこに至るまでの負担は前述したとおりです。
民事事件では、ある程度慰謝料の相場が形成されつつあるとは思いますが、特に被害者側が発信者情報開示請求を行った場合、そのために被害者が支出した弁護士費用も負担することになる可能性があります。
経験上では、中傷記事を投稿したことによる慰謝料は、程度にもよりますが、20~30万円くらいになることが多く、これに開示請求に要した費用を上乗せすると、50万円以上になる可能性も十分あります。また、内容が酷ければ、慰謝料だけでも100万円を超えるケースもあると思います。SNS等に安易に書き込んだことの代償としては大きなものになると思います」(インテグラル法律事務所の小沢一仁弁護士)
コロナウィルス関連で安易なSNS拡散をなさっていらっしゃる方も、他人事ではないかもしれません(文◎野島茂朗)
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